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トウブキツネリス

2026 5/16
リス科
2026年5月16日
木の根元で見つめるトウブキツネリス
©2016 U.S. Fish & Wildlife Service Southwest Region : clipped from the original
目次

トウブキツネリスの基本情報

英名:Eastern Fox Squirrel
学名:Sciurus niger
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 リス属
生息地:アメリカ合衆国、メキシコ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

樹幹の窪みで食べるトウブキツネリス
Photo credit: Andy Reago & Chrissy McClarren

参考文献

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リスの繁殖-メスは逆ハーレムが好き?

トウブキツネリスのキツネとはあのキツネのこと。

オレンジがかった体色がキツネに似ていることからそのように呼ばれています。

一方、学名を見てみると、その種小名“niger”はラテン語で「黒」という意味です。

トウブキツネリスには、主に3色のタイプが知られています。

北東部に生息する灰色の背中と黄みがかった腹を持つタイプ、西部の灰色の背中と赤みがかった腹を持つタイプ、そして南部の黒や茶色の体と白いストライプが入った顔を持つタイプです。

種小名の理由は、この黒いタイプが最初に学術的に記載されたからというわけだったのです。

ちなみに、学名のうち属名である“Sciurus”はラテン語で「リス」を意味します。

古代ギリシャ語で影を意味する“skia”、そして尾を意味する“oura”がその由来で、リスの大きなしっぽを意味しています。

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さてここで、そんなトウブキツネリスの繁殖について見てみましょう。

彼らの繁殖様式はリスの典型と言えるでしょう。

単独性のトウブキツネリスの行動圏はオスで1.5ha、メスで0.9haほど。

オスはオスやメスとの行動圏の重複が見られますが、メス同士はあまり重複しません。

オスの行動圏は繁殖期になると拡大し、メスの行動圏と大幅に重複するようになります。

そうなると1匹の発情メスに対し、何匹ものオスが集まることになります。

実際、発情したメスは複数のオスに追いかけられ、複数のオスと交尾することになります。

ただし、より長くメスのもとにいられるのは優位なオスだけ。

優位なオスは交尾の後、追いかけてくる他のオスたちを追い払い、防衛します。

ちなみに、優位かどうかは年齢によるところが大きいようです。


他のオスからの防衛については、別のところでも見られます。

トウブキツネリスのオスは、射精後、交尾栓という白い蝋のようなものでメスの膣をふさぐのです。

交尾栓には精子の漏出を防いだり、精子を押し込んだりする効果があると考えられていますが、後からくるオスの精子が膣に入るのを防ぐ役割もある可能性があります。

交尾栓は他の一部のリスにも見られますが、面白いことにトウブキツネリスのメスでは、この交尾栓を自ら抜きとる行動が観察されています。

メスは複数のオスと交尾したいのでしょうか?

オスのメスをめぐる競争には、個体レベルのものだけでなく精子レベルのものも存在します(精子間競争)。

このような行動は、メスは強いオスだけでなく、強い精子も求めていることを示しているのかもしれません。

交尾栓を抜きとる行動は、交尾栓を作るリスですらあまり知られていませんが、他にはトウブハイイロリスで観察例があります。

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木杭の上に立つ黒色変異のトウブキツネリス
Photo credit: steve b
NatureWorks
Fox Squirrel | Sciurus niger - NHPBS NatureWorks The fox squirrel is the largest tree squirrel.
US Forest Service Research and D...
Sciurus niger, eastern fox squirrel | US Forest Service Research and Development

トウブキツネリスの生態

生息地

下層植生がまばらな開けた森林(落葉樹林、混交林)に好んで生息します。

アメリカ(カリフォルニア州、ワイオミング州など)やカナダ(オンタリオ州、ブリティッシュコロンビア州)では、本来の生息地でないところにも導入されています。

形態

体長はしっぽを含めて45~70㎝、体重は0.6~1.2㎏で、他のリス同様体サイズに性差はありません。

犬歯はなく、他の齧歯類同様、門歯は永久に伸びます。

10亜種のうちの1亜種、デルマーヴァキツネリス(Sciurus niger cinereus)は、灰色の背中と白い腹という特徴的な体色をしています。

メスの乳頭は4対8つです。

樹枝に立つ白頭変異のトウブキツネリス
デルマーヴァキツネリス | Photo credit: U.S. Fish and Wildlife Service – Northeast Region

食性

ドングリやクルミなどの種実を主食とし、他に蕾、花、ベリー、甲虫やガなどの昆虫、鳥類の卵、菌類などを食べます。

クルミよりもドングリの方が好きなようで、冬になる前に貯食して備えます。

捕食者にはボブキャットやキツネ、アライグマ、猛禽類、ヘビなどが知られています。

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行動・社会

主に昼行性のトウブキツネリスは、樹上性ですが、地上を利用することも多く、分断された緑地でも移動することができます。

木の洞や木の又に巣を作りますが、木の洞に好んで営巣します。

音やにおい、しっぽなどでコミュニケーションします。

トウブキツネリスは、冬眠せず、地面や木の又などに隠しておいた(貯食)エサで乗り切ります。

繁殖

繁殖は年中見られますが、6月と12月にピークがあります。

交尾は30秒以内に終わります。

メスは年に2回繁殖することもできます。

妊娠期間は44~45日で、1~7匹、通常2,3匹の赤ちゃんが一度に生まれます。

赤ちゃんは母親によって巣で育てられます。

赤ちゃんは15gほどで、無毛、目が閉じた状態で生まれますが、生後5週ごろ目は開き、生後6週で巣から出ます。

生後8~10週で離乳し、生後3ヵ月頃独立していきます。

オスの方が母親のもとから遠くに分散します。

性成熟にはオスが10~11ヵ月、メスが8ヵ月ごろ達します。

野生での寿命は数年ですが、飼育下では18年生きたい個体もいます。

春の蕾の細枝で食べるトウブキツネリス
Photo credit: Don Henise

人間とトウブキツネリス

絶滅リスク・保全

現在のところ、トウブキツネリスに大きな脅威はなく、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

ただ、中西部で生息域を拡大している一方、東部では個体数を減少させているようです。

 Sciurus niger | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

トウブキツネリスを日本で見ることはできません。

雪松の枝で休む茶毛のトウブキツネリス
Photo credit: Elizabeth Pector
リス科
リス科 リス亜科 リス型亜目 リス属 リス族 齧歯目 軽度懸念 北米 アメリカ合衆国 カナダ メキシコ
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