エジプトマングースの基本情報
英名:Egyptian Mongoose
学名:Herpestes ichneumon
分類:マングース科 エジプトマングース属
生息地:アルジェリア、アンゴラ、ベナン、ボツワナ、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、 中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、コートジボワール、エジプト、エリトリア、エチオピア、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、イスラエル、ヨルダン、ケニア、レバノン、リベリア、リビア、マラウィ、マリ、モーリタニア、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、ポルトガル、ルワンダ、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、南アフリカ、スペイン、スーダン、シリア、タンザニア、トーゴ、チュニジア、トルコ、ウガンダ、西サハラ、ザンビア、ジンバブエ
保全状況:LC〈軽度懸念〉
エジプト以外にも
エジプトマングースは、その名の通りエジプトに生息します。
エジプト人との関わりも昔からあったようで、“ファラオの猫”として、紀元前の壁画にも登場します。
エジプトマングースのミイラがエジプトの墓から見つかったことからも、彼らが特別の扱いを受けていたことが想像されます。
なぜ彼らが人とこのようなかかわりを持つようになったのかは分かりませんが、マングースはヘビを捕食します。
俊敏な動きでヘビをかわし、攻撃を続けることでやっつけてしまう彼らの姿を見て、当時のエジプト人は何かを思ったのかもしれません。
そんなエジプトマングースですが、生息地はエジプトだけに留まりません。
アフリカ中部や北アフリカの地中海沿岸、そしてイベリア半島にまで生息しています。
ヨーロッパにまで生息しているとは驚きですが、彼らはどのようにして海で隔てられたアフリカとヨーロッパを移動したのでしょうか。
かつて、その理由は人間による移入の結果とされていました。
更新世後期(12万6千年前~1万7千年前)と完新世(1万7千年前~2千年前)の化石が北アフリカで知られているものの、ヨーロッパではその記録がないことなどから、このような推察がされたのです。
実際、マングースの移入は現代になっても行われてきたことです。
マングースがヘビやネズミを捕食するという理由で、彼らは様々な場所に導入されました。
日本でも、ハブや野ネズミの駆除を目的として、沖縄県と奄美大島にフイリマングースが導入されています。
しかし、最近の分子研究の成果によると、エジプトマングースは人によってヨーロッパに移入されたのではなく、更新世後期の海面変動の間、みずからヨーロッパに進入したことが分かってきています。
ただ現在、自分の意志でヨーロッパにやってきたエジプトマングースは、娯楽的狩猟の対象である小型の哺乳類を捕食するという理由で、イベリア半島では害獣として認識されているようです。
悲しきかな。
エジプトマングースの生態
生息地
エジプトマングースは、アフリカやイベリア半島に生息しています。植生があるところや、水が近くにある所を好み、砂漠には生息しません。
食性
肉食である彼らは、昆虫や哺乳類、鳥類、魚類、両生類、爬虫類などを食べます。
形態
体長は48~60㎝、体重は1.7~4㎏、尾長は33~54㎝で、肛門付近に大きな臭腺を持っています。
行動
エジプトマングースは昼行性で、夜間は岩陰や樹洞、地面の穴などで休息します。
泳ぐこともできる彼らは、単独もしくはペアを基本とした5頭までの群れで行動し、オスの行動圏は複数のメスの行動圏と重複しています。
行動圏は約3㎢になります。
繁殖
エジプトマングースは出産後10日で発情することができます。
交尾は約5分続きます。
妊娠期間は約11週で、一度に通常2~4頭の赤ちゃんが産まれます。
赤ちゃんは母親に育てられます。
赤ちゃんは生後1週で目を開き、生後2カ月で離乳します。
性成熟には約2年で達し、寿命は野生で最長12年、飼育下では最長20年です。
人間とエジプトマングース
絶滅リスク・保全
エジプトマングースは、特にイベリア半島で害獣として駆除、狩猟の対象になっています。
しかし、アフリカではヘビの捕食者として、むしろ重宝されているようです。
現在、エジプトマングースの個体数は安定していると考えられており、レッドリストでは軽度懸念の評価が与えられています。
動物園
そんなエジプトマングースですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません。
ただ、同じマングース科に属するコビトマングースは、日本でも見ることができます。
興味がある方は是非動物園に足を運んでみてください。