オリックスの基本情報
英名:Gemsbok
学名:Oryx gazella
分類:鯨偶蹄目 ウシ科 オリックス属
生息地:ボツワナ、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

オリックス
日本人にとってオリックスと言えば、まず会社のオリックスを思い出すのではないでしょうか。
リース業から始まり、今や不動産や生命保険など様々な事業を展開する、オリックス株式会社です。
もしくは、オリックスが持つ野球球団、オリックス・バファローズを思い出す方もいると思います。
オリックス・バファローズは、2005年、「大阪近鉄バファローズ」と「オリックス・ブルーウェーブ」が統合したことで生まれた球団です。
このオリックス・バファローズという名前は、動物の観点から言うと非常に親和性の高い言葉同士の組み合わせと言えます。
近鉄バファローズのバファローズは、監督として招聘された元巨人軍の千葉茂が「猛牛」と呼ばれていたことに由来します。
一方、オリックス株式会社のオリックスは、独創性を意味する「ORIGINAL」と、柔軟性や多様性を表現する「X」を組み合わせて生まれた名前です。
オリックス・バファローズという名前は、何の関係もない二つの言葉から生まれましたが、実はこの言葉からある動物を連想することができます。
それがアフリカに生息するゲムズボックとも呼ばれるウシ科動物、オリックスです。
オリックスという、動物とは別の語源を持つ言葉が、バファローというウシのイメージを連想させる言葉と結びつくことで、オリックスという動物の姿が立ち上がってきます。
オリックス・バファローズという球団名は、動物好きからすると、結果的に非常にいい名前になっているのです。
さて、前置きが長くなりましたが、そんな動物の方のオリックスは、他の3種のオリックスの仲間同様、乾燥に強い動物です。
アフリカ南部のカラハリ、そしてカルーと呼ばれる地域やその周辺に生息するオリックスは、水がなくてもしばらく生きていくことができます。
植物の茎や根に含まれる水分でやりくりするのです。
また、彼らはグレイザーと呼ばれる、地面に生えた草を主食とする動物ですが、エサの少ない乾季には木の葉や枝にエサをスイッチさせることができます。
さらに、オリックスは体温を最低35.7℃から、45℃まで上昇させることができます。
ヒトであれば、体温と同じ気温にでもなれば、立っているだけでも汗をかきますが、オリックスは45度の体温まで耐えられるため、多少の暑さでは汗をかいて体温を下げる必要がなく、これにより汗による水分の流出を抑えることができます。
乾燥という厳しい環境に耐えられる力強い動物が、オリックス・バファローズという名前に隠れていることを知る人は、あまりいないのではないでしょうか。

オリックスの生態
生息地
標高1,200mまでの乾燥、半乾燥地帯に分布し、茂みや草原で暮らします。
メキシコやアメリカ南部では導入の結果、個体群が存在します。
形態
体長は180~195㎝、肩高は115~125㎝、体重はオスが180~240㎏、メスが180~225㎏で、オリックス属では最大です。
角は雌雄ともに生え、60~150㎝になります。
メスの角の方がより短く、スレンダーです。

食性
主にグレイザーですが、乾季には木も利用します。
根や茎を蹄で掘って食べることもあります。
ソルトリックも重要です。
捕食者には、ライオンやヒョウ、チーター、ブチハイエナがいます。




行動・社会
オリックスは10頭程度の群れで暮らします。
群れはすべてメスだったり、一頭の大人のオスが含まれていたり、すべてオスだったりと多様な構成をしています。
群れは時に50~200頭の雌雄混成の大集団となることもあります。
オスは群れで暮らすこともあれば、単独でなわばりを築くものもいます。
オスは成長すると群れを離れますが、メスは生まれた群れに留まります。
繁殖
繁殖は年中見られますが、出産は同時期に見られることが多いです。
メスは約8.5ヵ月の妊娠期間の後、9~15㎏の茶色単色の赤ちゃんを1頭産みます。
出産は群れから離れて行われ、赤ちゃんは出生後も群れから離れて育ちます(ハイダー型)。
母親は群れと暮らしながら、1日に2~3回赤ちゃんのもとを訪れ、世話をします。
生後3~4ヵ月で離乳し、2歳ごろ性成熟に達します。
寿命は飼育下で約20年です。

人間とオリックス
絶滅リスク・保全
19世紀から20世紀にかけて、他のオリックス同様、人間の活動によりオリックスは個体数を減らしましたが、ここ20年程度で回復しており、個体数は安定ないし増加中とされています。
特にオリックスはトロフィーハンティングの対象としての価値が高く、ゲーム区域などの私有地では個体数が増えています。
個体数は約37万頭と推測されており、うち45%が私有地に、35%が保護区域に存在します。
現在、特に大きな脅威はなく、オリックス属では唯一絶滅危惧種ではありません。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。




動物園
オリックスを日本で見ることはできませんが、近縁のシロオリックスとアラビアオリックスは日本でも見ることができます。
