ゴールデンマントタマリンの基本情報
英名:Golden-mantle Saddleback Tamarin
学名:Saguinus tripartitus
分類:オマキザル科 タマリン属
生息地:エクアドル、ペルー
保全状況:NT〈準絶滅危惧〉
逆ハーレム
ゴールデンマントタマリンは通常複雄複雌の群れを作ります。
つまり、群れには大人のオスとメスが複数いるというわけですが、メスの内、繁殖できるのは最も優位な1匹だけです。
いわば、1匹のメスが複数のオスを独占する逆ハーレム状態です。
しかし、なぜ他のメスは繁殖できないのでしょう。
飼育下のゴールデンマントタマリンの研究により、劣位メスたちの尿中エストラジオール値は低いことが分かっています。
エストラジオールは人間のホルモンにも含まれており、女性ホルモンであるエストロゲンの主要成分です。
エストラジオールは繁殖のためのメスの体づくりに作用しています。
つまり、エストラジオールが低いということは、繁殖できるための体の準備が十分でないと言えます。
そして、この状態にはどうやら優位メスの存在が関係しているようです。
ある研究で、飼育下の群れから1匹ずつの劣位メスとオスを隔離するという実験が行われました。
すると、劣位メスのエストラジオール値が急上昇し、メスは正常な排卵周期に入りました。
ゴールデンマントタマリンの生態
生息地
ゴールデンマントタマリンは、ペルー北部とエクアドル北東部の熱帯雨林に生息します。
食性
昼行性で、果実や昆虫、樹液、花、蜜などを食べます。
形態
体長は22~24㎝、体重は290~420g、しっぽの長さは31~34㎝になります。
行動
ゴールデンマントタマリンは、2~8頭から成る複雄複雌の群れを作ります。
群れのコミュニケーションには、グルーミングや音声、においが用いられます。
においづけ行動は、優位な個体により多く見られます。
繁殖
ゴールデンマントタマリンの繁殖については分かっていないことが多いですが、一般的なタマリンのものから推測できます。
タマリンのメスは、140~150日の妊娠期間の後、双子の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは母親だけでなく、群れの他のメンバーからも育てられます。
性成熟に達するのは、生後15~24カ月です。
人間とゴールデンマントタマリン
絶滅リスク・保全
ゴールデンマントタマリンは、道路開拓や石油採掘のための森林伐採などの影響により、個体数を減らし続けています。
その結果、レッドリストでは2008年より準絶滅危惧種に指定されています。
動物園
そんなゴールデンマントタマリンですが、残念ながら日本で会うことはできません。
しかし、同じタマリン属のアカテタマリンには、千葉県の市川市動植物園、愛知県の日本モンキーセンター、静岡県の伊豆シャボテン動物公園で会うことができるので、機会がある方は是非訪れてみてください。