マントヒヒ

マントヒヒ
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マントヒヒの基本情報

英名:Hamadryas Baboon
学名:Papio hamadryas
分類:オナガザル科 ヒヒ属
生息地:エリトリア, エチオピア, サウジアラビア, ソマリア, スーダン, イエメン
保全状況:LC〈軽度懸念〉

マントヒヒ

Photo credit: Moataz1997

マントを羽織ったサル

マントヒヒを後ろから見ると、腰まで伸びた毛のために、白くて長いマントを羽織っているように見えます

これがこのサルの名前の由来となっています。

 

また、もう一つ注目したいのが、オスの容姿です。

顔を見てみると、目がくぼんでいて頬がこけています。

頭頂部だけ毛が短く、顔の横には毛がぼさぼさ生えています。

よく見てみてください。

なんかこういうおじいちゃんいません?

いますよね?

今でも研究が生きがいですみたいな感じじゃありません?

そんな親近感を覚えるような顔をしています。

 

マントヒヒとネットで検索してみると、マンドリルとの違いを説明する記事にやたらであるのですが、はっきり言ってそんなの記事にするまでもなく、全然違います。

マントヒヒのあの達観したような雰囲気はマンドリルには微塵もありません。

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彼らは聖なる役割を果たしていたのです。

マントヒヒは、昔から人間と関わりがあったようで、古代エジプトでは絵や像のモチーフとしてよく用いられました。彼らは聖なる役割を果たしていたのです。

 

マントヒヒは、昔から人間と関わりがあったようで、古代エジプトでは絵や像のモチーフとしてよく用いられました。

彼らは聖なる役割を果たしていたのです。

マントヒヒは古代エジプトにおいて、月の神であるトートの象徴として宗教的に重要視されました。

下の画像は、トート崇拝の中心地があったアシュムネイン遺跡にあるマントヒヒの像です。

また、あのルーブル美術館にもマントヒヒの像が展示されているようなので、是非探してみてください。

 

絵や像のモチーフにされるだけでなく、彼らはエジプト人たちから丁重な扱いを受けました。

生前には炙り肉やワインが与えられ、死後にはミイラとして保存されました。

このような人間にとっての丁重な扱いは、彼らにとって必ずしもそうではなかったらしく、不適切な食事と運動不足で早死にすることが多かったようです。

とはいえ、彼らがどれだけ神聖な存在として崇められていたかは想像に難くないでしょう。

ちなみにマントヒヒは、当時のエジプトには生息しておらず、近くの国から輸入されていたようです。

マントヒヒ

Photo credit: Tatiana Matveeva

重層社会

マントヒヒの特徴として、重層的な社会構造を持つことが挙げられます

群れの最小単位は(ワンメイル・)ユニットと言い、1匹のオスと複数のメス、子ども、平均約7頭から成ります。

群れのオスは基本的にリーダーの1匹ですが、群れに付きまとうオスがいることもあります

このオスはユニットのメスを引き連れて自分のユニットを作ろうとしていたり、ユニットの子どものメスを世話することで彼女たちが成長したときに自分のユニットのメスにしようとしたりします。

しかし、ユニットのメスはリーダーに厳しく監視されているので、群れ外のオスと群れのメスが接触しているのがばれると、そのオスは追い払われ、メスも噛みつかれるなどの罰を受けることになります。

 

このようなユニットが2,3集まるとクランとなります。

クランのオスには血縁関係があると言われており、このクランがさらに2,3集まるとバンドという集団になります。

バンド同士の境界線ははっきりしており、オス間の闘争に発展することもあります。

さらにさらに、夜になるとこのバンドが崖などに集まりトゥループと呼ばれる多ければ100頭にもなる大集団を作ります。

このような大集団を作る理由としては、夜に襲ってくるヒョウなどの捕食者に対する戦略だと考えられています。

 

人間も数々の集団に属しており、それが重層的に重なり合うこともあります。

ある学校のあるクラスのある仲良し集団。

これも重層社会と言えるかもしれません。

このように、重層的な社会の形成は、人間にとって本質的なことです。

マントヒヒの重層社会は、このような人間の本質を明らかにしていくためにもとても参考になるものであり、研究の対象になっています。

マントヒヒ

Photo credit: jan_borgstede

マントヒヒの生態

生息地

マントヒヒは、他のヒヒ属のなかまとは違って、アフリカだけでなく、アラビア半島にも生息しています。

サウジアラビアイエメンスーダンエリトリアエチオピアソマリアの半砂漠ステップ、乾燥サバンナなどでマントヒヒを見ることができます。

 

食性

マントヒヒは雑食性で、種子果実ガム昆虫など何でも食べます。

 

形態

体長は60~77㎝、体重はオスが約20㎏、メスが約10㎏、しっぽの長さが38~61㎝で、オスの方がかなり大きくなります。

 

繁殖

マントヒヒの繁殖には季節性がありません。

繁殖は基本的にユニット内で行われますが、リーダーの目を盗んで群れ外のオスが群れ内のメスと交尾することもあります。

メスは約170日の妊娠期間の後、1匹の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんは主に母親によって育てられますが、他の個体が赤ちゃんをグルーミングすることもあるようです。

赤ちゃんは6~15カ月で離乳し、5~6年で性的に成熟します。

また、メスは1.5~3.5歳で生まれたユニットを離れ、別のユニットに移動することがあります。

一方のオスも生まれた群れから離れますが、クランやバンド内で親戚との強いつながりを保ちます。

メスの性的休止期間は1~2年で、寿命は飼育下で約35年です。

マントヒヒに会える動物園

保全状況

マントヒヒは、他のサルほど人間の活動の影響を受けておらず、個体数はむしろ増えていると言われています

これには捕食者の影響が小さくなったこととも関係しており、彼らの重層的な社会が捕食者に対して大きな効果をもたらしている可能性が指摘できます。

レッドリストでは軽度懸念の種であり、絶滅の危機は今の所ありません。

 

動物園

そんなマントヒヒですが、全国各地の動物園で見ることができます。

年中無休、入場料無料という最高の動物園である、群馬県の桐生が岡動物園や、サルの飼育種類数世界一の愛知県の日本モンキーセンター、埼玉県の東武動物公園、静岡県の浜松市動物園伊豆アニマルキングダム、長野県の飯田市立動物園、和歌山県のアドベンチャーワールド、広島県の福山市立動物園とくしま動物園、高知県のわんぱーくこうちアニマルランド、愛媛県のとべ動物園、長崎県の九十九島動植物園森きらら、鹿児島市の平川動物公園がマントヒヒを飼育しています。東京でも、羽村市動物公園で見ることができるそうです。

なんだかおじいちゃんが恋しくなったとき、ぜひこれらの動物園に行ってみてください。












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