マンドリル

マンドリル
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マンドリルの基本情報

マンドリル


英名:Mandrill
学名:Mandrillus sphinx
分類:オナガザル科 マンドリル属
生息地:カメルーン, コンゴ共和国, 赤道ギニア, ガボン
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

マンドリル

Photo credit: Robert Young

圧倒的顔面力

鮮やかな鼻と青白い顔。この強烈な顔面を一度見たら忘れることはないでしょう。

この顔はオスだけが持っています。

オスだけこの顔である理由は諸説ありますが、メスへのアピールがその理由だと考えられます。

 

この強烈な顔面のおかげで、1万円もする『世界動物大図鑑』(ネコ・パブリッシング)の表紙を華々しく飾っています。

 

しかも顔面のアップで。

いくら美しい女優でもここまでのアップには耐えきれないでしょう。

この本は600頁もあり、動物だけでなく、魚や昆虫も紹介されている中で、この大抜擢。

それほどインパクトあるお顔です。

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マンドリルは、顔だけでなくお尻も派手です

興奮したときなど、このお尻の色はさらに派手になり、それだけでなく胸や足首、手首にも色の変化が現れるようです。

 

ちなみに、ドリルというサルはマンドリルの近縁ですが、名前やシルエットは似ているもののマンドリルのような圧倒的顔面力は有していません。

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ここで話を変えて、学名にある”sphinx”に注目してみましょう。

何か聞き覚えがありませんか?

そう、スフィンクスです。

ただ皆さんが思うあのスフィンクスを指しているのではないようです。

この言葉は「不思議な人(もの)」を表す言葉で、それが学名に使われた理由である可能性があります。

実際にマンドリルは警戒心がとても強く、野生では中々会うことができません。

ですので、野生での彼らの生活は今でもわからないことが多くあると言われています。

学名はラテン語で表されますが、調べてみるときちんと意味があるものもあり、結構面白いです。

マンドリルの生態(本郷峻氏監修)

※「マンドリルの生態」は、京都大学アフリカ地域研究資料センター特定研究員の本郷峻氏に監修頂きました。

生息地

マンドリルはアフリカカメルーンガボンコンゴ共和国などの熱帯多雨林に生息しています。

四足で歩行するマンドリルは、日中は地上で生活し、夜は木の上で眠ります。

 

食性

主に果実種子を食べ、そのほかに樹皮根っこ昆虫も食べます。

 

形態

体長・体重は、オスが70~90㎝、約25~30㎏と大きいのに対し、メスは50~70cm、約9~12㎏ほどしかありません。

マンドリルのオスは、類人猿をのぞいたサルの仲間で一番大きいです。

また、オスの体重はメスの約3倍もあり、この違いは類人猿を含めたすべての霊長類のなかで最大です。

 

行動

マンドリルは、数百頭からなる複雄複雌の大群をつくって暮らします。

その数、800頭以上にも上ることがあるようです。

これは、サルの仲間で最大の群れの大きさです。

群れのほとんどは未成熟の子供とメスで構成されていて、大人のオスは数頭しかいません。

多くのオスは群れから離れて単独で生活していると考えられています。

 

繁殖

マンドリルの繁殖には季節性が見られます。

メスの多くは乾季に発情し、オスと交尾をします。

そして約6か月後、主食の果物が多く実る雨季に出産を迎えます。

1度の出産で1頭の赤ちゃんが産まれ、主に母親に世話されます。

しかし、動物園などではオスも運搬やグルーミングなどをすることがあるようです。

メスの初産年齢は4~8歳で、野生でのメスの出産間隔は、だいたい2~3年と考えられています。

このようにメスの繁殖には季節性がありますが、一方で季節外れに発情・出産するメスも観察されていて、完全な季節繁殖というわけではないようです。

 

メスの発情期には、普段は単独で群れの外に暮らしているオスが、たくさん群れの中に入ってきて、メスをめぐってオスどうしの争いが繰り広げられます。

この季節的なオスの群れへの出入りは、サルの仲間としては例外的な特徴です。

多くのサルでは、群れの中に単独オスが入ってくることを群れのオスやメスが許さず、追い払ってしまうのですが、マンドリルではそういうことがないのかもしれません。

オス同士のけんかの際には、地面を手で叩いたり、6㎝以上にもなる長い犬歯を見せつけたりします(この「あくび」はフラストレーションを感じたときにも行われます)。

コミュニケーションには見た目やグルーミング、音声などが使われます。

 

マンドリルの寿命については、メスは飼育下で30~45年生きることもありますが、オスの寿命はずっと短く、飼育下でも15~20年くらいです。

マンドリル

マンドリルに会える動物園

マンドリルは、人間による生息地の破壊や密猟などの影響を受け、個体数を減らし続けています

特にオスのマンドリルは派手で大きいので、肉目的の狩猟が個体数減少の主要な要因となっています。

レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、さらなる個体数の減少が懸念されています。

 

そんなマンドリルですが、日本では全国各地、いろいろな動物園で見ることができます

埼玉県の東武動物公園や千葉県の千葉市動物公園など関東近郊でも見られます。

北海道ではおびひろ動物園円山動物園、四国ではのいち動物園とべ動物園、九州では熊本市動植物園大牟田市動物園などがマンドリルを飼育しています。

 

みなさんもこの強烈な顔面に会いに、これらの動物園に行ってみてはいかがでしょうか。








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