インパラの基本情報
英名:Impala
学名:Aepyceros melampus
分類:鯨偶蹄目 ウシ科 インパラ属
生息地:アンゴラ、ボツワナ、エスワティニ、ケニア、マラウィ、モザンビーク、ナミビア、ルワンダ、南アフリカ、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

季節と群れ
アフリカ南部では最も一般的なウシ科動物であり、オスのS字に曲がった角(ホーン)が特徴的なインパラ。
彼らは捕食者であるリカオンなどの動物だけでなく、人間にとっても狩猟対象として重要な生き物です。
南部アフリカ諸国ではビルトンという乾燥させた生肉が食べられていますが、インパラはビルトンにするために狩られる動物としてはスプリングボックに次いで多いとされています。
また、肉目的で狩られるだけでなく、飼育されてもいます。


そんなインパラは社会性のある動物で、15~100頭程度の群れを作ります。
彼らは比較的開けた場所に生息しているため、群れを作り捕食者に対する目を増やすのは重要です。
また、仮に捕食者に襲われたとしても群れで相手を攪乱できますし、自分が狙われる確立を下げることができます。
一方、群れで暮らしているとエサをめぐる競争や、繁殖相手をめぐる競争が発生します。
社会性を持つということはこのようなメリットデメリットを併せのむ必要があるということなのですが、インパラの社会はどのようなものなのでしょうか。
インパラの社会の性質は季節によって異なります。
暑くて水が干上がる場所もある乾季、彼らの群れは他に寛容になります。
個体同士だけでなく、群れ同士でも行動圏の重複が大幅に見られ、オスメス入り乱れることもあります。
しかし、雨季になると様相が変わってきます。
特にオスはなわばり意識が高まり、糞尿や後肢の蹄付近、額にある臭腺からでる分泌物などでマーキングすることが増えます。
また、そのオスのなわばりに他のオスが侵入しようとしたら、角を使って防衛します。
この時、インパラの群れは、強い一部のオスと多くのメスたちの群れ、若いオスだけの群れ、そしてメスとその子供中心の群れに分かれます。
繁殖期になるとこの傾向はさらに強まり、自分のなわばりにいるメスたちが他のオスにとられないようオスはなわばりを激しく防衛します。
こうしてみると、インパラの社会は餌資源によるデメリットの影響が小さいと思われます。
インパラは4つの胃を持ち植物を効率的に消化する反芻動物です。
低質なエサでも生きのびていける体があるからこそ、彼らはこのような社会を築けているのかもしれません。

インパラの生態
分類
コモンインパラ(A. m. melampus)と、ナミビアおよびアンゴラ南西部に生息するクロガオインパラ(A. m. petersi)の2亜種が、遺伝学的な裏付けをもって認められています。

生息地
山地は避ける傾向にあり、彼らが生息するのは標高1,700mまで。
ウッドランドやアカシアのサバンナのエコトーンに好んで生息します。
ガボンには導入された個体が定着しています。
形態
体長は1.1~1.6m、肩高は0.8~1m、体重は40~80㎏でオスの方が大きくなります。
後肢の蹄付近の黒い毛が特徴的でその下には臭腺が存在します。
オスにのみ生える角(ホーン)は45~92㎝になります。
上顎切歯および犬歯は欠落しています。

食性
草や低木、葉、芽などを食べます。
水は生活圏内に必須です。
捕食者にはライオンやチーター、リカオン、ブチハイエナなどがいます。



行動・社会
日中活動するインパラは、薄明薄暮時に最も活発になります。
時速60㎞以上で長時間は知ることができ、ジャンプ力も水平方向に10m、垂直方向に3mと非常に高いです。
メスは出産の前後群れを一時的に離れ、子供が生まれて2日後に群れに合流します。
繁殖
繁殖期は3月~5月です。
メスは194~200日の妊娠期間の後、1頭の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは生後4~5ヵ月で離乳し、1~1.5歳で性成熟に達します。
オスが実際に繁殖に参加するようになるのは4歳ごろです。
寿命は約15年です。

人間とインパラ
絶滅リスク・保全
インパラの全体の個体数は安定しており、200万頭以上と推定されています。
うち4分の1が保護区に生息しています。IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
ただ、亜種のクロガオインパラは数千頭しかおらず、狩猟や家畜との競合、持ち込まれたコモンインパラとの交雑による影響が懸念されています。

動物園
日本でインパラに会うことはできません。
