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『日本のクマ ヒグマとツキノワグマの生物学』

2026 3/24
参考書籍
2026年3月24日
日本のクマ
目次

書籍情報

書名:日本のクマ ヒグマとツキノワグマの生物学
著者:坪田敏男(北海道大学大学院獣医学研究科教授)、山﨑晃司(東京農業大学地域環境科学部教授)
出版社:北海道新聞社
発行年:2011年
価格:5,800円(+税)
ページ数:370ページ

■目次 

 序章 クマの生物学

Ⅰ ヒグマ

 第1章 採食生態

 第2章 行動圏と土地利用

 第3章 個体群と遺伝的変異

Ⅱ ツキノワグマ

 第4章 行動

 第5章 食性と生息環境

 第6章 個体群の成り立ちと遺伝的構造

 第7章 高山帯・亜高山帯の利用

Ⅲ ヒトとクマの共存

 第8章 ツキノワグマの保全生態学

 第9章 クマの保全医学

 第10章 ヒトとクマの関係

 第11章 ヒグマの保護管理

 第12章 ツキノワグマの保護管理

日本のクマ ヒグマとツキノワグマの生物学 [ 坪田敏男 ]
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ヒグマとツキノワグマ

現存する8種のクマの内、完全肉食性のホッキョクグマ、ほぼ完全昆虫食性のナマケグマと、ほぼ完全食性のジャイアントパンダとメガネグマの間の雑食性を示し、かつ日本に生息するクマ。

すなわち、北海道のヒグマ(エゾヒグマ)と、本州及び四国のツキノワグマについて、高いレベルで同時に知ることができるのが、この『日本のクマ』です。

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現在、ツキノワグマとヒグマは、中国など一部地域で同所的に生息しています。

かつての日本でも、両種は東北などで共存していたようですが、今では津軽海峡を東西に走るブラキストン線と呼ばれる動物相の分布境界線を境に、以北ではヒグマが、以南ではツキノワグマが生息しています。

同じところには生息していないとはいえ、複数種のクマが生息する国は多くありません。

また、日本では、アイヌの風習や東北のマタギなどに見られるように、クマと人との関わりが深いです。

さらに、日本のツキノワグマに至っては、世界のツキノワグマが減少傾向にある中、増加傾向にあると言われています。

このように、日本はクマ研究が発展するには十分な国であり、本書ではそんな国でこれまで行われてきた研究について触れることができます。

本書のねらいは、「はじめに」にあるように、「クマ類の高い適応能力」と「適応能力の高さとともに、不思議なまでに進化の方向性を変えてきた食性と、それにともなう生息地利用の柔軟性」を紹介すること、「日本のクマの個体群の現状を、遺伝情報と生息情報にもとづき描くこと」、そして「現代に生きる日本のクマ2種が直面する問題を人間側の視点から見据えること」です。

章構成はこのねらいを反映したものになっており、「最新の研究や対策の最前線を紹介するため」のトピックを含めると、計17名もの専門家が各章・トピックを執筆しています。

ちなみに、本書では現生するクマがすべて登場します。

ヒグマとツキノワグマにフォーカスしているとはいえ、他のクマに関して知ることができるのも、本書の特徴かもしれません。

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日本において、クマという動物は、10名が死傷した1915年の三毛別羆事件などの人身事故のインパクトの大きさのせいで、獰猛な肉食動物というイメージが流布しています。

また、農作物を荒らす害獣というイメージもあることでしょう。

このようなイメージのせいで、クマが生息する地域に暮らす人の中には、精神的苦痛を感じる人もいます。

しかし、本書はそのような人間の一方的なイメージを、彼らの生物としての側面を描くことで、淡々と払拭していきます。

クマとはどのような生き物で、私たちはどのように彼らと付き合って行けば良いのか。

本書は、2種ものクマと同じところに生きる日本人にとって重要な問いについて考える機会を与えてくれます。

本書は「クマの生物学に関する学術書」であるため、内容は簡単ではありません。

また、写真や図は最低限に抑えられており、事前知識も少なからず必要です。

しかし、その一方でそれぞれの章がそれぞれの専門家によって書かれているため、内容は関連していても独立しています。

そのため、自分が興味のある所だけを読むという読み方ができます。

クマについてこれから知ってみたいという方も、一度は手に取ってみてはいかがでしょうか。

ヒグマとツキノワグマ。日本の生態系の頂点に君臨する彼らについて知るために、本書『日本のクマ』は最適でしょう。

是非ご一読ください。

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