インドジャコウネコの基本情報
英名:Large Indian Civet
学名:Viverra zibetha
分類:ジャコウネコ科 ジャコウネコ属
生息地:バングラデシュ、ブータン、カンボジア、中国、インド、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム
保全状況:LC〈軽度懸念〉
縞模様と香り
タイで“輪が付いたしっぽを持つジェネット”、ラオスで“ストライプのしっぽを持つシベット”と呼ばれるように、インドジャコウネコはしっぽと首元の白と黒のストライプが特徴的です。
また、マレーシアで“ムスクシベット”、日本で“麝香猫(じゃこうねこ)”と呼ばれるように、彼らはそのにおいも特徴としています。
ジャコウネコはマーキングの際に、陰部の臭腺から分泌物を出します。
この分泌物がシべトンと呼ばれる芳香成分を含んでおり、香水に使われているのです。
これらの特徴は彼らを彼らたらしめるものではあるのですが、そのために彼らは人間の欲望の標的となってしまいます。
事実、インドジャコウネコは生息地全域で狩猟の対象となっています。
狩猟の目的は、彼らの毛皮を得るため、彼らの肉を食らうため、彼らのにおいを手に入れるためと様々です。
目的は何であれ、人間による狩猟のために、インドジャコウネコは数を減らしてしまいます。
その結果彼らはIUCNにより準絶滅危惧種に指定されてしまいました。
ただ、現在は様々な調査から彼らが思っていたほどは少なくなっていないことが分かってきており、IUCNの評価は2015年に格下げされ、現在は軽度懸念(LC)となっています。
とはいえ、個体数は未だ減少傾向にあると考えられています。
各国は保護区を作るなど彼らの保全に努めていますが、狩猟は未だに続いているようです。
インドジャコウネコは基本的に地上性なので、狩猟犬などに見つかり襲われやすい動物です。
人の欲望が彼らをこれ以上苦しめないよう祈るばかりです。
インドジャコウネコの生態
生息地
インドジャコウネコは、東南アジアや南アジアの沼沢林やマングローブ林など森林地帯に生息します。
海抜0~3,080mまでの環境に生息し、二次林やプランテーションで観察されることもあります。
食性
インドジャコウネコは、鳥類、両生類、爬虫類、小型哺乳類、果実、卵、魚類、甲殻類などを食べます。家禽を襲うこともあります。
形態
体長は約80㎝、体重は3.4~11㎏、尾長は約40㎝で、オスの方がやや大きくなります。
爪は出し入れができ、足の裏には毛が生えています。
行動
インドジャコウネコは、夜行性で単独性です。
基本的に地上で暮らし、普段は他の動物が掘った穴や茂みで生活しますが、木に登ることもできます。
行動圏は陰部の臭腺から出る分泌物でマーキングします。
トゥンヤイ・ファイカケン野生生物保護区群で行われた4頭の追跡調査によると、行動圏はオトナオスが8.8㎢、オトナメス2頭がそれぞれ2.6㎢、6.9㎢、亜成獣メスが2.7㎢でした。
繁殖
インドジャコウネコは、年中繁殖すると言われています。
1年に2回繁殖し、100g未満の赤ちゃんが1度に2~4頭産まれます。
赤ちゃんは約10日で目を開き、1カ月で離乳します。
育児は地面の巣穴や茂みで、もっぱら母親によって行われます。
寿命は飼育下で約20年の記録があります。
人間とインドジャコウネコ
保全状況
先述のようにインドジャコウネコは減少傾向にあるものの、絶滅の危険性に関しては軽度懸念に留まっています。
しかし、狩猟や生息地の破壊、転換などの影響は依然として存在しています。
動物園
そんなインドジャコウネコですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません。
しかし“Large Indian Civet”の英名を持つインドジャコウネコに対して、“Small Indian Civet”の英名を持つコジャコウネコには、愛知県の東山動物園で見ることができます。
彼らを見た際には、是非大きな方も思い出してみてください。