マントホエザルの基本情報
英名:Mantled Howler Monkey
学名:Alouatta palliata
分類:クモザル科 ホエザル属
生息地:コロンビア, コスタリカ, エクアドル, グアテマラ, ホンジュラス, メキシコ, ニカラグア, パナマ, ペルー
保全状況:LC〈軽度懸念〉
マント羽織り叫ぶサル
このサルは他のサルには見られない、いくつもの特徴を持っています。
まずはそのマントのような長い毛。
クロホエザルやアカホエザルを見ると分かるように、このような長い毛を持っているのはこのサルだけです。
英名にある“mantled”も、マントを羽織ったという意味になります。
ちなみに、この長い毛は地域によって色が違うようです。
次に鳴き声。
名前の通り、このサルは大きな声で鳴きます。
ホエザルのなかまは、喉のあたりにのど袋を持っており、これが拡声器の役割を果たします。
仲間と共に鳴けば、その音は5キロ先まで届くと言うので驚きです。
ちなみに英名の“howler”は、ほえる獣という意味です。
彼らの鳴き声は下の動画で聞くことができます。
はっきり言って気持ちのいい音ではありません。
ラストはしっぽ。
マントホエザルの長くて太いしっぽは、枝をつかむことができ、しっぽ1本で木にぶら下がることができます。
このしっぽの先には実は毛が生えていません。
むき出しになった肌には、手のひらのように尾紋と呼ばれる模様があります。
これのおかげでつかむ力がさらに強くなります。
そこに汗をかけば、グリップ力はもっと強くなります。
マントホエザルの生態
生息地
マントホエザルは、中米から南米北部にかけて熱帯雨林などに生息します。
食性
昼行性で、葉や果実、花などを食べます。
形態
体長は38~58㎝、体重はオスが6~7㎏、メスが4~5キロでオスの方がかなり大きくなります。
しっぽは体長より長く、52~67㎝にもなります。
行動
マントホエザルは、平均14頭からなる、単雄複雌または複雄複雌の群れを作ります。
この群れのサイズは、ホエザルのなかまの中では大きいことが知られています。
また、オスもメスも生まれた群れを離れることも、このサルの特徴です。
群れには序列があり、αオスがボスであり続ける期間は約4年と言われています。
また、群れはそれぞれなわばりを持ち、一部では重複している部分があります。
なわばりは先述の叫び声によって特に朝方と夕方にアピールされます。
繁殖
マントホエザルは、1~2年に一度繁殖を行います。
繁殖には季節性はみられないようです。
メスは6カ月の妊娠期間の後、1匹の赤ちゃんを産みます。
生まれた赤ちゃんは母親に育てられ、約3年で性成熟に達します。
人間とマントホエザル
絶滅リスク・保全
マントホエザルは、生息地の破壊や狩猟などの影響を受けていると言われていますが、その数についてはあまりよく分かっていません。
レッドリストでは軽度懸念に留まっていますが、特に更なる森林破壊が進めば、彼らは絶滅に瀕することになるのは間違いないでしょう。
動物園
そんなマントホエザルですが、日本の動物園では会うことができません。
面白い特徴をいくつも持つサルだけに、直接見られないのは残念です。