ミルンエドワーズイタチキツネザルの基本情報
英名:Milne-edwards’s Sportive Lemur
学名:Lepilemur edwardsi
分類:イタチキツネザル科 イタチキツネザル属
生息地:マダガスカル
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉
イタチキツネザル – ウンチを食べるサル?
夜のお調子者
英名に使われている“sportive”は、「ふざけた」、「ひょうきんな」、「陽気な」などの意味を持ちます。
その名の通り、ミルンエドワーズイタチキツネザルは、特に雨季の夜にはっちゃけます。
ミルンエドワーズイタチキツネザルは夜行性で、夜になるとえさを求めて活発に活動します。
基本的に単独で行動し、それぞれがなわばりを持ちます。
なわばりはオスとメスで被ることがあります。
また、このサルは他のキツネザルと違い、なわばりをアピールするために匂いを用いません。
その代わりにラウドコールと呼ばれる音声を使います。
雨季の夜にはこの声が森中に響き渡るようです。
夜が明けると、彼らの活動は終了します。
夜と違って、朝は複数の個体と一緒に木の洞などで眠ります。
下の動画では、木の股でお休み中のミルンエドワーズイタチキツネザルを2匹見ることができます。
夜中よほど調子に乗ったのか、ピクリともしません。
ミルンエドワーズイタチキツネザルの生態
生息地
ミルンエドワーズイタチキツネザルは、マダガスカル北西部の熱帯乾燥林などに生息します。
地上に降りることはなく、樹上をヴァーティカル・クリンギング・アンド・リーピングで移動します。
食性
葉を主食とし、他に果実や花なども食べます。
イタチキツネザルは、葉を消化するために大きな盲腸を持っています。
ここで消化しにくい葉のセルロースをバクテリアが分解してくれます。
形態
体長は30㎝弱、体重は700g~1㎏で、体長と同じくらいのしっぽを持ちます。
また、妊娠したメスを除くと、体格上において性差はありません。
繁殖
ミルンエドワーズイタチキツネザルの繁殖には季節性が見られます。
繁殖は年に1度、乾季が始まる5月~6月にかけて行われます。
面白いことに、メスの排卵は自分のなわばりの近くに住むメスと同じ時期に起こるようです。
見事繁殖が成功すれば、4~5ヶ月の妊娠期間を終え、メスは1匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは最初の数日は寝床で育てられます。
そしてその後、母親は採食の際に赤ちゃんを口にくわえて運ぶようになります。
人間とミルンエドワーズイタチキツネザル
絶滅リスク・保全
ミルンエドワーズイタチキツネザルは、樹上性が高く地上を移動しません。
そんな彼らにとっては焼畑などによる生息地である森林の減少、分断は深刻な問題です。
それに加え、肉目的の狩猟などにより彼らの個体数は減り続けています。
レッドリストでは、絶滅危惧ⅠB類に指定されてしまっています。
動物園
絶滅の危機に瀕したミルンエドワーズイタチキツネザルですが、残念ながら日本で会うことはできません。
いつの日かマダガスカルのお調子者を日本でも見ることができるようになるといいですね。