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ヤマシマウマ

ヤマシマウマ
©2017 Bernard DUPONT : clipped from the original
目次

ヤマシマウマの基本情報

英名:Mountain Zebra
学名:Equus zebra
分類:奇蹄目 ウマ科 ウマ属
生息地:アンゴラ、ナミビア、南アフリカ
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

ヤマシマウマ
Photo credit: Bernard DUPONT

参考文献

ハーレムと独立

アフリカ南部の山地に生息する、腹まで伸びない太い縞模様で他のシマウマと区別できるヤマシマウマ。

彼らは、ハーレムと呼ばれる繁殖のための群れを作ることで知られています。


ハーレムは普通、1頭のオスと1~5頭のメスおよびその子供たちから成ります。

群れの仲間同士のつながりは強く、体をこすりつけたりゆすったりするグルーミングなどのコミュニケーションによって、そのつながりは保たれています。

ハーレムは20年近くの長期間にわたって存続し、特にメスは同じハーレムに一生属し続けるとされています。


一方、群れを率いるオスは入れ替わる可能性があります。

群れを持たないオスは、グループを作り、周囲のハーレムのオスが死ぬなどしていなくなる機会や、若いメスが群れを離れた際に自分の新たなハーレムを作る機会、そしてハーレムのオスに挑戦して群れを乗っ取る機会を伺います。

ハーレムの乗っ取りは、キックや噛みつき、ぶつかりなどなど激しい戦いを伴います。

ハーレムのオスの役割は、群れのメスつまり自分の繁殖相手を守ることなので、このケンカに負けるわけにはいかないのです。


さて、ここでハーレムで育つ子供たちに注目してみましょう。

ハーレムに生まれた子供は、すぐに母親について歩けるようになり、その後1~3歳でハーレムを離れることになります。

メスは独立後、他の群れに移るか、新たにハーレムを作るオスについていくかする一方、オスは一人で放浪したのち、オスだけのグループに参加します。


ところで、ヤマシマウマには南アフリカに住むケープヤマシマウマ(E. z. zebra)と主にナミビアで暮らすハートマンヤマシマウマ(E. z. hartmannae)という亜種がいますが、独立の様式は亜種ごとに違うようです。

ケープヤマシマウマは自発的、意識的にハーレムを離れますが、ハートマンヤマシマウマは追い出されるようにしてハーレムを離れるというのです。

シマウマの世界にも文化のようなものがあるのでしょうか。

ハートマンヤマシマウマ
ハートマンヤマシマウマ | Photo credit: s9-4pr

ヤマシマウマの生態

生息地

ヤマシマウマは標高2,000mまでの、険しい崖を擁し、水資源や草の多様性が豊かな山地に暮らします。

ケープヤマシマウマが南アフリカに生息する一方、ハートマンヤマシマウマはナミビア、アンゴラ、南アフリカに生息します。

ヤマシマウマ
Photo credit: VinceTraveller

形態

体長は2.1~2.6m、肩の高さは1.1~1.5m、体重は240~372㎏、尾長は40~55㎝で、オスの方がメスよりも30㎏ほど重くなります。

また、ハートマンヤマシマウマの方がケープヤマシマウマよりも若干大きくなります。

蹄は他のウマ類に比べて硬く、山での生活に適応しています。

縞模様は個体ごとに違います。

首元のひだ、肉垂はこの種の特徴です。

食性

ヤマシマウマは草を食べるグレイザーですが、枝や葉などを食べることもあります。

栄養分が多い緑の部分を好んで食べますが、低質なエサでもたくさん食べることでエネルギーを得られます。

捕食者にはライオンヒョウチーターブチハイエナなどが知られています。

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行動・社会

シマウマは昼行性で、朝、午後から日没にかけて活動します。

季節によって大規模な移動をする群れもあります。

なわばり性は弱く、ハーレムの行動圏は他のハーレムと重複しています。

砂浴びや泥浴びをよくしますが、これは寄生虫を落とす、日光から体を守るためとされています。

繁殖

ヤマシマウマは年中繁殖しますが、11月から4月にかけて出産のピークが見られます。

メスの出産間隔は1~3年、妊娠期間は約1年で、1度の出産で体重25㎏、体長120㎝の赤ちゃんを1頭産みます。

赤ちゃんは生後数日で草を食べ始めますが、離乳は生後10ヵ月頃です。

1~3歳で群れを離れ、メスは3~6歳で初産を経験し、オスは5~6歳ごろ自らのハーレムを持ち始めます。

寿命は野生で約20年、飼育下では最長29年です。

ヤマシマウマ
Photo credit: Bernard DUPONT

人間とヤマシマウマ

絶滅リスク・保全

ヤマシマウマの総個体数は約3万5千頭と見積もられており、IUCNのレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

3万5千頭の内訳は、1,700頭がケープヤマシマウマ、残りがハートマンヤマシマウマです。

ケープヤマシマウマは1950年代、狩猟と農地の拡大により80頭程度にまで減少していましたが、現在回復の途上にあり、個体数は増加中です。


脅威としては毛皮や肉を目的とした狩猟、生息地の破壊の他、干ばつや交雑が挙げられます。

ハートマンヤマシマウマとケープヤマシマウマの亜種間の交雑、ケープヤマシマウマとサバンナシマウマの種間の交雑はすでに確認されており、今後の懸念事項とされています。

ヤマシマウマ
Photo credit: Brian Snelson
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動物園

ヤマシマウマは日本の動物園でも会うことができます。

茨城県のかみね動物園、神奈川県の夢見ヶ崎動物公園、広島県の福山市立動物園が亜種のハートマンヤマシマウマを飼育・展示しています。

日立市公式ウェブサイト
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福山市立動物園:動物紹介 福山市立動物園のウェブサイトです。各種イベントのご紹介や、どうぶつ図鑑、飼育員ブログなど福山市立動物園に関する情報を配信しています。
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