クリームオオリスの基本情報
英名:Pale Giant Squirrel
学名:Ratufa affinis
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 オオリス属
生息地:ブルネイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ
保全状況:NT〈準絶滅危惧〉

参考文献
サルと同じニッチ
マレー半島、ボルネオ島、スマトラ島に生息する最大級の樹上性リス、クリームオオリス。
体重1㎏を超える彼らは、木の高いところで暮らし、その主食は果実や種子など大型であるからこそ食べられるものです。
ただ、リスの中では大きいクリームオオリスですが、動物全体で見ればそうでもありません。
同じく森林に暮らし果実や種子などを食べるオランウータンやテナガザル、オナガザルなどの霊長類と比べると、体サイズは劣ります。
マレー半島では、クリームオオリスの個体数密度は低いと推測されていますが、これは同じようなエサを食べる霊長類や鳥類との競合が影響していると考えられています。



一方で、例えば霊長類からすると、種の多様性という面でクリームオオリス含め、オオリス属の種たちは一定の影響をもっているかもしれません。
生態学にはニッチと呼ばれる言葉があります。
これは生態的地位とも呼ばれ、その名の通り、その種の生態系におけるポジションを表します。
例えば、地上に住むのか樹上に住むのか、樹上であれば木のどの高さに住むのかは、ニッチを決める上で重要な要素です。
同じように、何を食べるのか、どの時間帯に活動するのか、どういうサイズなのか、どういう社会を持つのかなどもニッチに大きく影響しています。
さて、霊長類の種の多様性問題ですが、霊長類が多く住む熱帯雨林が存在するアフリカ、南米、東南アジアの中で、東南アジアは他と比べて種の多様性が低い、特に小型種が少ないという指摘があります。
これには、クリームオオリスのような霊長類と似たニッチを持つ動物の存在が影響している可能性があります。
つまり、小型の霊長類が占めてもいいはずのニッチを、クリームオオリのような大型リスが占めることで、霊長類の種の多様性に関与しているのです。
生態学には異なる2種が同じニッチを共有し、長く共存することはできないという法則があります。
これは競争排除則と呼ばれ、提唱した学者の名前をとってガウゼの法則とも言います。
東南アジアにおいては、ガウゼの法則が働き、小型の霊長類の多様性が低いのかもしれません。

クリームオオリスの生態
生息地
標高1,500mまでの湿潤常緑林や沼沢林などに生息します。
プランテーションや二次林で見られることもあります。
形態
体長は32~35㎝、体重は1~2㎏、尾長は37~44㎝です。
体色はボルネオ島に生息するものなどは濃くなります。

食性
果実や種子、葉、樹皮、昆虫などを食べます。
捕食者にはカンムリワシなどの猛禽類やネコ科動物、ヘビ類などがいます。
行動・社会
キャノピーが閉じた森林で暮らす彼らは、樹高の高いところで暮らし、ほとんど地上に降りてきません。
昼行性で薄明薄暮時に最も活発になります。
単独性でなわばり性があり、尿や樹皮を剥ぐことでマーキングします。
音声を多用し、危険を感じた時などは鳴きます。
繁殖
繁殖についてはわかっていないことが多いですが、他のオオリス属と同じようだと考えられます。
繁殖は年中行われるようで、メスの妊娠期間は約30日。
一度に1~2匹、最大3匹の赤ちゃんが巣に産み落とされます。

人間とクリームオオリス
絶滅リスク・保全
森林伐採や狩猟、分断などにより個体数を減らし続けています。
ボルネオ島ではキャノピーが閉じた標高1,500mまでの濃い森林は、1973年から2010年の間で63%も喪失したとされており、樹上性のクリームオオリスには大きな影響を与えているはずです。
IUCNのレッドリストでは準絶滅危惧に指定されており、クリームオオリス含め、オオリス属の種はすべてワシントン条約(CITES)の附属書Ⅱに記載されています。
Pale Giant Squirrel | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
クリームオオリス含め、オオリス属の種を日本で見ることはできません。


