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クリハラリス

クリハラリス
©2019 LiCheng Shih : clipped from the original
目次

クリハラリスの基本情報

英名:Pallas’s Squirrel
学名:Callosciurus erythraeus
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 タイワンリス属
生息地:バングラデシュ、カンボジア、中国、インド、ラオス、マレーシア、ミャンマー、台湾、タイ、ベトナム
保全状況:LC〈軽度懸念〉

クリハラリス
Photo credit: houroumono

参考文献

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騒がしいリス

栗色の腹が特徴的なクリハラリスは、日本では外来種として知られています。

1935年、伊豆大島の飼育個体が逃亡したことを皮切りに、1950年代には大阪城や姫路城など城周辺の公園や島といった観光地、家などでの飼育が盛んになり、そうした個体が逃げ出したことで、現在では14都府県に定着しています。

神奈川県に最も広く分布し、最も多く生息するクリハラリスは外来生物法により、特定外来生物に指定されています。

ちなみに、伊豆大島の個体含め日本に生息する多くのクリハラリスが台湾由来であることから、台湾亜種の名前であるタイワンリスの名前がよく使われます。


さて、このクリハラリスはよく鳴くことで知られています。

彼らは樹上性ですが、樹上は生い茂る枝葉のせいで視覚がさえぎられるため、聴覚による情報収集、コミュニケーションが役に立ちます。

そのため、彼らだけでなく樹上性リスにはよく鳴く種が多いです。

音声は種によって異なります。

特に繁殖にかかわる音声が同じでは、違う種の異性を呼び寄せることにもなるため、基本的にリスは他種のリスの音声にはあまり反応しません。

こうした種間の音声の違いは、遺伝子の違い、つまり種と種の遺伝的距離と相関があることが知られています。


繁殖に関する音声に関して、このクリハラリスのオスは、交尾後に捕食者を警戒する警戒音声(alarm call)と同じ音を出すことで知られています。

クリハラリスの繁殖様式は乱婚制です。

1匹のメスに多いと10匹以上ものオスが群がり、交尾するのです。

通常、樹上性リスでは最も優位なオスが交尾のほとんどを独占する場合が多いですが、クリハラリスのようにオスがこれほどまでに多いと、他のオスを払いのけるコストがかかりすぎます。

そのため、クリハラリスではオスが次々と入れ替わってメスと交尾することがあります。

しかし、オスにとっては交尾したメスが他のオスと交尾するのを防ぎたい。

そのために、警戒音声と同じ音声を交尾後に発している可能性があります。


警戒音声を聞いた他のクリハラリスは、周りに捕食者がいることを警戒して動きを止めます。

これは交尾したオスにとっては大きなメリットでしょう。

また、クリハラリスのオスは、交尾した後、交尾栓という白い塊をメスの膣に入れます。

交尾栓には精子の流出を防ぐなどの効果があるとされていますが、他のオスがメスを追いかけないよう、そして、交尾したメスが動いて交尾栓が取れないようにするために、警戒音声は非常にいい技なのです。


ちなみに、クリハラリスの警戒音声は捕食者にあわせて異なる音を持ちます。

空からくる猛禽類、ヘビ類、地上の肉食動物。

これらに対してそれぞれの警戒音声を持ち、それを聞いた者たちはそれぞれの音に合わせた反応を見せるのです。

例えば、ヘビを見たリスは「チーチー」という音を出し、それを聞いたリスはその音源に寄っていきます。

音源から逃げるべきではと思いますが、クリハラリスでは集団で捕食者であるヘビに嫌がらせのような行動をすることが知られています。

これはモビングといい、リスたちはチーチーと鳴きながらヘビを囲み、寄ってはさっと退がる行動を20分ほど続けるのです。

樹上性という生態のために、中々研究が難しい樹上性リス類ですが、彼らは我々が思っているよりも多様なコミュニケーションをしているのかもしれません。

クリハラリス
Photo credit: Cataloging Nature

クリハラリスの生態

生息地

標高3,000mまでの、熱帯および亜熱帯の山地常緑林、広葉樹林などに生息します

中国では針葉樹林や混交林にも生息しています。

アルゼンチン、ベルギー、オランダ、フランス、日本では導入などにより外来種として定着しています。

形態

体長は16~26㎝、体重は300~460g、尾長は11~26㎝で、見た目に性差はありません。

他のリス同様、かぎづめが生えており、足は左右に180度回転できます。

必ずしも腹は栗色ではなく、台湾南部の個体は腹部が灰色で、日本の多くのクリハラリスもその体色をしています。

クリハラリス
Photo credit: LiCheng Shih

食性

40種以上の植物を利用し、その種子や果実、花、樹液や、昆虫、鳥の卵なども食べます。

熱帯、亜熱帯では少ないですが、中国四川省では貯食行動が見られます。

捕食者にはカンムリワシやサシバといった猛禽類、ヘビ類などがおり、霊長類のタイワンザルも捕食する場合があります。

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行動・社会

昼行性樹上性のクリハラリスは、樹高7~18mにある洞を巣としたり、枝の上に巣を作ったりします。

行動圏はオスが1.3~3.8ha、メスが0.5~0.8haで、メス同士の行動圏の重複は見られません。

オスはオス同士や複数の異性同士と行動圏が重複します。

繁殖

クリハラリスは年中繁殖可能で、メスは子供が独立した直後から繁殖を再開します。

メスの妊娠期間は47~49日で、一度に4匹までの赤ちゃんが生まれます。

赤ちゃんは生後40~50日で巣から出るようになり、その後離乳、独立、そして1歳ごろまでに性成熟に達します。

寿命は野生では数年ですが、飼育下では15年以上生きる個体もいます。

クリハラリス
Photo credit: Licheng Shih

人間とクリハラリス

絶滅リスク・保全

クリハラリスは南アジアなどで食用の狩猟が脅威となっている可能性がありますが、分布域は広く個体数も安定しているとされているため、絶滅懸念の程度は低く、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

日本で外来種として知られるクリハラリスは、かんきつ類やブドウ、ビワ、ナシなど果樹への被害やスギやヒノキなどの材木への樹皮剥ぎ被害、電線やケーブルをかじる被害などをもたらし、人間との間に軋轢がある場合があります。

Pallas’s Squirrel | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

日本動物園水族館協会に属しているところでクリハラリスを飼育しているところはありません。

ただ、東京都町田市の町田リス園や岐阜城がある金華山のぎふ金華山リス村はクリハラリスを飼育しており、触れ合うこともできます。

ぎふ金華山リス村のリスたちは、1930年代に持ち込まれ野生化した個体由来のようです。

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