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パンパスジカ

パンパスジカ
©2014 Fabio Rage : clipped from the original
目次

パンパスジカの基本情報

英名:Pampas Deer
学名:Ozotoceros bezoarticus
分類:鯨偶蹄目シカ科パンパスジカ属
生息地:アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ
保全状況:NT〈軽度懸念〉

パンパスジカ
Photo credit: Fabio Rage

草原のシカ

シカというと、ニホンジカなどがそうであるように森に暮らすイメージがありますが、南米に生息するパンパスジカは草原に生息するシカです

彼らが最も生息する国はブラジルです。

ジャガーやカピバラオオカワウソが多く生息する、季節的な水位変動で特徴づけられる広大な湿地、パンタナルには数万頭のパンパスジカがいるとされています。

また、「世界で最も生物多様性に富むサバンナ」とも呼ばれる、オオアリクイタテガミオオカミバクアルマジロなどが生息する広大なサバンナ、セラードには、2千頭程度のパンパスジカがいます。

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そんな彼らにとって、もう一つ重要な生息環境が、名前にもあるパンパ(英語でpampas)です。

「パンパ」とは、インカ帝国の公用語でもある(インカとはケチュア語で太陽を意味するインティに由来)ケチュア語で、「平原」を意味します。

ブラジル南端部、ウルグアイ全域、アルゼンチン東部の大半にまたがる、北海道の10倍近い面積にもなる広大なパンパは、イネ科の多年草を中心とした植生で特徴づけられ、このような生息環境は北米ではプレーリー、ユーラシアではステップと呼ばれます。

樹木がほとんど生えない平坦なパンパでは、古くから牧畜が盛んでした。

ウシやウマ、ヒツジを放牧するガウチョと呼ばれるカウボーイはパンパが発祥です。

また、気候は温暖で土壌が肥沃なため、大豆やトウモロコシ、ブドウ、小麦などの農業も発達しています。


このようにパンパは人間にとっても非常に魅力的な土地であり、それゆえ人間はパンパを次々と開拓し、農業や牧場の地にしていきます。

これはそこに住む動物たちにとっては大きな脅威です。

このような事態はパンパだけに見られるものではありません。

世界では肉の消費が高まっており、その動物の餌となる大豆の消費もまた急拡大しています。

ブラジルのセラードは、そんな大豆の一大産地。

大規模に自然を開拓し、農地を拡大していくことで、ブラジルは2019年、アメリカを抜いてとうとう大豆生産量世界一となりました。

一方でそれは動物たちの生息環境が縮小していることを意味しており、また、セラード開発による土砂流入や水質汚染は、隣接するパンタナルの環境を破壊しています。


こうした環境に生息するパンパスジカもまた、人間による開発の大きな被害を受けている動物の一種です。

かつて南米の草原に広く存在したパンパスジカは、今や限られた土地に点在するのみとなっており、個体数は現在も減少中です。

また、パンパスジカの生息地は、1世紀前と比べると1%以下に縮小していると言われています。

我々の消費の裏には、こうした犠牲が存在します。

今あなたが食べているものも、元をたどればパンパスジカの生息地だった場所で作られたものかもしれません。

パンパスジカ
Photo credit: Fabio Rage
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パンパスジカの生態

生息地

標高1,000mまでの、新熱帯区に位置する開けた草原に生息します。

形態

体長は1.1~1.4m、肩高は70~75㎝、体重は30~40㎏で、メスが若干小さくなるものの、性差はあまりありません。

季節による体色の変化もありません。

枝角(アントラー)はオスにのみ生え、片側3つの先端があります。

冬に角は落ちますが、すぐに生え始めます。

成長期の角の周りの皮膚は、夏には落ちます。

パンパスジカ
Photo credit: Peter Schoen

食性

食性はあまり知られていませんが、主に草を食べていると思われます。

捕食者にはジャガーやピュマがいますが、今やノイヌが一番の捕食者です。

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行動・社会

パンパスジカは、5頭程度の群れを作り、母子のつながりが最も強いです。

オスはメスの群れにいることもありますが、単独で見られることが一般的です。

オスは繁殖期になると角や顔を植物に押し付けにおいを残したり、同じサイズのオスと角をぶつけ合ったりします。

定住性で、季節的な移動は見られません。

繁殖

繁殖には季節性が見られ、出産は9~11月の春に見られます。

メスは約7ヵ月の妊娠期間の後、通常1頭の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんには斑点がありますが、生後2ヵ月で消失します。

性成熟には1歳以降に達し、寿命は飼育下で20年、野生では10年程度と推測されます。

パンパスジカ
Photo credit: Peter Schoen

人間とパンパスジカ

絶滅リスク・保全

パンパスジカの個体数に関する最近の調査はありませんが、20世紀末には2~8万頭がいたと推測されています。

脅威としては生息地の農地や牧場への転換、生息地の分断、狩猟、ノイヌによる捕食、家畜との競合、家畜からの病気の伝染などがあります。

IUCNのレッドリストでは準絶滅危惧に指定されており、ワシントン条約(CITES)では附属書Ⅰに記載されています。

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動物園

日本でパンパスジカを見ることはできません。

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