アカアシドゥクラングール

アカアシドゥクラングール
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アカアシドゥクラングールの基本情報

英名:Red-shanked Douc
学名:Pygatbrix nemaeus
分類:オナガザル科 ドゥクラングール属
生息地:ラオスベトナムカンボジア
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉

アカアシドゥクラングール

Photo credit: Art G.

世界一美しいサル?

顔のオレンジ色はあまりにも鮮やかで、頭から生える黒い毛との境界線がはっきりわかるほど。

顔の下半分を縁取るように生える白い毛と、胸のワインレッドの毛とのコントラストが印象的です。

ワインレッドの毛は脛にも生えておりこれが日本名の由来になっています。

胴体は灰色でおおわれ、手足は黒い毛に包まれています。

 

これほど色を持つサルがほかにいるでしょうか。

5色もの体毛を持つサルはこのアカアシドゥクラングールだけ。

そして、アカアシドゥクラングールはその体の色の多さ、美しさから「世界で一番美しいサル」「服を着たサル(costuemed apes)」とも言われています。

 

しかし、この美しいサルの個体数は2500頭以下と推測されており、絶滅危惧種ⅠB類に指定されています。

「ベトナム戦争」、これがこのサルをここまで少なくしてしまいました。

ベトナム戦争時、アメリカ軍は敵のゲリラ部隊への攻撃のためなどの理由で、ベトナムの森に枯葉剤をまいたり爆弾を落としたりしました。

特に枯葉剤の影響はその後も続き、自然と人体に多大な影響を与えました。

アカアシドゥクラングールもその被害をうけ、すみかの大半を失ってしまいました。

その結果ここまで頭数を減らしてしまったのです。

戦争は人間だけの問題ではありません。

何の関係もないのに被害を受ける彼らからしても、人間の戦争はなくなってほしいもののはずです。

アカアシドゥクラングール

Photo credit: Kevin Burkett

アカアシドゥクラングールの生態

生息地

アカアシドゥクラングールはベトナム、ラオス、カンボジア熱帯雨林などに生息しています。

樹上で生活し、ほとんどの時間を林冠部(木の上層部)で過ごします。

 

食性

彼らはリーフモンキーと言われる草を主食とするサルの仲間なので、主としてを食べます。

食べ物の80%を占める葉のほかには果実種子も食べます。

 

形態

体長は60~75㎝、体重はオスが約11㎏、メスが約8㎏、しっぽの長さは55~75㎝で、オスの方が大きくなります。

 

行動

最近の研究によると、アカアシドゥクラングールは4~15頭から成る、単雄複雌(一匹のオスと複数のメス)ないし複雄複雌(複数のオスと複数のメス)の群れを作ることが分かっています。

オスとメスにはそれぞれ序列があり、成熟するとどちらも自分が生まれた群れを離れ、別の群れに移籍します。

彼らの社会性を支えるコミュニケーションには、音声やグルーミング、表情などが使われます。

 

繁殖

メスの排卵周期は28~30日で、発情すると陰部が腫脹し赤くなります。

この腫脹は、165~190日の妊娠期間の間も続きます。

赤ちゃんは2月~6月にかけてほとんどが生まれ、4~5歳で性成熟に達します。

寿命に関しては、彼らは飼育下で20~25年生きます。

人間とアカアシドゥクラングール

保全状況

アカアシドゥクラングールは、人間による生息地の破壊などのために個体数を減らし続けています

彼らは現地では伝統的な薬とされているらしく、そのための狩猟も彼らの個体数に強く影響しています。

 

動物園

アカアシドゥクラングールにはよこはま動物園ズーラシアでのみ会うことができます。

ここではアカアシドゥクラングールのほかに、天狗のような鼻を持つテングザルなど珍しいサルに会うことができます。

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皆さん、世界一美しいサルですよ?

会いに行かないわけにはいかないでしょう!

 

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