アカスレンダーロリスの基本情報
英名:Red Slender Loris
学名:Loris tardigradus
分類:ロリス科 スレンダーロリス属
生息地:スリランカ
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉
意外に素早い
ロリスというと日本ではスローロリスが有名です。
このスローロリスは名前の通りゆっくりと動きます。
そのスローロリスと同じ科に属すアカスレンダーロリスも、えさである昆虫に悟られないようにゆっくりと動きます。
ゆっくりとしっかりと移動するために、彼らの人差し指は短く、枝をしっかりと握れるようになっています。
しかし、実はアカスレンダーロリスは常にゆっくりとしているのではなく、すばしっこく動くこともできます。
アカスレンダーロリスは、名前にあるようにスレンダーな容姿をしています。
手足は細長く、体もスリムです。
他のロリスよりもスリムな体のおかげか、アカスレンダーロリスは秒速1mを超える速さで樹上を移動することができます。
このように素早く動く移動は全体の4分の1ほどを占めると言われており、時には小さくジャンプすることもあるようです。
スローロリスが動くのを見たことがある人には驚きかもしれません。
下の動画では、アカスレンダーロリスが素早く樹上を移動するまさにその様子を見ることができるので、興味のある方は見てみてください。
アカスレンダーロリスの生態
生息地
アカスレンダーロリスは、スリランカ南西部に位置する低地性の浸潤林や熱帯雨林、高地性の常緑林などに生息します。
食性
他のロリスと同じく夜行性で、主に昆虫を食べます。
毒性のある昆虫を食べることもあるようです。
形態
体長は18~26㎝、体重は120~230gで、しっぽはありません。
行動
アカスレンダーロリスは基本的に単独で行動します。
しかし、寝るときは複数の個体が集まって寝ることがあるようです。
アカスレンダーロリスは、グルーミングや音声を使ったコミュニケーションを行いますが、中でもにおいによるコミュニケーションは特徴的です。
彼らは尿を自分の手足に付けて、それをコミュニケーションの媒体とします。
また、ひじのあたりの臭腺から出る分泌物は、コミュニケーションツールとしてだけでなく、捕食者から身を守るものとしても役立っているようです。
分泌物は唾液と混ざることで、捕食者にとって不快な物質となっていると考えられています。
繁殖
繁殖の季節性に関しては分かっていませんが、メスは5~6カ月の妊娠期間を終えて、1~2匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは約半年で離乳し、約1年で性的に成熟します。
また、赤ちゃんは産まれたときから母親につかまることができます。
そうして4週間たつと、母親は子供を枝などに置いて自分はえさ探しに出かけます。
えさが昆虫なだけに子供を背負ったままだと難しいのでしょうか。
人間とアカスレンダーロリス
絶滅リスク・保全
アカスレンダーロリスは、人間による生息地の破壊やペット、薬目的の狩猟などにより個体数を減らし続けています。
彼らの数はこの200年で8割以上減ったと言われており、今後10年でさらに2割以上減るのではないかと推測されています。
レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されており、絶滅が危ぶまれています。
動物園
そんなアカスレンダーロリスですが、日本の動物園では会うことができません。
彼らがすばしっこく動くのを直接観察してみたいものですが、残念です。