サビイロネコ

サビイロネコ©2015 David V. Raju: clipped from the original
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サビイロネコの基本情報

サビイロネコ


英名:Rusty-spotted Cat
学名:Prionailurus rubiginosus
分類:ネコ科 ベンガルヤマネコ属
生息地:インド、ネパール、スリランカ
保全状況:NT〈準絶滅危惧〉

サビイロネコ@Photo credit: David V. Raju

Photo credit: David V. Raju

世界最小のネコ

和名の由来にもなっている赤銅色の毛をしたサビイロネコは、体重が2㎏にも満たない小さなネコで、マレーヤマネコやクロアシネコなどと共に、世界最小級のネコ科動物として知られています。

インドとスリランカの固有種で、イエネコの半分ほどの大きさしかありません。

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そんなサビイロネコは、その生態についてほとんど知られておらず、現在、飼育個体からの情報が主なものとなっています。

サビイロネコは、森林だけでなく、エサである齧歯類が豊富にいるような農地でも見られることが分かっていますが、それにもかかわらずその生態が謎のままなのは、彼らの小ささゆえなのでしょうか。

 

人間に見つからないことは一方では良いことかもしれませんが、もう一方では人知れず絶滅の危機に追いやられるという可能性もサビイロネコにもたらすかもしれません。

特にインド中部では、二酸化炭素排出量を抑えるために太陽光発電が盛んになっており、サビイロネコが住んでいると思われる環境が破壊されています。

 

このような脅威がサビイロネコに及んだ結果、それまで情報不足によりその絶滅の危機の程度が評価されていませんでしたが、2002年、IUCNにより初めて評価された時、彼らはすでに絶滅の危機にあると推測され、絶滅危惧Ⅱ類に指定されてしまいました。

現在、彼らは準絶滅危惧種に格下げされているものの、彼らがどのような状態にあるかは推測の域を出ません。

 

地球にはサビイロネコがいる小さな世界を含め、私たちの知らない世界が沢山あります。

見えない世界を無視した人間の行いは、仮にそれが地球を守るためという名目があったとしても些か傲慢に思えてしまいます。

サビイロネコの生態

生息地

サビイロネコは、インドとスリランカ、ネパールの湿地林乾燥林樹木のある草原植生のある岩地などに生息します。

標高2,480mで観測記録があり、村の廃屋にも姿を現すようです。

 

食性

サビイロネコは、主に待ち伏せという戦略で、小型哺乳類鳥類爬虫類カエル類などを食べます。

獰猛な性格で、飼育個体が子どものガゼルを襲ったことがあるほどです。

家禽を襲うこともありますが、稀です。

 

形態

体長は35~48㎝、体重は0.9~1.6㎏、尾長は15~30㎝で、オスの方が大きくなります

 

行動

単独性夜行性ですが、日中活動することもあります。

オスの行動圏は複数のメスのものと重複しており、同性との重複はありません。

行動圏は主に尿でマーキングされます。

木登りが得意で、特に危機を感じたときに樹上に退散します。

 

繁殖

ほとんど分かっていませんが、季節繁殖するようです。

妊娠期間は67~71日で、60~80gの赤ちゃんが木の洞や岩陰に1~3頭産み落とされます。

赤ちゃんは2カ月で離乳し、生後15カ月ほどで性成熟に達します。

寿命は飼育下で13年ほどです。

サビイロネコ@Photo credit: David V. Raju

Photo credit: David V. Raju

サビイロネコに会える動物園

サビイロネコは主に生息地の破壊により個体数を減らし続けています。

インドおよびネパールでは、彼らの生息地の4分の3が、都市への転換、探鉱など何らかの形で利用される危険にさらされています。

そのために、サビイロネコは今後3世代、約12年で、さらに20~25%個体数を減らすのではないかと懸念されています。

 

そんなサビイロネコですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません。

日本だけでなく、海外の動物園でも中々見ることができないようです。

見ることが出来なくても彼らの世界は確実に存在します。

そんな目には見えない世界を想像しながら、生きていきたいものです。

サビイロネコ@Photo credit: Shankar Raman

Photo credit: Shankar Raman

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