ワウワウテナガザルの基本情報
英名:Silvery Gibbon
学名:Hylobates moloch
分類:テナガザル科 テナガザル属
生息地:インドネシア
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉
ソロシンガー
ワウワウテナガザルの名前は、ワウワウという鳴き声に由来します。
どんだけ適当なのでしょう。
せっかく英名に“silvery(銀色の)”入っているのだから、もっとかっこいい名前になったはずです。
そんなワウワウテナガザルですが、他のテナガザルと同様、なわばりの防衛やコミュニケーションのために歌を歌います。
しかし、この歌は他のテナガザルと違ってソロで歌われます。
多くのテナガザルはオスとメスでデュエットを組み、歌を歌いますが、ワウワウテナガザルはオスメスばらばらにソロで歌うのです。
仲が悪いのでしょうか。
ソロシンガーを守れ
実はテナガザルのなかまは全て絶滅危惧種に指定されています。
当然ワウワウテナガザルも絶滅危惧種(絶滅危惧ⅠB類)で、生存数は4,000匹以下と言われています。
そんな彼らを救うために、the Silvery Gibbon projectという団体が現地で活動しています。
彼らはテナガザルを密猟者から守ったり、教育活動をしたり、テナガザルを保護し再導入を図ったりと、ワウワウテナガザルを守るために精力的に活動しています。
下のリンクは彼らのホームページになります。
英語ですが、興味のある方は見てみてください。
また、「ABOUT」→「Gibbon Song」の順でクリックすると、ワウワウテナガザルの歌声を聞くことができます。
ソロシンガーの歌声をぜひお楽しみください。
ワウワウテナガザルの生態
生息地
ワウワウテナガザルは、ジャワ島の熱帯雨林などに生息します。
食性
昼行性で、果実を主食とします。
その他には、葉や花を食べることもあるようです。
樹上で生活し、テナガザルに特有のブラキエーションと呼ばれる移動方法で移動します。
下の動画ではその様子を見ることができるので是非ご覧ください。
形態
体長は45~65㎝、体重は4~9㎏で性差はほとんどありません。
また、しっぽがないことは類人猿の特徴です。
行動
ワウワウテナガザルは、1匹ずつのオスとメス、その子供から成る4匹程度の群れで暮らします。
繁殖
子供は8~10歳で性成熟に達し、群れを離れます。
そしてメスは10~12歳で初産を経験します。
妊娠期間は7カ月ほどで、1度の出産で1匹の赤ちゃんが生まれます。
出産したメスが再び赤ちゃんを産めるようになるには40カ月という長い期間が必要になります。
ワウワウテナガザルの繁殖はこのように時間がかかるので、一度数が減れば、それを元に戻すことがどれだけ難しいことなのか、考えるまでもありません。
ワウワウテナガザルに会える動物園
絶滅リスク・保全
ワウワウテナガザルは、生息地の破壊やペット目的の狩猟などにより個体数を減らし続けています。
特に生息地の破壊は深刻で、彼らの住む森はかつての1割以下とも言われています。
このまま森林破壊が進めば、ワウワウテナガザルの住む場所はなくなってしまうでしょう。
その前に何としても彼らの森を守らなければなりません。
動物園
そんなワウワウテナガザルですが、日本では北海道の円山動物園にて会うことができます。
機会がある方は、彼らの歌声を聞きに是非足を運んでみてください。