シモフリオオリスの基本情報
英名:Sri Lankan Giant Squirrel
学名:Ratufa macroura
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 オオリス属
生息地:インド、スリランカ
保全状況:NT〈準絶滅危惧〉

参考文献
森の住人
名前の「シモフリ」がしっぽの模様を指すシモフリオオリスは、インド南端とスリランカに生息し、インドではインドオオリスと一部同所的に生息しています。
シモフリオオリスは樹上性リスとしては最大級ですが、樹上をすばやく移動でき、かつダイナミックです。
木々の間を6mもジャンプすることができます。
手足は大きく爪が生えており、木々をしっかりとつかむことができますし、他の樹上性リスと同様、手足は両側に180度回転することができるので、頭から木を降りることができます。
しっぽもやはり大きく、体長と同じくらいの長さがありバランスをとるのに役立っていますが、他の小さな樹上性リスのように上には巻きません。
また、オオリスは他のリスとは異なり直立に座ることができません。
その代わり、大きなしっぽでやじろべえのようにバランスをとることで、手を自由に使ってエサを食べるなどします。

シモフリオオリスは普段は木の20m以上の高さのところで生活します。
枝や葉で巣を作り、夜はそこで休息をとります。
ちなみに巣は繁殖にも使われ、赤ちゃんはここで育ちます。
シモフリオオリスの主食は樹上になる果実や種子です。
彼らはリスとしては大きいので、果実に含まれる種子の中にはそのまま飲み込まれ、糞と一緒に排出されるものもあるでしょう。
そうした種子は糞という素晴らしい肥料とともに発芽するはずです。
植物からしたらシモフリオオリスはわが子を育ててくれる願ってもない存在です。
しかも彼らは木々を移動するため、その実をつけた木から離れた場所で排泄する可能性があります。
これは木からしたら母と子の競合を和らげることにつながるため、なおよしです。
森林を維持するために重要な種子散布者としてはこれまで鳥類やゾウ、クマなどの大型哺乳類、霊長類の重要性が指摘されてきましたが、もっと小さいシモフリオオリスのような動物も重要な役割を果たしている可能性があります。
保全の観点では、行動圏が広い大きな生き物や、注目を集める派手、もしくは希少な生き物が重要視されがちですが、小さい生き物たちも見逃してはなりません。
シモフリオオリスは、森林におけるリスという存在を我々に気づかせてくれるために、大きいのかもしれません。




シモフリオオリスの生態
生息地
インドでは標高500mまで、スリランカでは標高2,500mまでの常緑広葉樹林や熱帯乾燥落葉樹林、山地林などに生息しています。
形態
体長は25~40㎝、体重は1.5㎏前後、尾長は35~40㎝で、体サイズの雌雄差はほとんどありません。
耳の房毛がある場合があります。
食性
果実や種子、シロアリなどの昆虫、若葉、花、鳥の卵、樹皮などを食べます。

行動・社会
昼行性で、薄明薄暮時に最も活発になります。
単独性でなわばり性があります。
音声を多用し、危険を感じた際や繁殖の際などに使用されます。
繁殖
繁殖についてはあまりわかっていませんが、10~11月に繁殖するようです。
妊娠期間は約28日で、1度の出産で1~2匹の赤ちゃんが樹上の巣で生まれます。
赤ちゃんはそこで2~3ヵ月ほど過ごしたのち、離乳まで親と過ごします。

人間とシモフリオオリス
絶滅リスク・保全
シモフリオオリスの個体数は減少傾向にあります。
特にインドでは生息地の分断が激しく、成熟個体数は500匹未満という危機的状況にあります。
脅威としては農業や伐採、居住地の拡大などによる生息地の破壊や狩猟で、インドではインドオオリスとの交雑も問題になっています。
IUCNのレッドリストでは準絶滅危惧に指定されており、ワシントン条約(CITES)では附属書Ⅱに記載されています。
Sri Lankan Giant Squirrel | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
シモフリオオリスを含め、オオリス属の種を日本で見ることはできません。

