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スマトラサイ

スマトラサイ
©2009 Willem v Strien : clipped from the original
目次

スマトラサイの基本情報

英名:Sumatran Rhinoceros
学名:Dicerorhinus sumatrensis
分類:奇蹄目 サイ科 スマトラサイ属
生息地:インドネシア
保全状況:CR〈絶滅危惧ⅠA類〉

スマトラサイ
Photo credit: Ltshears

少なくて、離れてて、減ってゆく

赤みがかった粗い体毛が特徴的なスマトラサイは、現生する他のサイの祖先とは2,000万年以上前に分岐しており、現生種の中では更新世(180万年前~1万年前)にユーラシア大陸北部で暮らしていたケブカサイと最も近縁です。

アジアにはほかにどちらもインドサイ属に分類されるインドサイジャワサイがいますが、スマトラサイはアジアのサイで唯一2本の角を持ちます

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ジャワサイ

そんなスマトラサイは、ジャワサイとともに最も絶滅に近いサイと言われています。

ジャワサイはインドネシア・ジャワ島のウジュンクーロン国立公園にのみ生息しており、生存個体は70頭を切ると言われています。

一方のスマトラサイの個体数は80頭未満、最も少ない予想では50頭未満とされています。

スマトラサイはインドネシア・スマトラ島南部のワイ・カンバス国立公園や、グヌン・ルーセル国立公園、北部アチェ州のブキ・バリサン・セラタン国立公園(現在生息しているかは不明)などに生息しており、ボルネオ島東部にもごくわずかに生息しています。

各地の個体群は数頭からなり、30頭を超えることはないと推測されています。


生息地の破壊やその角を狙った密猟は、どのサイにも共通する脅威ですが、ことスマトラサイにとっては、個体群が小さく孤立していることが特に大きな脅威となっています

個体群が小さく、そしてそれぞれの個体群が孤立していることの大きな問題は、繁殖相手に遭遇する可能性が低くなるということです

また、繁殖相手が見つかったとしても小さい個体群では近親交配の可能性が高くなります。

通常、個体密度が高くなるほど、エサや繁殖相手をめぐる種内の競争が高まり増殖率は減少し、逆に個体密度が小さくなるほど増殖率は増加しますが、スマトラサイの場合、個体密度が小さくなりすぎて繁殖相手を見つけられなくなった結果、個体数がさらに減少するという状況に陥っているのです

このような負の密度効果をアリー効果と言います。


アリー効果に加え、特にメスは長い間交配できないと生殖器に腫瘍ができやすくなり、妊娠できなくなってしまうこともスマトラサイの状況を悪化させかねません。

比較的同所に集中して生息するジャワサイの個体数が少なくとも維持されているのに対し、各地に小さな個体群が生息するスマトラサイの数は、減少傾向にあるとされています。


とはいえ、明るいニュースもあります。

2001年、アメリカのオハイオ州にあるシンシナティ動物園では、飼育下では112年ぶりにスマトラサイの赤ちゃんが誕生しています。

アンデラスと名付けられたこのオスは2007年、ワイ・カンバス国立公園のスマトラサイ保護区に移され、その後3頭の子の父親となっています。

また、その子供たちの子供もできており、スマトラサイの未来にかすかな光が差し込んでいます。

スマトラサイ
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スマトラサイの生態

名前

属名のDicerorhinusはギリシャ語で2本の鼻の角を指しています。

英名のRhinocerosも同じ語源で鼻の角を指しています。

生息地

スマトラサイはインドネシアのスマトラ島およびボルネオ島の、標高2,500mまでの深い熱帯雨林に生息しています。

低地にも高地にも生息します。

形態

体長は2~3m、肩高は1~1.5m、体重は600~950㎏、尾長は70㎝でサイの中では最小となります

アジアのサイでは唯一2本の角を持っており、前の角は約30㎝、後ろの角は10㎝未満となります。

角は闘争のためというより、植物を倒したり地面を穿って泥をかき混ぜたりするのに使われています。

闘争にはアフリカのサイにはない下顎にのみ生えた犬歯が使われるようです。

歯は、臼歯の他にはこの犬歯しかありません。

食性

スマトラサイは木の葉や枝を食べるブラウザーで、柔軟に動かせる上唇がその食性を表しています。

100種以上の植物を食べ、微生物を住まわせた大きな盲腸と結腸で消化吸収しています。

他に果実や草も食べ、ミネラル豊富なソルトリックと呼ばれるミネラルや塩の堆積物がある場所に月に1回ほど訪れます。

捕食者はほとんどいませんが、トラや野犬が潜在的な捕食者になります。

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行動・社会

スマトラサイは単独性です。

オスは50㎢、メスは15㎢ほどの行動圏を持ち、他の個体と重複します。

4~7歳の亜成獣は、自分の行動圏を確立するまで広い範囲を行動します。

行動圏は糞や尿でマーキングし、音声も多用されます。

スマトラサイは、採餌以外のほとんどを沼で過ごします。

スマトラサイ

繁殖

スマトラサイの繁殖は野生下では知られていませんが、オスもメスも複数の異性と交尾しているとされています。

メスの出産間隔は約3年、15~16ヵ月の妊娠期間ののち、40~50㎏の毛深い赤ちゃんを1頭産みます

赤ちゃんは毎日1~2㎏の母乳を飲んで育ち、生後13~15ヵ月で完全に離乳します。

性成熟にはオスが7歳、メスが4歳ごろ達し、寿命は35~40年とされています。

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人間とスマトラサイ

絶滅リスク・保全

スマトラサイはかつてインド北部やブータン、ミャンマー、中国南部、タイなど、東南アジアを中心に生息していましたが、2011年にベトナムで、2019年にマレーシアでそれぞれ最後の1頭が亡くなって以降、彼らはインドネシアに残るのみとなっています。

1980年代には800頭ほどと予測されていた個体数は、今では100頭以下は確実とされるまでになり、IUCNのレッドリストでは最も絶滅が懸念される絶滅危惧ⅠA類に指定されています。

サイのなかま5種のうち、このⅠA類に指定されているのはスマトラサイ含め、ジャワサイクロサイの3種です。

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動物園

スマトラサイを日本の動物園で見ることはできません。

スマトラサイはインドネシアで複数頭が飼育されており、特に繁殖の面での貢献が期待されています。

スマトラサイ
Photo credit: Charles W. Hardin
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