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『パンダが来た道 人と歩んだ150年』

2026 3/24
参考書籍
2026年3月24日
パンダが来た道
目次

書籍情報

書名:パンダが来た道 人と歩んだ150年
著者:ヘンリー・ニコルズ(イギリスの科学ジャーナリスト、科学雑誌編集者。博士(進化生物学))
出版社:白水社
発行年:2014年
価格:2,400円(+税)
ページ数:304ページ

■目次

第1部 未知の動物

 第1章 極上の白黒クマ

 第2章 皮と骨

 第3章 狩りの始まり

 第4章 生け捕り作戦

第2部 象徴としての動物

   第5章 共産主義国の「商品」

 第6章 野生動物保護の顔

 第7章 お見合いの政治学

 第8章 第二の生涯

第3部 保護される動物

 第9章 大統領のパンダ

 第10章 野生のパンダたち

 第11章 飼育下での研究

 第12章 未来へ

パンダが来た道 人と歩んだ150年 [ ヘンリー・ニコルズ ]
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パンダと人の歴史

パンダと聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?

白黒のかわいいクマ、動物園の人気者、『カンフー・パンダ』、中国の絶滅危惧種、WWF(世界自然保護基金)のロゴマーク、進化に失敗した生き物、情事に関心がない動物などなど、彼らに対する多様なイメージは、ジャイアントパンダという生き物がいかに人々の間で知られているかということを思い知らせてくれます。

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本書は、このようなイメージがどのようにして作られてきたのかということを、人とパンダの歴史にスポットライトを当てて解き明かそうとします。

そのため本書は、自然の中でパンダがどのように生きているのか、その生態を詳しく紹介するというよりかは、人間世界におけるパンダの歴史を追っていく、そのような内容となっています。

およそ2000万年前、クマの共通祖先から分岐して以来歩んできたパンダの歴史と比べれば、彼らと人との関わりの歴史は非常に短いものですが、それでもその歴史は私たちを楽しませてくれます。

筆者もプロローグで次のように述べています。

私がこのテーマに関心を持った理由はいくつもあるが、最大の理由は、それが極めて興味深い歴史物語だということだ。放っておくのがもったいないくらい魅力的なストーリーが、ここにはある。(中略)読者のみなさんにも、この類まれな動物がたどってきた紆余曲折の歴史物語を楽しんでいただければうれしい―というより、かならず楽しんでもらえるはずだと、ひそかに自負している。(p12)

何がそんなに面白いのか、これを知るためにパンダが歩んできた歴史物語を、目次に沿って少しだけ見てみましょう。

第1部「未知の動物」では、ジャイアントパンダが科学的に言及されてから、彼らが人々をどう魅了し、それが何をもたらしたかということが描かれます。

1869年、あるフランス人カトリック宣教師がジャイアントパンダを西洋科学界に紹介します。

これを機に、人々は我先にとパンダの獲得に狂い始めます。

人間のもつ非情な探求欲の強さを思い知らされます。

またここでは、その当時パンダと言うと指していたレッサーパンダとの関係など、分類学上の論争(クマかアライグマか)も描かれます。

第2部「象徴としての動物」では、1949~1972年にかけて、パンダが人間たちによってどのように扱われてきたかを中心に語られます。

この時期、メディアの影響もありパンダの人気はどんどん高まっていき、政治や経済にも利用されます。

そのため、パンダは意外にも風刺漫画に描かれることもありました。

第3部「保護される動物」では、科学の力によって、パンダについて様々なことが分かり始め、過去の過ちが反省されると同時に、パンダの未来についても語られます。

パンダは一体どのような環境でどのような生活をしているのか、そして彼らはどんな動物なのかということを科学的に知ることが、彼らの飼育、保護にとって非常に重要であることがこの時期ようやく認識されていきます。

私たちの目の前で、竹をむしゃむしゃ可愛らしく食べるパンダ。

今でこそその姿を見ることができますが、彼らが歩んできた歴史はそんなに明るいものではありませんでした。

パンダという動物が、人間の世界でどう生きてきたかを知ることは、パンダだけでなく、私たち人間が動物たちとどう付き合っていくかを考える上で大切なことだと思います。

本書は、そのような機会を与えてくれる本だと言えるでしょう。

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