キホオテナガザルの基本情報
英名:Yellow-cheeked Giboon
学名:Nomascus gabriellae
分類:テナガザル科 クロテナガザル属
生息地:カンボジア, ラオス, ベトナム
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉
変化する体色
キホオテナガザルは、名前の通りほっぺたの毛が黄色です。
しかし、ほっぺたが黄色なのはオスだけで、メスは全身黄色で頭のてっぺんだけ黒色です。
その姿はまるでプリンのようです。
ところで、大人はこのような体色をしていますが、生まれてくる赤ちゃんは何色をしていると思いますか?
キホオテナガザルの赤ちゃんは、オスもメスも全身黄色で生まれてきます。
そして数か月後、オスメス関係なくほっぺた以外が黒くなります。
この時点では子供はオスにそっくりです。
しかし成長し性成熟に近づくにつれて、メスだけは体色を変え、大人のように体は黄色く、頭は黒くなります。
黄色の赤ちゃんが成長して頭だけ黒くなれば、メスの完成なのですが、なぜメスは一度オスの姿に似るのでしょうか。
不思議ですね。
キホオテナガザルの生態
生息地
キホオテナガザルは、ラオス南部、ベトナム南部、カンボジア南東部にかけて、湿潤常緑林などに生息します。
樹上性が強く、ブラキエーションで樹上を移動します。
テナガザルの手は、手をフックのようにして使うブラキエーションに適しており、親指がとても短くなっています。
食性
キホオテナガザルは昼行性で、主に果実を食べます。
その他には、葉や花も食べます。
形態
体長は60~80㎝、体重は約8.5㎏で、しっぽはありません。
行動
キホオテナガザルは、3~5頭から成るペア型の群れを作ります。
群れはそれぞれなわばりを持っており、早朝に歌うことでそれをアピールします。
歌には異性を惹きつける効果もあるようで、成長して群れを離れた一人の個体によってソロが歌われることもあります。
下の動画では、キホオテナガザルの歌を聴くことができるので是非ご覧ください。
群れのコミュニケーションは、歌以外にも、興奮している時や気温が高い時に臭腺から出るにおいや、グルーミングなどによっても行われます。
繁殖
キホオテナガザルの繁殖には季節性がありません。
メスは妊娠すると、約7カ月後、1匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは、オスメス問わず群れのメンバーによって世話され、約2年で離乳します。
そして6~8年で性成熟に達します。
メスの性的休止期間は2~3年と言われています。
人間とキホオテナガザル
絶滅リスク・保全
キホオテナガザルは、生息地の縮小だけでなく、狩猟の脅威にさらされています。
カンボジアやベトナムでは、彼らはペットの対象となっています。
また、ラオスでは食用として狩られているようです。
これらの影響で、キホオテナガザルは個体数を減らし続けており、レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されています。
動物園
そんなキホオテナガザルですが、日本の動物園では見ることができません。
彼らの成長と体色の変化を是非見てみたいところですが、残念です。