マングースキツネザルの基本情報
英名:Mongoose Lemur
学名:Eulemur mongoz
分類:キツネザル科 キツネザル属
生息地:マダガスカル
保全状況:CR〈絶滅危惧ⅠA類〉
昼も夜も
キツネザルのなかまの中には、昼も夜も活動するサルがおり、このマングースキツネザルもその一種です。
昼に活動するのか、夜に活動するのかは季節によっており、雨の降る雨季には昼、雨のほとんど降らない乾季は夜に活動します。
なぜこのように季節によって活動する時間が変わるのかについては、様々な説があります。
例えば、乾季になるとえさとなる果実や花、若葉が少なくなるため、夜になってもえさを食べ続けるという説や、暑い乾季の昼を避けているという説、乾季には樹木が落葉し、空飛ぶ猛禽類に狙われやすくなるため、敵が眠る夜に活動するという説などがあります。
キツネザルやスローロリスなどは原猿と呼ばれ、哺乳類の古い特徴を持っています。
その一つが夜行性であることです。
その一方で、進化史的により新しい真猿(ヨザルを除く)や、ワオキツネザルなど一部のキツネザルは昼行性です。
昼も夜も活動するマングースキツネザルは、サルがなぜ夜から昼に活動時間を変化させていったのか、その理由を教えてくれる存在なのかもしれません。
マングースキツネザルの生態
生息地
マングースキツネザルは、マダガスカル北西部とコモロ諸島の熱帯乾燥落葉林や湿潤林(コモロ諸島)などに生息します。
本来、マングースキツネザルはマダガスカルにしか生息しませんが、人為的に持ち込まれたことでコモロ諸島も生息地としています。
形態
体長は約35㎝、体重は2~3㎏、しっぽの長さは48㎝で、体格において性差は見られません。
ただ、外見には性差があります。
オスは顔の下半分を縁取る毛がオレンジや茶色なのに対し、メスはその部分が白いです。
簡単に見分けられますね。
マングースキツネザルは他の原猿と同じように、鼻に鼻鏡を持ちます。
鼻孔の周りには毛がなく、いくつものしわがあります。
そこが光って見えることから鼻鏡という名前が付いたようです。
ここには、ヤコブソン器官(鋤鼻(じょび)器官)というフェロモンを感知する器官があります。
なわばりの防衛など臭いによる彼らのコミュニケーションにおいて、これは重要な役割を果たします。
行動
マングースキツネザルは、1匹ずつのオスとメス、そしてその子供から成る小さな群れを作ります。
メスがオスより優位にあり、食料や繁殖において選択権を持ちます。
繁殖
繁殖には季節性があり、赤ちゃんは8月~10月に生まれます。
育児はメスによって担われ、赤ちゃんは4~5ヶ月で乳離れします。
そして、2.5~3.5歳になると、子どもは生まれた群れを離れます。
人間とマングースキツネザル
絶滅リスク・保全
マングースキツネザルは、焼畑農業や牧草地の開拓などにより住む場所を分断されたり失ったりしています。
これが原因で個体数を減らし続けており、レッドリストでは最も絶滅が危険視される絶滅危惧ⅠA類に指定されてしまっています。
動物園
そんなマングースキツネザルですが、日本の動物園では見られないようです。
エサが豊富にあり、捕食者の危険もない動物園でも、彼らは昼も夜も活動するのか知りたいところでしたが、残念です。