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ホフマンナマケモノ

ホフマンナマケモノ
©2022 Bernard DUPONT : clipped from the original
目次

ホフマンナマケモノの基本情報

英名:Hoffmann’s Two-toed Sloth
学名:Choloepus hoffmanni
分類:有毛目 フタユビナマケモノ科 フタユビナマケモノ属
生息地:ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、ペルー、ベネズエラ
保全状況:LC〈経度懸念〉

ホフマンナマケモノ
Photo credit: Brian Gratwicke

ナマケモノの体

木の上でのんびりと暮らすナマケモノ。

動かないという戦略を最も徹底させた彼らの体の秘密に迫ります。

ナマケモノは前肢の爪の本数でフタユビナマケモノミユビナマケモノに分けることができます。

ナマケモノの祖先は6,400万年前から存在し、地上で生活していました。

中でもメガテリウムと呼ばれるナマケモノはゾウほどの大きさがあり、1万年前まで生きていたとされています。

両者の祖先は3,000万年前に分岐したと推測され、樹上での生活をそれぞれ独自に発展させてきたと考えられています。

ナマケモノの爪は木に引っ掛けるためにカーブしており、爪を作るケラチンが骨を包む構造をとります。

この爪は一生伸び続け、野生では自然に摩耗していきますが、動物園では爪切りが必要な場合もあるようです。

ホフマンナマケモノでは爪は5~10㎝になります。

後足の爪は、フタユビもミユビもともに3本ずつ生えています。

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通常、哺乳類の歯は象牙質をエナメル質が覆う構造をしていますが、ナマケモノの歯は象牙質しか持ちません

生まれた時からすでに歯は生えそろっており、すべて抜け落ちることのない永久歯です。

また、彼らの歯は一生伸び続けます。

特にフタユビは歯が互いに摩耗し合って犬歯状の歯を持ちます。

歯は葉っぱのタンニンを吸収して黒くなる場合もあります。

ホフマンナマケモノ
Photo credit: Channel City Camera Club

哺乳類はキリンですら7個の頸椎を持ちますが、ナマケモノは例外です。

ミユビが9個、フタユビは5個の頸椎を持ちます。

ナマケモノの他にはマナティーだけが哺乳類では例外的に5個の頸椎を持ちます。


フタユビの肋骨は42~46本あり(ヒトでは12対24本)、哺乳類最多です。

そのため、20m以上の高さから落下しても彼らは死にません。

また、内臓を守る肋骨には臓器を固定する付着部が存在し、枝にぶら下がるナマケモノの生活を支えています。

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筋肉

ナマケモノの筋肉は、その大きさから推測される量の30%と言われています。

エネルギーをよく消費する筋肉は、ナマケモノには最低限があれば十分。

一方、そのために彼らは震えることができません。

寒い日は日光に当たって体温の低下を防ぎます。

彼らの筋肉は、typeⅠの筋繊維を多く含みます。

これは赤筋遅筋とも呼ばれ、彼らのゆっくりとした動きの理由の一つです。

また、彼らの筋肉は押す力よりも引く力の方が発達しています。

ぶら下がること自体にはそれほど筋肉は必要ないようで、死んでもなおぶら下がった状態であることもあるほどです。

震えることができない彼らにとって毛は重要な防寒手段です。

15㎝にもなる保護毛(上毛)の下には密な下毛が生えています。

逆さにぶら下がって生活するナマケモノの毛は、腹から背中に向かって生えています。

これは哺乳類では彼らだけの特徴です。

また、動きの遅いナマケモノの被毛にはガなどの昆虫や菌類、藻類が共生しており、小さな生態系を形成しています。

ナマケモノの胃はウシのように4つに分かれており、ナマケモノが食べる植物を発酵してくれる微生物が共生しています。

食べたものは長いと1ヵ月かけて彼らの体内を通り、胃の内容物は体重の3割以上を占めることもあります。

彼らは小食として知られますが、食べないのではなく胃に食物があるため食べられないと言った方が正しいようです。

消化管に共生する微生物はナマケモノの体温が下がると死んでしまうため、ナマケモノは満腹でも死ぬ可能性があります。

ホフマンナマケモノ
Photo credit: Dick Culbert
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The SlothOpedia | Discover & Support Sloth Conservation — The Sloth Conservation Foundation Explore comprehensive sloth biology, behavior, and conservation efforts. Support sloth protection and learn more about these unique rainforest animals.

ホフマンナマケモノの生態

分類

フタユビナマケモノとは600万~700万年前に分岐したと推測されています。

ホフマンナマケモノの分布域は南北で分断されていますが、南北の個体群は遺伝的にかなりの程度差があることが知られています。

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生息地

ホフマンナマケモノは標高3,300mまでの低地、山地の熱帯雨林に生息しています。

乾燥林で見られることは稀です。

ココアのプランテーションも利用可能なようです。

形態

体長は58~70㎝、体重は4~8㎏、しっぽはなく、オスもメスも見た目上の差異はありません。

ナマケモノは色を識別する錐体を目に持ちません。

ホフマンナマケモノ
Photo credit: Bernard DUPONT

食性

葉、芽、花、果実、樹液などの植物質を食べます。

コスタリカでは30種以上の植物を食べることが知られています。

水は主に食物から摂ります。

捕食者にはジャガーオセロット、オウギワシ、アナコンダなどが知られています。

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行動・社会

単独性のホフマンナマケモノは、主に夜行性と考えられていましたが、日中にも活動するようです。

行動圏は一般的に2~20ha。

1日の約8割は休息に充てられ、日によって数時間~20時間睡眠します。

樹上で過ごし、排泄時や木の移動の際に限り地上に降ります。

また、彼らは泳ぐこともできるため、川を使って移動をすることもあります。


体温は周囲の環境によって24~33℃の間で変化します。

そのため、寒いときは日光浴を、暑いときはじっとして過ごします。

コミュニケーションは主ににおいに依ります。

繁殖期には肛門腺からでるにおいによって異性にアピールします。

繁殖

雨季に妊娠し、乾季の初めに出産します。

メスは複数のオスと交尾するようです。

メスの出産間隔は約2年、妊娠期間は11.5ヵ月。

出産時には木の中間まで降り、木にぶら下がったまま通常1頭の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんは出生時300~500gで、爪や歯は生えそろい目も開いています。

生後2~5週ごろから固形物を食べ始め、1歳ごろまでは母親とともに行動します。

この間に子供は葉っぱの好みを覚えます。

2歳以降性成熟に達します。

寿命は知られていませんが、飼育下では20年以上生きることもあります。

ただ、飼育下ではストレスを感じたり高質なエサを与えられたりするため、野生ではむしろもっと長生きすると考えられます。

人間とホフマンナマケモノ

絶滅リスク・保全

その分布域から今のところ絶滅はあまり懸念されていません。

IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

一方、個体数は減少傾向にあるとされています。


主な脅威は生息地の破壊と環境悪化。

家畜の牧草地や農地を作るための野焼きはナマケモノにとって大きな脅威です。

また、ペットとして野生の特に子供が捕獲されることもあります。

子供のうちから飼育された個体の野生復帰は難しく、今後脅威となる可能性があります。

このほか、ロードキルや農薬への曝露、感電死も潜在的な脅威となっています。

ホフマンナマケモノ
Photo credit: Philip Cohen
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動物園

ホフマンナマケモノを日本で見ることはできません。

近縁のフタユビナマケモノは日本で唯一見られるナマケモノで、全国各地の動物園で飼育されています。

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