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ベルディングジリス

ベルディングジリス
©2011 Oregon Department of Fish & Wildlife : clipped from the original
目次

ベルディングジリスの基本情報

英名:Belding’s Ground Squirrel
学名:Urocitellus beldingi
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 ジリス属
生息地:アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

ベルディングジリス
Photo credit: Oregon Department of Fish & Wildlife

参考文献

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利他行動と子殺し

アメリカ合衆国西部の高山・亜高山地帯に生息する地上性リス・ベルディングジリス。

ベルディングとは19世紀、カリフォルニアを中心に活動した鳥類学者、ライマン・ベルディングに由来します。

ベルディングジリスは普段は地中に自ら作った巣で生活しますが、採餌の時などは地上に現れます。

しかし、地上にはコヨーテや猛禽類などの捕食者がおり、危険がそこら中にあります。

そのため、彼らは地上にいる間、二足で立ち上がり周囲を警戒することを怠りません。

もしも危険を感じた場合、その個体は警戒音声を発しながら、巣へと逃げていき、その警戒音声を聞いた周囲の個体たちも巣に急いで帰ります。

ちなみに、地上からの捕食者と空からの捕食者では、使われる音声が違います。

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ベルディングジリスはコロニーと呼ばれる社会で暮らします。

危険を感じた際に発せられる音声は、コロニーの仲間たちに向けてのものと考えられます。

しかしよく考えると、音声を発した個体は音声を発することで捕食者の標的となりやすく、自分を危険にさらしています。

つまり、警戒音声は自分以外の他者に利する利他行動と言えます。

なぜこのような利他行動が見られるのか。

ヒントは血縁です。

ベルディングジリスの社会では、オスは成長すると他のコロニーに移動する一方、メスは生まれたコロニーに留まります。

そして警戒音声を発するのはオスよりもメスの方が多く、また、近くに血縁者がいるメスの方が頻繁に鳴きます。

つまり、ベルディングジリスの警戒音声という利他行動は、自分が犠牲になっても自分と遺伝子の一部を共有した血縁者が生存するという血縁関係を基に進化してきたものと考えられるのです。

このような考えは血縁淘汰説と呼ばれます。


ベルディングジリスが誰にでも利他的行動を見せるわけではないことは、子殺しからもわかります。

ベルディングジリスでは、大人が子供を殺す子殺しがよく見られ、子供の死亡原因の3割を占めるとされています。

子殺しを行う大人には若いオスが多く、彼らは食料として子供を殺していると思われます。

また、子供を捕食者に食べられるなどして失った母親は、コロニーや巣を移動する場合がありますが、その際にも子殺しが見られます。

そこにすでに住んでいる子供たちを殺して自分の住処を手に入れるためです。

こうした利他行動とは程遠い行動も、利他行動が血縁を基に進化してきたことを暗に支持しています。

動物たちが見せる行動の裏には、必ずそれが保存されてきた理由があります。

今ここにいる動物の背後に、進化と言う歴史を見ることができるのです。

Urocitellus beldingi (Merriam, 1888) | GBIF

ベルディングジリス
Photo credit: sam may

ベルディングジリスの生態

生息地

アメリカ合衆国のオレゴン州、アイダホ州、ネバダ州、カリフォルニア州に分布し、ユタ州の南東部にもわずかに生息しているとされています。

標高が高いところの草原など開けた環境に生息します。

農地にも現れます。

形態

全長は23~30㎝で、そのうち4.4~7.6㎝をしっぽが占めます。

体重はオスが230g前後、メスが265g前後です。

メスは5対の乳頭を持っています。

ベルディングジリス
Photo credit: Oregon State University

食性

種子やナッツ、植物の緑の部分、菌類などを主に食べ、このほか昆虫や小型哺乳類、死肉なども食べます。

捕食者にはコヨーテアメリカアナグマイタチ類、猛禽類などが知られています。

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行動・社会

昼行性のベルディングジリスはコロニーで暮らし、個体数密度は1haあたり1~304匹です。

9月ごろから5月、6月にかけて地中の巣で冬眠します。

オスの方が冬眠から早く目覚め、メスはその1~2週間後に目覚めます。

冬眠が明けてすぐ繁殖が行われます。

交尾は地上で行われ、メスは発情する1日の間に、3~5匹のオスと交尾します。

繁殖

メスは年に一度出産しますが、生まれる子どもの父親は複数います。

一度に体重5~8gの赤ちゃんが5~8匹、最大12匹が生まれます。

子供は生後4週ごろ巣の外に出始め、生後5週までには離乳します。

その後、オスは分散していきます。

性成熟にはオスが2歳、メスが1歳ごろ達します。

人間とベルディングジリス

絶滅リスク・保全

比較的分布域が広く、個体数も安定しているベルディングジリスの絶滅は、現在のところ心配されていません。

彼らの生存を脅かす大きな脅威もなく、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

Urocitellus beldingi | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

ベルディングジリスを日本で見ることはできません。

ベルディングジリス
Photo credit: Darron Birgenheier
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