コヨーテ

コヨーテ (Coyote (Canis latrans) | NPS/Michael Vamstad | Joshua Tree National Park | Flickr) ©2014 Joshua Tree National Park: clipped from the original カテゴリ:イヌ科、イヌ属 タグ:イヌ科、イヌ属、軽度懸念、北米、ベリーズ、カナダ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、アメリカ合衆国 #コヨーテの基本情報 英名:Coyote 学名:Canis latrans 分類:イヌ科 イヌ属 生息地:ベリーズ、カナダ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、アメリカ合衆国 保全状況:LC〈軽度懸念〉 (coyote043 | Coyote (Canis latrans). CDFW file photo by Debra… | Flickr) Photo credit: California Department of Fish and Wildlife #勢力拡大中 小さくはあるものの、その姿はプレーリーウルフなどとも呼ばれるようにオオカミそっくりなコヨーテ。多くの肉食動物がその数を減らし危機的状況に陥っている中で、このコヨーテは勢力を拡大中です。 もともと、コヨーテはアメリカ西部の草原で暮らしていました。しかし、19世紀、森林の伐採や狩猟などの人間活動のためにオオカミやジャガーといった大型の肉食動物がいなくなると、その隙間にコヨーテが入り込みます。現在、コヨーテは北はアラスカ、カナダから、南はコスタリカまで分布域を拡大しています。 ジャガー ただ、彼らも他の肉食動物と同じく迫害されてきた歴史を持ちます。家畜を襲うとして、今でも駆除の対象になっているほどです。それにもかかわらず彼らがここまで繁栄できたのは、彼らの生活が非常に柔軟だからです。 コヨーテは、主に肉食ではあるものの、果実や草本などの植物質や昆虫も食べます。また、人が残した食べ物も食べることができるため、彼らは人が住む都市周辺でも生活できます。さらに、腐肉はエサが少ない冬には彼らにとって大きな食料源となっています。 コヨーテは、その地の食料に合わせた社会を作ります。例えば、有蹄類がいるような地域では、獲物を捕らえるために複数頭から成る群れを作ります。そのような獲物がおらず、齧歯類などの小型哺乳類が主な獲物となる地域では、単独で行動します。 食性や社会だけではありません。生息環境も多様です。先述のように、コヨーテは草原で生活していた動物ですが、森林や農地、砂漠でも生活することができます。コヨーテは、夏には気温50度にも達する苛酷なデスバレーにも生息しています。 このようにコヨーテは柔軟に生きていけるため、肉食動物では例外的に個体数や分布域を拡大することができています。ただ、彼らより大きいオオカミの存在は、彼らの勢力拡大の大きな妨げになっているようです。実際、オオカミが姿を消してコヨーテが台頭していたイエローストーン国立公園のラマー・バレーでは、1990年代のオオカミの再導入により、コヨーテの個体数が4割ほど減少しています。そもそもコヨーテが繁栄できたのは、人間活動によりオオカミが減少したことが大きな理由と考えられています。 オオカミのように人間活動により絶滅の危機にさらされる生き物がいる一方で、それを好機として勢力を増す生き物がいます。コヨーテはその柔軟な生態によって、好機を生かすことができた数少ない肉食動物と言えるでしょう。 (Coyote (Canis latrans) | And these are the parents of the si… | Flickr) Photo credit: Gregory “Slobirdr” Smith #コヨーテの生態 名前 コヨーテという名前は、日本語で吠える犬を意味するアステカ族の言葉、“coyoti”に由来します。学名のCains latransも同じく吠える犬を意味します。コヨーテは北米で最もうるさい哺乳類と言われるほど、騒がしい動物です。少なくとも11種類の音声を使って頻繁にコミュニケーションをします。 (https://youtu.be/rYZKHe7WL0Q) 生息地 コヨーテは、北米、中米の森林や草原、砂漠、沼沢地、都市近郊など様々な場所に生息します。 食性 摂取物の9割は哺乳類が占めます。有蹄類やウサギ、齧歯類などの小型哺乳類の他には、鳥類や爬虫類、両生類、魚類、甲殻類、昆虫、果実、家畜も食べます。ボブキャットやアカギツネ、ハイイロギツネを襲うこともあります。狩りの仕方は獲物の大きさによって変わります。例えばネズミの場合などは、キツネのように上にジャンプして前足で押さえつけて捕食します。有蹄類の場合は、疲れたら他の仲間がというように複数で交互に追いかけて捕らえます。コヨーテは最高時速65kmで走ることができます。また、アメリカアナグマと狩りを協力することでも知られています。コヨーテの捕食者は少ないですが、オオカミやピューマなどがいます。 (https://youtu.be/-VvPolKsSew) アナグマの記事 アナグマの記事にコヨーテの記事の貼り付けをお願いします(メインのとこ) ボブキャット、ハイイロギツネ、ピューマの記事 形態 体長は1~1.35m、肩高は約50㎝、体重は7~20㎏、尾長は30~40㎝で、オスの方が大きくなります。臭腺が尾の付け根にあり、14㎝の耳はオオカミのものよりも大きいです。また、オオカミが尾をあげて走るのに対し、コヨーテの尾は走っている時も垂れたままです。アルビノは非常に珍しく、1938~1945年にかけて捕獲された75万頭のうち、たった2頭しかいなかったと言います。 行動 コヨーテは主に夜行性ですが、日中も普通に活動します。単独、ペア、数頭から成る群れで生活し、5~142㎢の行動圏を持ちます。行動圏はオスの方が大きく、なわばり性は比較的弱いです。子育てが行われる巣穴は、岩の隙間などに作ったり自分で掘って作ったりすることもあれば、アナグマやスカンク、ウッドチャックが捨てたものを大きくして使う場合もあります。コヨーテはイエイヌやオオカミと交雑します。イエイヌとの子はコイドッグ、オオカミとの子はコイウルフと呼ばれ、特にコイドッグは繁殖力が強く、家畜を襲う傾向が強いため害獣として問題視されています。 シマスカンクの記事 繁殖 コヨーテは冬に交尾します。交尾の2,3カ月前からペアで行動するようになります。ペアの関係は数年続くこともあるようです。イヌ科動物に特有の交尾結合は、コヨーテの場合5~45分続きます。妊娠期間は60~63日で、200~500gの赤ちゃんが3~15頭(平均6頭)産まれます。育児には母親だけでなく、エサを持ってくるなどして父親も参加します。赤ちゃんは生後10日で目を開き、3~4週で巣から出始めます。生後5~7週には離乳し、9カ月ほどで大人の大きさに、そして独立していきます。独立が遅れたものはヘルパーとして群れに残ることもあります。性成熟は1歳までに達しますが、実際の繁殖はその先のことです。寿命は野生で6~8年、飼育下で15~18年です。 (Coyote (4) | Saguaro National Park | Flickr) Photo credit: Saguaro National Park #コヨーテに会える動物園 コヨーテは、かつて毛皮目的で狩猟されたり、その肉が食べられたりしていました。現在では、家畜を襲う害獣とされており、その被害は2004年、合衆国で死んだ22万4千頭のうち、約6割はコヨーテが原因であると言われているほどです。家畜を守るため、今でも年間万単位でコヨーテは捕殺されています。ただ、コヨーテは死肉も食べるため、家畜を食べているコヨーテが必ずしもその家畜を殺したわけではないという点は留意が必要でしょう。狩猟圧といった人間の影響はあるものの、今のところ、コヨーテは個体数を増やし続けており、レッドリストにおける軽度懸念という評価からも分かるように、絶滅の危機にはありません。 そんなコヨーテですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません。なので、興味がある人は是非アメリカに行って直接彼らを見てみてください。ただ、彼らは北米一病原菌や寄生虫を持っていると言われているので、近づきすぎないようにしましょう。 (Coyote | Canis latrans I still can't believe how close this … | Flickr) Photo credit: Shanthanu Bhardwaj©2014 Joshua Tree National Park: clipped from the original
目次

コヨーテの基本情報

コヨーテ


英名:Coyote
学名:Canis latrans
分類:イヌ科 イヌ属
生息地:ベリーズ、カナダ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

コヨーテ@Photo credit: California Department of Fish and Wildlife

Photo credit: California Department of Fish and Wildlife

勢力拡大中

小さくはあるものの、その姿はプレーリーウルフなどとも呼ばれるようにオオカミそっくりなコヨーテ。

多くの肉食動物がその数を減らし危機的状況に陥っている中で、このコヨーテは勢力を拡大中です。

もともと、コヨーテはアメリカ西部の草原で暮らしていました。

しかし、19世紀、森林の伐採や狩猟などの人間活動のためにオオカミやジャガーといった大型の肉食動物がいなくなると、その隙間にコヨーテが入り込みます。

現在、コヨーテは北はアラスカ、カナダから、南はコスタリカまで分布域を拡大しています。

生き物.com
ジャガー web肉食動物図鑑 | 生き物.com その強靭な肉体の割には小さめの獲物を捕食する南米の覇者・ジャガー。なぜでしょうか。

ただ、彼らも他の肉食動物と同じく迫害されてきた歴史を持ちます。

家畜を襲うとして、今でも駆除の対象になっているほどです。

それにもかかわらず彼らがここまで繁栄できたのは、彼らの生活が非常に柔軟だからです。

コヨーテは、主に肉食ではあるものの、果実や草本などの植物質や昆虫も食べます。

また、人が残した食べ物も食べることができるため、彼らは人が住む都市周辺でも生活できます。

さらに、腐肉はエサが少ない冬には彼らにとって大きな食料源となっています。

コヨーテは、その地の食料に合わせた社会を作ります。

例えば、有蹄類がいるような地域では、獲物を捕らえるために複数頭から成る群れを作ります。

そのような獲物がおらず、齧歯類などの小型哺乳類が主な獲物となる地域では、単独で行動します。

食性や社会だけではありません。

生息環境も多様です。

先述のように、コヨーテは草原で生活していた動物ですが、森林や農地、砂漠でも生活することができます。

コヨーテは、夏には気温50度にも達する苛酷なデスバレーにも生息しています。

このようにコヨーテは柔軟に生きていけるため、肉食動物では例外的に個体数や分布域を拡大することができています。

ただ、彼らより大きいオオカミの存在は、彼らの勢力拡大の大きな妨げになっているようです。

実際、オオカミが姿を消してコヨーテが台頭していたイエローストーン国立公園のラマー・バレーでは、1990年代のオオカミの再導入により、コヨーテの個体数が4割ほど減少しています。

そもそもコヨーテが繁栄できたのは、人間活動によりオオカミが減少したことが大きな理由と考えられています。

オオカミのように人間活動により絶滅の危機にさらされる生き物がいる一方で、それを好機として勢力を増す生き物がいます。

コヨーテはその柔軟な生態によって、好機を生かすことができた数少ない肉食動物と言えるでしょう。

コヨーテ@Photo credit: Gregory “Slobirdr” Smith

Photo credit: Gregory “Slobirdr” Smith

コヨーテの生態

名前

コヨーテという名前は、日本語で吠える犬を意味するアステカ族の言葉、“coyoti”に由来します。

学名のCains latransも同じく吠える犬を意味します。

コヨーテは北米で最もうるさい哺乳類と言われるほど、騒がしい動物です。

少なくとも11種類の音声を使って頻繁にコミュニケーションをします。

生息地

コヨーテは、北米、中米の森林や草原砂漠沼沢地都市近郊など様々な場所に生息します。

食性

摂取物の9割は哺乳類が占めます。

有蹄類やウサギ、齧歯類などの小型哺乳類の他には、鳥類爬虫類両生類魚類甲殻類昆虫果実家畜も食べます。

ボブキャットアカギツネハイイロギツネを襲うこともあります。

狩りの仕方は獲物の大きさによって変わります。

例えばネズミの場合などは、キツネのように上にジャンプして前足で押さえつけて捕食します。

有蹄類の場合は、疲れたら他の仲間がというように複数で交互に追いかけて捕らえます。

コヨーテは最高時速65kmで走ることができます。

また、アメリカアナグマと狩りを協力することでも知られています。

コヨーテの捕食者は少ないですが、オオカミピューマなどがいます。

https://carnivore.jp/american-badger/
https://carnivore.jp/bobcat/
https://carnivore.jp/grey-fox/
https://carnivore.jp/puma/

形態

体長は1~1.35m、肩高は約50㎝、体重は7~20㎏、尾長は30~40㎝で、オスの方が大きくなります

臭腺が尾の付け根にあり、14㎝の耳はオオカミのものよりも大きいです。

また、オオカミが尾をあげて走るのに対し、コヨーテの尾は走っている時も垂れたままです。

アルビノは非常に珍しく、1938~1945年にかけて捕獲された75万頭のうち、たった2頭しかいなかったと言います。

行動

コヨーテは主に夜行性ですが、日中も普通に活動します。

単独、ペア、数頭から成る群れで生活し、5~142㎢の行動圏を持ちます。

行動圏はオスの方が大きく、なわばり性は比較的弱いです。

子育てが行われる巣穴は、岩の隙間などに作ったり自分で掘って作ったりすることもあれば、アナグマスカンクウッドチャックが捨てたものを大きくして使う場合もあります。

コヨーテはイエイヌやオオカミと交雑します。

イエイヌとの子はコイドッグ、オオカミとの子はコイウルフと呼ばれ、特にコイドッグは繁殖力が強く、家畜を襲う傾向が強いため害獣として問題視されています。

生き物.com
シマスカンク web肉食動物図鑑 | 生き物.com 臭いにおいを発射することで有名なスカンク。実は、ある音楽のジャンルとの意外な関わりがあります。

繁殖

コヨーテは冬に交尾します。

交尾の2,3カ月前からペアで行動するようになります。

ペアの関係は数年続くこともあるようです。

イヌ科動物に特有の交尾結合は、コヨーテの場合5~45分続きます。

妊娠期間は60~63日で、200~500gの赤ちゃんが3~15頭(平均6頭)産まれます。

育児には母親だけでなく、エサを持ってくるなどして父親も参加します。

赤ちゃんは生後10日で目を開き、3~4週で巣から出始めます。

生後5~7週には離乳し、9カ月ほどで大人の大きさに、そして独立していきます。

独立が遅れたものはヘルパーとして群れに残ることもあります。

性成熟は1歳までに達しますが、実際の繁殖はその先のことです。

寿命は野生で6~8年、飼育下で15~18年です。

コヨーテ@Photo credit: Saguaro National Park

Photo credit: Saguaro National Park

コヨーテに会える動物園

コヨーテは、かつて毛皮目的で狩猟されたり、その肉が食べられたりしていました。

現在では、家畜を襲う害獣とされており、その被害は2004年、合衆国で死んだ22万4千頭のうち、約6割はコヨーテが原因であると言われているほどです。

家畜を守るため、今でも年間万単位でコヨーテは捕殺されています。

ただ、コヨーテは死肉も食べるため、家畜を食べているコヨーテが必ずしもその家畜を殺したわけではないという点は留意が必要でしょう。

狩猟圧といった人間の影響はあるものの、今のところ、コヨーテは個体数を増やし続けており、レッドリストにおける軽度懸念という評価からも分かるように、絶滅の危機にはありません

そんなコヨーテですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません

なので、興味がある人は是非アメリカに行って直接彼らを見てみてください。

ただ、彼らは北米一病原菌や寄生虫を持っていると言われているので、近づきすぎないようにしましょう。

コヨーテ@Photo credit: Shanthanu Bhardwaj

Photo credit: Shanthanu Bhardwaj

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次