ボッタホリネズミの基本情報
英名:Botta’s Pocket Gopher
学名:Thomomys bottae
分類:齧歯目 ビーバー形亜目 ホリネズミ科 ボッタホリネズミ属
生息地:メキシコ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

穴掘りネズミ
ホリネズミ科に属するボッタホリネズミは、その名の通りモグラのように穴を掘って生活する動物です。
一生のほとんどを地下で過ごす彼らに視力や聴力はあまり必要ないため、目や耳は地上の齧歯類と比べると非常に小さくなっています。
とはいえ彼らも齧歯類の仲間。
口の外に飛び出た前歯は、他の齧歯類と同様一生伸び続け、主に採餌に用いられます。
地下では、自らの手で掘った巣を中心に生活を営みます。
土が盛り上がった出入り口から直径5㎝程度のトンネルが始まり、それをたどると深さ1m以下の場所にある複数の部屋につながります。
部屋はトイレや食料の貯蔵、休息と目的が分かれており、特に休息の部屋は乾いた草などが敷き詰められています。
ボッタホリネズミは定住性が強く、一度作った巣に長いこと住みます。
しかし、巣は時間とともに劣化していくため、老朽化したトンネルや部屋は新しく拡張されたトンネルや部屋に取って代わられます。
こうしてできる巣のシステム全体の長さは30m程度、時に100m以上にも及びますが、ここには1匹のボッタホリネズミしか住んでいません。
彼らはなわばり性が強いため、自分の巣に他個体が近づくと、力づくで排除します。
巣はまさに彼らの家なのです。
彼らはほとんどの時間を地下で過ごしますが、繁殖もその例に漏れません。
オスは繁殖期になるとトンネルを伸ばし、メスの巣に突き当たるまで掘り進めます。
そうして出会ったメスと繁殖するのです。
採餌も多くは地下で行われます。
彼らは地下に伸びる根や地下茎を主食としています。
一方、地上に出て植物の茎や葉など地上の部分を食べることもあります。
彼らは地下では昼夜問わず活動しますが、地上には危険が多いので夜に外出することが多いです。
外に出たとしても危険が迫ればすぐに巣に戻れる範囲でしか行動しません。
あえて巣の外に出るのであれば、危険を避けつつできるだけ効率的に採餌をしたいものです。
そこで彼らはある特徴を活用します。
それが頬袋です。
彼らを含め、ホリネズミ科の動物は頬に大きな頬袋を持っており、ここに一時的にエサを貯めることができます。
彼らは外に出て、できるだけたくさんの餌をこの頬袋に貯め、地下の巣に戻り食べるのです。
吐き出されたエサの一部は食料用の部屋に貯められ、食料が少ない時期などに備えます。
彼らは冬眠をしないため、特にエサの少ない冬、こうした備えは非常に重要です。
頬袋は彼らの生命線なのです。
ちなみに、ボッタホリネズミの英名”Botta’s Pocket Gopher”のうち、”Gopher”は「ホリネズミ」を意味し、”Botta”はイタリア生まれのフランス人博物学者、ポール・エミール・ボッタに由来しますが、”Pocket”はこの頬袋を指します。
Pocket Gophers | Utah State University
Species account of the Botta’s Pocket Gopher | Natural Science Research Laboratory
Botta’s Pocket Gopher | Mexican Terrestrial Life

ボッタホリネズミの生態
生息地
グレートベースンを中心に、アメリカ南西部からメキシコ北部にかけて分布します。
土壌が深くしっかり存在し、開けた環境を好み、標高が高い針葉樹林の開けた場所などにも生息します。
また、農地にも現れます。
形態
体長は11.5~30㎝、体重はオスが160~250g、メスが90~200g、尾長は4~9.5㎝でオスの方が大きくなります。
胃と盲腸が大きく、ここに体重の最大2割以上の重さの食物を溜め込むことができます。

食性
植物食性で、根や茎などを食べます。
水分はエサから摂取するため、水を飲む必要はありません。
捕食者にはコヨーテやアナグマ、テンなどの哺乳類やオオアオサギなどの鳥類、ガラガラヘビなどのヘビ類が知られています。



行動・社会
単独性のボッタホリネズミはなわばり性が強いです。
鳴くこともできますが、基本的に静かです。
繁殖
繁殖期は、春、夏、初冬にあります。
一般的にメスは年に1回出産しますが、暖かい地域では最大3回出産します。
妊娠期間は19~21日で、3g前後の赤ちゃんが一度に通常4~6匹生まれます。
未熟に生まれた赤ちゃんは生後26日ごろ、目と耳が開き、その後離乳、生後2ヵ月頃独立していきます。
生後半年頃大人と同じサイズになり、生後9~12ヵ月で性成熟に達します。
寿命は野生で2~3年、長くても4年です。

人間とボッタホリネズミ
絶滅リスク・保全
分布域が広く個体数も安定しているとされるボッタホリネズミは、現在のところ絶滅は心配されていません。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
ボッタホリネズミは農作物やケーブルなどのインフラなどに被害を出すことがあり、害獣として駆除される場合があります。
Thomomys bottae | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でボッタホリネズミ含め、ホリネズミ科の動物を見ることはできません。

