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ノドチャミユビナマケモノ

ノドチャミユビナマケモノ
©2013 Fernando Flores : clipped from the original
目次

ノドチャミユビナマケモノの基本情報

英名:Brown-throated Sloth
学名:Bradypus variegatus
分類:有毛目 ミユビナマケモノ科 ミユビナマケモノ属
生息地:ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、ペルー、ベネズエラ
保全状況:LC〈経度懸念〉

ノドチャミユビナマケモノ
Photo credit: Charlie Jackson

動く小さな生態系

樹上でゆっくりと暮らすナマケモノ。

彼らの体には様々な生物が住み着いており、彼らの体は一つの生態系を作っていると言っても過言ではありません。


ナマケモノの被毛にはごく小さな亀裂が入っており、水分が豊富なそこは藻類や菌類の良い住処です。

中にはナマケモノの体表でしか見られない種もあり、ナマケモノはさながら動く生態系です。

また、ナマケモノに住む菌類の中には寄生虫やがんなどの病気を防ぐ効果があるものがあるようで、医学的観点からも研究が進められています。

一方、緑色をした藻類は、ナマケモノを森の中に紛れさせます。

捕食者に見つからないように動かないという戦略をとるナマケモノにとっては、藻類はいいカモフラージュになっています。


ナマケモノには甲虫などの昆虫も住み着いています。

特筆すべきは蛾の仲間であるナマケモノガでしょう。

ナマケモノガには複数種が知られており、ナマケモノの被毛にのみ生息します。

このナマケモノガは、フタユビナマケモノよりもミユビナマケモノにより多く住み着いていることが知られています。

ナマケモノガはナマケモノの糞に産卵し、幼虫はその糞を食べて成長します。

そして成長すると再びナマケモノのもとへ飛んでいき、その被毛に住み、交尾を行って次の世代を作るのです。


ところでこのナマケモノガが多く住むナマケモノには、より多くの藻類が住み着いています。

ナマケモノガは、ナマケモノの糞を持ち帰ったり、自分が死んで菌類に分解されたりなど、何らかの方法でナマケモノの体表に窒素などの栄養分を与えており、それを藻類が利用しているというのです。

このことを発見した研究者は、ナマケモノのミステリアスな行動をガと藻類の関係から説明しようとします。


一生のほとんどを樹上で過ごすナマケモノが地上に降りてくるのは、木から木への移動の時か、週に一度の排泄の時。

移動については理解できますが、なぜ彼らが樹上でもできる排泄のために木を降りるのかは長らく謎に包まれていました。

木を上り下りするのには、1日に使うエネルギーの8%を消費するだけでなく、ジャガーなどの捕食者に捕食されるリスクが急激に高まるため、その謎は深まります。

先ほどの研究者は、この理由をナマケモノにとって栄養となる藻類を滋養する、ナマケモノガに繁殖の機会を与えるためと推測します。


しかし、果たしてその説明が妥当であるかは疑問です。

ナマケモノが藻類をエサとしている確かな証拠はありませんし、飼育下で藻類が住んでいないナマケモノに野生と同じ食べ物を食べさせたところ、いたって健康なのです。


ナマケモノがなぜわざわざ地上に降りて排泄をするのか、そして彼らに住み着く生物とはどのような関係があるのか。

未だ不明なものの、その謎はナマケモノのごとく、この先ゆっくりと分かっていくのかもしれません。

ノドチャミユビナマケモノ
Photo credit: Mike W.
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ノドチャミユビナマケモノの生態

生息地

標高2,400mまでの、熱帯雨林や半落葉樹林、雲霧林などに生息します。

ココアのプランテーションでも生きていけるようです。

形態

体長は45~60㎝、体重は2.3~6.5㎏、尾長は5~7㎝で、フタユビナマケモノよりも小柄になります。

歯はエナメル質を持ち、一生伸び続けます。

フタユビナマケモノのような犬歯状の歯はありません。

哺乳類では例外的に彼らは9つの頸椎を持ちます。

これにより、270度も頭を回転させることができます。

肋骨はフタユビナマケモノより少なく、28本です。

タテガミナマケモノを除くミユビナマケモノは、成長したオスの背中に特徴的な模様が現れます

この部分の毛は短く、油っぽい分泌物で覆われています。

ノドチャミユビナマケモノ
ノドチャミユビナマケモノのオス。ナマケモノガも見える。| Photo credit: Cataloging Nature
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食性

葉や花、芽などの植物質を食べます。

食べたものは主に4つに分かれた胃で、微生物の力を借りながら、長いと1カ月かけて消化します。

彼らは1日に乾燥重量で約70gのエサを食べます。

水分は主にエサから摂りますが、川などで飲む姿も目撃されています。

捕食者にはジャガーピューマ、猛禽類などが知られています。

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行動・社会

単独性のノドチャミユビナマケモノは、日中も夜も活動するようです。

行動圏は0.1~20ha、1日に移動する距離は約40mです。

平均体温は32.7℃で、体温は環境に合わせて10℃ほど変化します。

しかし、寒すぎると体内の微生物が死んでしまうため、防寒の必要があります。

彼らは筋肉量が少なく震えることができないため、被毛や日光浴に体温上昇を依存します。

ノドチャミユビナマケモノ
Photo credit: Jay Galvin

繁殖

交尾は春に行われることが多いようです。

オスがにおいで異性にアピールする一方、発情したメスは鳴いてオスを惹きつけます。

これはフタユビナマケモノには見られません。

メスの出産間隔は約19ヵ月、妊娠期間は6~12ヵ月。

一度の出産で通常一頭の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんは生後1週ごろから母親が食べる葉っぱを横取りする形で固形物を食べ始め、0.5~1歳まで母親と過ごします。

性成熟にはオスが3~5歳、メスが3歳で達します。

寿命は不明ですが、30年以上生きると言われています。

ノドチャミユビナマケモノ
Photo credit: Melissa McMasters

人間とノドチャミユビナマケモノ

絶滅リスク・保全

ノドチャミユビナマケモノは、その生息域の広さから絶滅はあまり懸念されていません。

IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。


しかし、個体数は減少傾向にあるとされています。

農地、牧草地のための野焼きなどによる火災は、ナマケモノの命を直接奪うだけでなく、生息地の破壊を通して間接的にも彼らに影響します。

その影響度は不明ですが、コロンビアやボリビアではペット目的で野生の子供が捕獲され、ブラジルなどでは食肉や薬を作るために密猟されています。

また、ロードキルも潜在的な脅威となっています。

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動物園

日本ではノドチャミユビナマケモノに会うことができません。

日本で会えるナマケモノは、フタユビナマケモノだけです。

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Photo credit: Charlie Jackson
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