コロンビアジリスの基本情報
英名:Columbian Ground Squirrel
学名:Urocitellus columbianus
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 ジリス属
生息地:カナダ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
地栗鼠
ロッキー山脈の高原に生息する地上性リスの一種、コロンビアジリスは、1年のうち実に7割近くを冬眠して過ごします。
彼らは繁殖が終わるとすぐにエサをたくさん食べ、冬眠に向け脂肪を付けます。
そうして冬眠を始めるのはオスの方が先で、早ければ7月から始まります。
特に出産したメスは、育児の必要から十分な脂肪がつけられないので、もう少し遅い時期に冬眠に入ります。
とはいえまだ全然冬ではありませんが、暑さも苦手な彼らはこの時期から早々に眠り始めます。
そこから地中50㎝前後のところに自ら掘った冬眠用の巣穴で、3月~4月頃まで冬眠します。
冬眠中、彼らの体温は5℃くらいにまで落ちます。
また、冬眠中は、例えばチビシマリスなどの一部の地上性リスのように、途中で起きてエサを食べるようなことはせず、純粋に蓄えた脂肪だけで乗り切ります。

冬眠は積雪量や地中の温度、標高に影響を受けます。
なので、標高が高い場所などでは冬眠明けは遅くなります。
また、冬眠から目覚めるのはオスの方が先です。
これはメスの冬眠明け直後から始まる繁殖のために、なわばりを争うためです。
これはトドなどのアシカのオスが先に繁殖場に上陸し、なわばり争いをするのに似ています。
オスが目覚めるのはまだエサが少ない時期です。
そのため、特にオスでは冬眠前にエサを巣に貯め、冬眠から目覚めて食べるという行動が見られます。
オスが冬眠から目覚めた1週間後、メスが目覚め始めます。
そしてその後、2週間程度の繁殖期が訪れます。
ちなみに、コロンビアジリスではオスがメスとの交尾直後に、周囲に危険が迫っていることを知らせる警戒音声と同じ音声を出すことが知られています。
これは樹上性リスのクリハラリスにも見られ、他のオスに周囲を警戒させ繁殖から気を逸らさせることで自分の精子が受精する確率を高める行動ではないかと考えられています。


繁殖が終われば再び飽食の時期。
昼行性の彼らは、日が出ている間地上に出て採餌し、暑すぎる日や夜は巣に戻り、休息をします。
冬眠は1年の7割近くを占めますが、単純に地中にいる時間でいうとそれよりも長くなります。
つまり、彼らは一生のほとんどを地中で過ごしているのです。
このように彼らの1年はジリス(漢字で地栗鼠)という名前に違わず、地面、特に地中と深く関連しています。
また、彼らは地面を掘ることで土壌を潤すなどの役目も果たすほど、地上にとって欠かせない生き物です。
眠っている時間が長く、我々の目の前にはなかなか現れないコロンビアジリスですが、侮ってはいけません。
The Columbian Ground Squirrel: Its Biology and Control | MONTANA DEPARTMENT OF AGRICULTURE

コロンビアジリスの生態
生息地
標高210~2,410mの開けた環境に生息します。
深い森林は避けますが、針葉樹林内のギャップなど開けた場所でも見られます。
形態
全長は32.5~41㎝、そのうち8~11.6㎝をしっぽが占めます。
体重は340~812gで、冬眠に入る前が1年で最も重くなります。
他の齧歯類同様、犬歯は無く門歯は一生伸び続け、かぎ爪を持ちます。
オレンジがかった被毛が特徴的です。

食性
葉や球根、茎、ベリー類などを主食とし、このほか昆虫や小型哺乳類、魚の死肉なども食べます。
頬袋はあまり使いません。
捕食者にはアナグマやイタチ類、コヨーテ、キツネ、クマ、猛禽類、ヘビ類など様々知られています。




行動・社会
地上性ですが木にも登ります。
緩い社会を形成し、1haあたり60匹前後が見られます。
行動圏はオスが0.4ha、メスが0.1haで、特に巣の周りでは防衛行動を見せます。
成長したオスは生まれたところから遠いと5㎞以上のところまで分散していきます。
メスは生まれた場所に留まりますが、移動することもあります。
定住傾向が強く、定まった場所で生涯暮らします。
オスもメスも1匹以上の異性と交尾します。
繁殖
冬眠明けの早春に繁殖が行われます。
メスの妊娠期間は約24日で、低地では5月から6月にかけて出産が見られます。
10g程度の赤ちゃんが一度に2~4匹、最大7匹巣に生まれます。
生後3日で毛が生え始め、生後2週間には走ったり木に登ったりするようになります。
生後1ヵ月で離乳しますが、最初の冬までは母親から離れず生活します。
性成熟は1~3歳でオスの方が遅くなります。

人間とコロンビアジリス
絶滅リスク・保全
分布域が十分広く、個体数も安定しているとされる彼らの絶滅はあまり心配されていません。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
農作物を食べたり、巣がトラクターなどの妨げになったりと、地域によっては人間との軋轢がある場合があります。
また、彼らの餌は家畜の餌と同じであることも人間からよく思われない理由です。
1頭のウシ、1頭のヒツジが1日に食べる量は、それぞれコロンビアジリス約350匹分、約100匹分との推計があり、広範囲に彼らが生息すればその影響は無視できません。
Urocitellus columbianus | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でコロンビアジリスを見ることはできません。
彼らはロッキー山脈紅斑熱の原因菌であるリケッチアなど、病原菌を保有していることがあるので、観光などで彼らを見つけても近寄らないようにしましょう。


