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ガウル

ガウル
©2022 Kandukuru Nagarjun : clipped from the original
目次

ガウルの基本情報

英名:Gaur
学名:Bos gaurus
分類:鯨偶蹄目 ウシ科 ウシ属
生息地:ブータン、カンボジア、中国、インド、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

ガウル
Photo credit: Kandukuru Nagarjun

最大の野生ウシ

東南アジアや南アジアに生息する、インドバイソンとも呼ばれるウシ科動物、ガウル。

がっしりとした体躯が特徴的な彼らは、140種ほどが知られている野生のウシ科の仲間の中でも最大です。

最大のオスは体長3m以上、体高2m以上、体重は1tを超えてきます。

アジアにはゾウサイがいるため、アジア最大とまではいきませんが、それでもその体サイズは圧巻です。

捕食者はほとんどおらず、大人を倒すことができるのはトラくらいです。

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そんなガウルにも恐るべき存在があります。

人間です。

体の大きいガウルはたくさんの肉を提供しますし、その角は装飾として、内臓は伝統的な薬として利用できます。

こうして多くのガウルが狩猟された結果、彼らはかつての生息域の20%以下の地域に、かつての10%以下の個体数が細々と暮らすまでに激減してしまいます。

このような人間による狩猟圧は、ガウルの生活も変えてしまいました。

ガウルは本来昼行性の生きもので、朝や夕方に活発に採食をしていましたが、人間に攪乱されている地域では、彼らは夜行性となる傾向にあります。

彼らが誇る体の大きさは、人間の前では標的になりやすいという意味で、むしろ裏目に出ているのです。


一方、その体の大きさと体に似合わないシャイな性格故、彼らは人間により長らく使役されてもきました。

インドや中国、ミャンマー、バングラデシュなどで物を運ぶ使役動物として、また肉を提供する家畜として、半野生、家畜状態で飼育されています。

その歴史は短くないようで、ガウルの家畜種はガヤルミタン(Bos frontalis)と呼ばれ、現在両者は別種とされています。

ガヤルはガウルよりも小さく、骨の形状や体色、染色体の数(ガウルは2n=56、ガヤルは2n=58)などが異なります。

ちなみにガヤルの個体数も少なくなく、絶滅の危機にあるとされています。

ガヤル
ガヤル | Photo credit: Aditya Kabir

ガウルは現在、生息するすべての国々で法的に保護されており、ワシントン条約(CITES)によって国際取引も禁じられています。

しかし、肉や角を狙った密猟は後を絶たず、生息地の破壊もやみません。

一部では増加しているようですが、全体としてガウルは減少傾向にあるとされています。

スリランカではすでに絶滅しており、バングラデシュでもおそらく絶滅したと考えられています。

最大の野生ウシの今後はどうなっていくのでしょうか。

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ガヤル
Photo credit: Subharnab Majumdar

ガウルの生態

生息地

ガウルは標高2,800mまでの常緑林や落葉林に生息します。

他のウシ科動物よりも濃い森林にすむことができ、湿潤林だけでなく乾燥林にも生息します。

形態

体長は2.3~3.4m、肩高は1.6~2.3m、体重はオスが600~1,500㎏、メスが400~1,000㎏、尾長は0.7~1mでオスの方が大きくなります。

角(ホーン)は雌雄ともに生え、0.6~1mになります。

ガウルは胃を4つ持ち、反芻をします。

ガヤル
Photo credit: Kunal Mukherjee

食性

グレイザーでもブラウザーでもある彼らは、200種近い植物の草や葉、果実、枝、樹皮、種子などを食べます。

コーンやキャッサバ、ゴムの木などの作物を食べることもあります。

飲み水が必須で、ソルトリックも利用します。

捕食者にはトラの他、ヒョウドールが知られています。

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ガヤル
Photo credit: ChanduBandi

行動・社会

朝は採食、午後は休息や反芻に費やします。

彼らは序列のある10~30頭程度の群れを作ります。

群れには一頭のオス、複数のメスや亜成獣、子供がいることが多いです。

オスは他に単独で暮らしたり、オスだけの群れを作ったりすることもあります。

嗅覚や聴覚が優れており、音声や体をなめ合ったりしてコミュニケーションします。

バイソンなどのように地面に体をこする習性は見られません。

繁殖

繁殖には季節性がある場合もありますが、基本的に年中見られます。

メスは270~280日の妊娠期間の後、群れから離れた場所で25㎏ほどの赤ちゃんを、通常一頭産みます。

子供は生後9ヵ月ほどで離乳し、2~3歳で性成熟に達します。

メスの出産間隔は12~15ヵ月で、寿命は飼育下で約25年です。

ガヤル
Photo credit: Francesco Veronesi

人間とガウル

絶滅リスク・保全

ガウルは生息地の破壊や密猟の他、牛疫、口蹄疫、炭疽などといった家畜のウシからうつる病気などにより、全体的に個体数を減らしています。

全体の個体数は1.5~3.5万頭と推測されており、1,000頭を超える個体群は10もないとされています。

IUCNのレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、ワシントン条約では附属書Ⅰに記載されています。

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The IUCN Red List of Threatened Species Established in 1964, the IUCN Red List of Threatened Species has evolved to become the world’s most comprehensive information source on the global conservation ...

動物園

日本でガウルを見ることはできません。

ガヤル
Photo credit: Kandukuru Nagarjun
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