インドリの基本情報
英名:Indri
学名:Indri indri
分類:インドリ科 インドリ属
生息地:マダガスカル
保全状況:CR〈絶滅危惧ⅠA類〉
ミ〇キーのような耳
このサルの顔の部分をシルエットにしたら、もうほとんどミ〇キーマウスのようです。
このサルの名前はインドリ。
キツネザルのなかまでは最大の種です。
サルやらマウスやらキツネやらでややこしいですが、インドリはサルのなかまです。
インドリはこの丸くてふさふさした耳以外にも、多くの特徴を持っています。
例えばジャンプ力。
インドリは長くて強靭な後肢を持っており、木々の間を10m以上もジャンプすることもあります。
しかし、その長い後肢ゆえに地面を早く歩くことは困難で、そのため、彼らは同じインドリ科のシファカたちのように、地面を両足で跳ねながら移動します。
大きな声も、インドリの特徴の一つです。
インドリは、朝になると大きな声で鳴きます。
これはラウドコールと言われ、その声は2㎞先まで届くようです。
ラウドコールは主になわばりをアピールするために用いられます。
そのため、インドリの群れ同士の接触はほとんどないようです。
下の動画では、インドリがジャンプする様子や、大声で鳴く様子を見ることができます。
さらに特徴をもう一つ。
キツネザルのなかまは、長いしっぽを持っています。
日本でもなじみのあるワオキツネザルなんかを見てみてください。
黒と白の長いしっぽを持っていますよね。
このしっぽが、インドリの場合極端に短くなります。
これはキツネザルの中ではインドリだけに見られる特徴です。
その長さわずか5㎝。
通常しっぽはバランスをとるために使われるのですが、しっぽがなくてもピョンピョン飛び跳ねるインドリを見ていると、もうしっぽって何のためにあるんでしょうね。
インドリの生態
生息地
インドリは、マダガスカルの北東部から中東部にかけて、熱帯湿潤林に生息します。
一日のほとんどを樹上で過ごし、寝るときも樹上で寝ます。
樹上での移動は四足歩行の他、ヴァーティカル・クリンギング・アンド・リーピングなどでも行われます。
食性
主に若葉や果実を食べ、そのほかにも花や種子そしてしばしば土も食べます。
下の動画では、インドリが土を食べる様子を見ることができます。
形態
体長は60~90㎝、体重は7~8㎏、尾長は5~6㎝で、マダガスカルに生息する霊長類の中では最大です。
その手と足は木の枝をつかむために非常に大きく、後肢2本でぶら下がることもできます。
行動
インドリは、キツネザルの中では最も日中に活発に動きます。
そんな昼行性であるインドリは、一匹ずつのオスとメス、そしてその子どもから成るペア型の群れをつくります。
群れは5~40haのなわばりを持ち、オスが出す分泌物や尿、ラウドコールと呼ばれる音声でアピールされます。
群れ同士のなわばりの重複はほとんどなく、遭遇も稀です。
遭遇した場合でも鳴き合いで終わることが多く、身体的接触にまで至ることは稀です。
群れの中ではオスよりもメスの方が優位で、オスはなわばりを守っているのに食料に先にありつくのはいつもメスです。
また、メスの方がより質の高いえさがある木の上の方でえさを食べる一方、オスは木下の方に追いやられます。
繁殖
繁殖には強い季節性が見られ、多くの出産は生息地の北部では12月、南部では5月に見られます。
メスは、120日~150日の妊娠期間の後、1匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは主に母親によって育てられていると考えられており、約半年で離乳します。
子どもは2~3年ほどでオスもメスも親離れしますが、性成熟にはさらに数年かかると言われています。
メスの出産間隔は2~3年で、寿命はおそよ30年だと推測されています。
人間とインドリ
絶滅リスク・保全
インドリは、焼き畑農業や森林伐採、狩猟などにより住みかを奪われ、個体数を減少させています。
レッドリストでは、最も絶滅が懸念される絶滅危惧ⅠA類に指定されており、生存数はよく見積もっても1万頭に満たないと推測されています。
マダガスカルにおいて絶滅の危機にあるのは他の霊長類も同じで、マダガスカルに生息する霊長類のなんと9割を超える種が、IUCNによって絶滅危惧種に指定されています。
動物園
インドリには、他のインドリ科の霊長類同様、残念ながら日本では会うことができません。
仕方がないので、隠れミ○キーを見つけるたびに、彼らを思い出すことにしましょう。