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キョン

キョン
©2015 gailhampshire : clipped from the original
目次

キョンの基本情報

英名:Reeves’ Muntjac
学名:Muntiacus reevesi
分類:鯨偶蹄目 シカ科 ホエジカ属
生息地:中国、台湾
保全状況:LC〈軽度懸念〉

キョン
Photo credit: Eric Kilby

特定外来生物

中国と台湾に生息するキョン。

その名前からはどんな動物か想像が難しいですが、彼らはシカ科に分類されるシカの仲間です。

シカとはいっても小型で、オスにのみ生える角(アントラー)も小さいです。

また、オスには最大5cm程度になる大きな犬歯が上顎に生えており、いわゆるシカのイメージとは異なります。

シカの中でもホエジカ属というグループに分類されるキョンは、その属名が表す通り鳴き声が特徴的です

特に繁殖期や捕食者が近づいたときなどに大声で鳴きます。


そんなキョンは20世紀ごろイギリスの公園に持ち込まれており、そこから逃げ出した個体が野生化し、現在も生息しています。

キョンのメスは早いと生後半年で繁殖できるようになります。

一度に出産する子供は通常1頭ですが、有蹄類の中でも強い繁殖力で、一気に生息域を拡大しているのです。


実は同じことがここ日本でも起きています。

1980年代、千葉県の観光施設で飼われていた個体が逃げ出し、繁殖したことで野生化した個体群が定着しているのです。

現在その千葉県には8万6千頭、そして東京都の伊豆大島には約2万頭のキョンが生息していると推測されており、茨城県でも数件の目撃情報があります。

キョンは農作物や、野生の希少植物を食べることで人間社会や自然界に悪影響を及ぼしています。

また、彼らはニホンジカと一部分布を重複させていていますが、そうした地域ではニホンジカが食べないような植物を食べることが知られており、生態系への影響が懸念されています。

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このように、もともと日本にはいなかったキョンは、野生化したことで悪影響を与える動物として扱われていますが、彼らは外来生物法によって特定外来生物に指定されています。

特定外来生物は飼育や生きたままの運搬、輸入、譲渡や野外へ放すことなどが禁止、制限されており、これに違反すると個人では最大3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人では最大1億円以下の罰金が科されることになります。

特定外来生物には、哺乳類ではキョンの他にアライグマアカゲザルアメリカミンクなどが指定されています。

特定外来生物に指定された場合、市場価値を持たせることで更に分布域が拡大しては困るため、ジビエなどには利用せず捕獲が基本方策となります。

しかし千葉県では捕獲数がキョンの繁殖力に追いついておらず、彼らの数は増加傾向にあります。

日本でこれ以上彼らの生息地と悪評判が広まらないよう、行政にはしっかりとした対応が求められています。

毎日新聞
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キョン
Photo credit: Eric Kilby

キョンの生態

生息地

キョンは標高3,500mまでの亜熱帯から温帯にかけての森林に生息しています。

一部では雪が降る所もあり、また、農地や人里に姿を見せることもあります。

かつてフランスにも持ち込まれたことがありますが、現在は生息していません。

形態

体長は80㎝前後、肩高は45~55㎝、体重は10~20㎏でオスの方が大きくなります。

発達した眼窩前線から出る分泌物はコミュニケーションに使われます。

眼窩前線が目に見えることからヨツメジカと呼ばれることもあります。

オスのアントラーは12~15㎝になり、毎年生え変わります。

アントラーはどちらかというとディフェンスに使われ、オフェンスには犬歯が使われます。

キョン
Photo credit: Amanda Slater

食性

葉や草、種子、果実、竹などを食べます。

シカでは珍しく、卵や死肉も食べ、小型哺乳類や地上性の鳥類を襲うこともあります。

捕食者にはヒョウトラなどがおり、イギリスではキツネがほとんど唯一の捕食者となっています。

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行動・社会

薄明薄暮時に最も活発になるキョンは、ペアや小集団で見られることがありますが、基本的には単独性の生きものです

オスの行動圏は他のオスとは重複しませんが、メスの行動圏とは重複しています。

オスは行動圏が重複する1頭以上のメスと繁殖します。

また、オスは若いオスであれば行動圏内にいることを許容します。

繁殖

キョンは年中繁殖することができるようです。

メスは209~220日の妊娠期間の後、通常1頭の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんは生後17週で離乳します。

そして生後6~8ヵ月で性成熟に達し、その頃独立していきます。

寿命は野生で約10年です。

キョン
Photo credit: Amanda Slater

人間とキョン

絶滅リスク・保全

キョンは生息地の破壊や、肉および毛皮を目的とした狩猟により一部地域では個体数を減らしているようですが、全体として絶滅が心配されるほどではなく、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

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動物園

キョンは日本の動物園でも見ることができます。

北海道の旭山動物園、秋田県の大森山動物園、東京都の大島公園、岡山県の池田動物園、広島県の安佐動物公園、福岡県の福岡市動物園がキョンを飼育しています。

もし野生で見つけた場合は、その自治体に報告してください。

茨城県では報奨金があるようです。

キョン | 旭山動物園

秋田市公式サイト
キョン 秋田市公式サイト
総務局
東京都立大島公園 動物園マップ|動物園|☆東京都大島支庁ホームページ☆ 東京都総務局における☆東京都大島支庁ホームページ☆の動物園マップ(動物園)のページです。
キョン | 【公式】池田動物園
キョン | 【公式】池田動物園 岡山市北区の池田動物園 公式WEBサイト。アミメキリンをはじめとする数多くの動物たちが皆さんをお迎えします。ご来園お待ちしております。
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キョン / Reeves's Muntjac|menu02_動物紹介|安佐動物公園 asazoo 広島市安佐動物公園の動物紹介のページです。
福岡市動物園
キョン 福岡市動物園公式ホームページの「動物紹介 詳細」ページです。 ここでは福岡市動物園の「キョン」の情報をご覧いただけます。
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