オジロレイヨウジリスの基本情報
英名:White-tailed Antelope Squirrel
学名:Ammospermophilus leucurus
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 レイヨウジリス属
生息地:メキシコ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
暑さへの対策
まずは名前の解説を。
オジロレイヨウジリスの「オジロ」とは、彼らの白いしっぽを意味しています。
しっぽはすべて白いのではなく、オジロジカのように裏側だけ白くなっています。
「レイヨウ」とはウシ科の多くの動物を指す言葉で、アンテロープとも言います。
オジロレイヨウジリスの機敏で颯爽とした動きがレイヨウの動きと重なることに由来するようです。
「ジリス」の「ジ」は地面の「地」。
彼らは地上で生活する地上性リス類であるため、この名前です。
この和名は、英語を訳したものとなっています。


今度は学名に注目してみましょう。
属名の”Ammospermophilus”は”ammos”、”sperma”、”philos”というギリシャ語由来の3つの単語から構成され、それぞれ「砂」、「種」、「愛する」を意味します。
実際、彼らは北米の乾燥地帯や砂漠地帯に生息し、彼らにとって種子は重要な食物です。
種小名の”leucurus”もやはりギリシャ語由来で、”leukos”、”oura”、それぞれ「白い」、「尾」を意味する単語からなります。
これはもちろん、彼らの白いしっぽを表しています。
さて、そんなオジロレイヨウジリスはその名前からも想像できるように、乾燥して時に高温となるような環境に生息します。
そのため、彼らの生態はそうした環境に適応しています。
例えば、彼らの体温は柔軟に変動します。
彼らの通常体温は38度くらいですが、体に何の変化もなく44度まで上昇させることができます。
ちなみに、暑い日には巣の中などで、おなかを地面にべったり付ける光景が見られます。
これは、冷たい地面に触れる体の面積を極限まで大きくし、涼むための行動です。
一方、冬の寒い日にはこれを31度ほどまで低下させることができ、余計なカロリー消費を防ぎます。
あまりにも寒いと活動を停止し、トーパーと呼ばれる状態にもなれます。
活動時間も柔軟です。
オジロレイヨウジリスは昼行性ですが、暑い日には薄明薄暮時に活発になり、昼前後は巣の中や陰で過ごします。
一方、寒い日にはむしろ太陽がしっかり出ている時間に活発になります。
そして日が落ちると巣の中で休息するのですが、この時、彼らは集団で体を寄せ合って暖を取りながら休息することもあります。
オジロレイヨウジリスは基本的に単独性ですが、環境に応じて行動を変えるところには、彼らの適応力の高さがうかがえます。
彼らの適応力は気温だけでなく、乾燥にも見られます。
彼らの生活に飲み水は必須であるものの、その必要量は少なく、日に体重の2~5%程度しか水分を必要としません。
また、食べるものからも水分は摂取できるため、飲む必要のある水分はさらに限られます。
変動する気温と乾燥という2つの困難を克服する力が、この小さな体に宿っていること。
オジロレイヨウジリス、侮れません。
White Tailed Antelope Ground Squirrel | Mojave National Preserve (U.S. National Park Service)
オジロレイヨウジリスの生態
生息地
北米中西部に分布し、乾燥した低木地や草原、砂漠地帯、丘陵地帯などに生息します。
いずれも巣を作ることのできる土壌が必要です。
形態
体長は18.8~23.9㎝、体重は96~117g、尾長は4.2~8.7㎝で性差はあまりありません。
比較的長い脚と背中の2本の白い模様が特徴的で、年に2回換毛します。
乳頭は同属内ではかなり多く、10個あります。

食性
種子や果実、葉や草、昆虫などを食べます。
同属内では肉食性が強く、死肉を食べることもあります。
頬袋を持っているため、そこに食べ物を一時的にしまうことができます。
捕食者にはキットギツネやボブキャット、コヨーテ、イタチ類、猛禽類、ヘビ類が知られています。




行動・社会
昼行性で冬眠はせず、年中活動します。
主に単独性の彼らにはなわばり性は見られず、冬には巣の中で複数が見られることもあります。
巣は他の動物が掘ったものを使ったり、自分で掘ったりします。
巣は乾いた植物や動物の毛が敷き詰められ、その深さは約45㎝、部屋の直径は13~20㎝です。
行動圏は6haほどで、周囲の個体との上下関係が見られます。
繁殖
繁殖は2月から6月にかけて見られます。
メスは通常年に1度出産しますが、2度出産する場合もあります。
メスの妊娠期間は30~35日で、通常8~9匹、最大14匹の赤ちゃんを一度に産みます。
赤ちゃんは3~4gで目は閉じ、無毛で未熟ですが、生後2か月ごろには巣から出始め、その後離乳します。
性成熟には1歳までに達します。
寿命は飼育下で長いと5年超です。

人間とオジロレイヨウジリス
絶滅リスク・保全
分布域も広く個体数も安定しており、今のところ絶滅の心配はありませんが、カリフォルニア湾の島々では、イエネコによる捕食や人間の活動の影響が懸念されています。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
White-tailed Antelope Squirrel | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でオジロレイヨウジリスを見ることはできません。


