ユタプレーリードッグの基本情報
英名:Utah Prairie Dog
学名:Cynomys parvidens
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 プレーリードッグ属
生息地:アメリカ合衆国
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉

参考文献
プレーリードッグ
プレーリードッグによく似た動物にミーアキャットがいます。
ミーアキャットはアフリカに生息する食肉目の一種です。
ミーアキャットとはオランダ語で「湖のネコ」という意味ですが、彼らはネコではなくマングースの仲間です。
目元の黒い模様が特徴的な彼らは巣穴の中で、集団で生活します。
巣の出入り口に両足で立ち、周囲に危険がないか見渡す姿が印象的です。
このアフリカに生息するマングースのように、北米に生息するプレーリードッグも巣穴を作り、そこに群れで暮らします。

プレーリードッグは齧歯目の一種で、リスの仲間、中でも地上性リスの仲間です。
北米にのみ生息し、ユタ州にのみ生息するユタプレーリードッグを含め、現在5種が知られています。
プレーリードッグは大きくオジロプレーリードッグのグループとオグロプレーリードッグのグループに分けられ、前者にオジロプレーリードッグ、ユタプレーリードッグ、ガニソンプレーリードッグ、後者にオグロプレーリードッグ、メキシコプレーリードッグが属します。
ミーアキャットがネコでないように、プレーリードッグもまたイヌではありません。
この「ドッグ」という言葉は、彼らがイヌのように鳴くことから付けられています。
ちなみに、プレーリードッグの属名は”Cynomys”と言いますが、これはギリシャ語で「イヌ」と「ネズミ」という2つの単語の組み合わせからできています。

プレーリードッグはタウンと呼ばれる複雑な社会で生活します。
最小単位はコテリーと呼ばれる群れで、通常1匹の大人のオスと複数の大人のメス、そしてそれらの子供たちから構成されます。
このような複雑な社会では音声のようなコミュニケーションが発達します。
プレーリードッグもよく鳴く動物で、動物界の中でも多様な音声を持つ種として知られています。
プレーリードッグは複雑な巣穴を作ることでも知られています。
育児やトイレなど、各部屋には用途があり、彼らにとっての家の役割を果たしています。
この巣穴は彼らだけでなく、アナホリフクロウやウサギ、クロアシイタチなど様々な動物も利用し、彼らは生態系エンジニアとして生態系には欠かせない存在となっています。
また、巣穴は住居だけでなく、それを作る過程で土壌が耕され、草食動物にとってのいい餌場を作る役割も果たします。
さらに、彼らは自身が他の動物の餌となることでも生態系に貢献しています。
プレーリードッグは彼らを専門に食べるクロアシイタチや、コヨーテ、猛禽類などにとっての重要な餌です。
プレーリードッグに依存する生物種は100種以上に上り、彼らはキーストーン種として生態系では替えが利かない重要な位置を占めています。



そんな彼らは人間からは害獣と見なされます。
農作物を食い荒らしたり、その巣穴が家畜やトラクターなどの交通を妨げたりするためです。
そうして人間によって主に毒で駆除された結果、プレーリードッグは20世紀、各地で減少するに至ります。
ユタプレーリードッグも例外ではありません。
かつて彼らはユタ州の1,800㎢の範囲に生息していましたが、今では28㎢の範囲にしか生息していません。
また個体数は1920年代には9.5万匹と推定されていましたが、今では1万匹未満とされるまで減少しています。
プレーリードッグ属の中でユタプレーリードッグは、メキシコプレーリードッグと並んで絶滅危惧種に指定されています。
Utah Prairie Dog Conservation | UtahStateUniversity

ユタプレーリードッグの生態
生息地
ユタ州南西部の、標高1,500~2,700mに分布します。
水はけがよく、見通しがいい丈の草が生えた草原に生息します。
形態
体長は25~40㎝、体重はオスが750~1,410g、メスが640~1,140g、尾長は3~6.5㎝で、プレーリードッグの中では最小となります。
尻尾は白く、目の上下の黒い模様が特徴的です。
メスには通常10の乳頭があります。

食性
イネ科の草や広葉草本、種子、花、虫、ウシの糞などを食べますが、葉よりも花や種子の方を好みます。
水は飲まなくても生きていけます。
捕食者には、アナグマやコヨーテ、イタチ類、猛禽類、ヘビ類が知られています。

行動・社会
昼行性のユタプレーリードッグは20~60匹からなるタウンで生活します。
彼らの社会は母系社会で、オスは成長すると育ったコテリーを離れていきます。
7月半ばごろから活動が鈍り、ほとんどを地中の巣穴で過ごし、寒い日にはほとんど動かなくなります。
3月から4月にかけて地上に再び出始め、活動を再開します。
繁殖
繁殖は巣穴から出てきた3月から4月に見られます。
メスは年に1度だけ出産します。
妊娠期間は約30日で、通常3~5匹、最大10匹の赤ちゃんが生まれます。
赤ちゃんは母親によって巣穴で育てられ、生後6週ごろ巣から出始めます。
生後7週には離乳し、1~2歳で性成熟に達します。
生まれた赤ちゃんの半数以上は1歳を迎えるまでに死んでしまいます。
2歳まで生きられるのは全体の3割にも達しません。
人間とユタプレーリードッグ
絶滅リスク・保全
ユタプレーリードッグは約28㎢の範囲に1万頭程度しか生息しません。
個体数は現在も減少傾向にあるとされ、IUCNのレッドリストでは絶滅危惧ⅠB類の評価です。
脅威としては、生息地の破壊や農地などへの転換、地域的な駆除、死亡原因のほとんどを占める感染症があります。
これに対し、私有地から公有地、保護区への移送、経口ワクチンの接種などの保全策が取られています。
Cynomys parvidens | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でユタプレーリードッグを見ることはできません。
国内の動物園で見られるプレーリードッグはオグロプレーリードッグのみです。


