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オグロプレーリードッグ

2026 5/04
リス科
2026年5月4日
オグロプレーリードッグ
©2023 USFWS Mountain-Prairie : clipped from the original
目次

オグロプレーリードッグの基本情報

英名:Black-tailed Prairie Dog
学名:Cynomys ludovicianus
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 プレーリードッグ属
生息地:カナダ、メキシコ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

オグロプレーリードッグ
Photo credit: USFWS Mountain-Prairie

参考文献

リスの生態学 / 田村典子 【本】
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タウン

北米のグレートプレーンズを中心として分布するオグロプレーリードッグは、地中に巣穴を作ります。

巣穴の中の各部屋はトイレや育児、休息などそれぞれの目的に合わせて分かれています。

この巣穴が及ぶ範囲は時に尋常ではないほど広く、これまで見つかったもので最大のものは、6.5万㎢に及びます。

北海道が約8万㎢であることを考えると、この数字の異常さがわかります。

こうした巣穴には無数のオグロプレーリードッグが暮らしています。

彼らの群れはその名もタウンと呼ばれ、先ほどのテキサス州の最大の巣穴には、なんと4億匹が暮らしていたとされています。


テキサスの例はかなりの規模ですが、通常でもタウンは数百匹からなります。

このタウンの最小単位はコテリーと呼ばれる群れで、一般的に1匹の大人のオスと複数の大人のメス、そして彼らの子供たちから構成されます。

一つのコテリーは0.3haほどの範囲で暮らし、その範囲には何十もの巣穴の出入り口が存在します。

それぞれのコテリーはなわばり性を持っているため、他のコテリーのメンバーには基本的に排他的です。

特にメスはよそのメスに対して攻撃的になります。

コテリー内部は互いに寛容で、グルーミングなどの宥和行動が見られますが、メスは妊娠していたり子供を連れたりしているときは攻撃性が増し、メスによる他のメスの子殺しも知られています。

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さて、このように非常に複雑な社会を構成するオグロプレーリードッグはそれゆえコミュニケーションが発達しています。

特に音声によるコミュニケーションは特に発達しており、10以上もの音声が知られています。

警戒音声や防衛音声など他の種も持つような音声の他、オスの交尾後音声なども知られています。

また、ジャンプ・イェップコール(jump-yip call)といって、のけぞりながら鳴き、それが他の個体にも伝播していくという彼らに特徴的な音声もあります。

この音声はなわばりを守る際や捕食者が去った際などに使われますが、その役割はあまりわかっていません。


ところで、群れを作るメリットの一つは捕食者を警戒する目が増えることです。

オグロプレーリードッグの場合、巣穴の出入り口の盛り上がりの上で見張りは行われます。

また、見通しをよくするため、出入り口付近の草は刈り取られます。

この草の刈り取りは植物の新陳代謝を促し、バイソンやプロングホーンなど他の動物のいい餌場を作り出します。

特にオグロプレーリードッグは一つの群れが一ヵ所に広い範囲で生息するため、この効果は計り知れません。

これに加え、オグロプレーリードッグ自身もクロアシイタチなど様々な動物のエサとなります。

一ヵ所に多数が生息する彼らは餌となる動物として生態系で重要な役割を果たしています。

さらに、彼らが作る巣穴はアナホリフクロウやワタオウサギなどに住処を提供します。

このように彼らに依存した生活を送る生物は170種以上いるとされ、オグロプレーリードッグは生態系において最重要の種、つまりキーストーン種として知られています。

人間からしたらとても小さいリスの仲間ですが、集団となることでその生態系に与えるインパクトは何倍にもなるのです。

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オグロプレーリードッグ
Photo credit: Ken Lund

オグロプレーリードッグの生態

生息地

カナダのサスカチュワンからメキシコのソノラ北東部、チワワ州北部に分布します。

標高1,300〜2,000mの、乾燥して開けた草原に生息します。

形態

体長はオスが35.8〜41.5㎝、メスが35.2〜37.5㎝、体重はオスが850〜1,675g、メスが705〜1,050g、尾長は10㎝程度とオスの方が大きくなります。

秋に最も重く、冬に最も軽くなります。

換毛が春と秋の年に2回あります。

メスは8つの乳頭を持ちます。

オグロプレーリードッグ
Photo credit: USFWS Mountain-Prairie

食性

食べるものの98%は植物、残りは昆虫などの動物質のものが占めます。

イネ科の草よりも広葉草本を好むようです。

水はエサから得るので飲む必要はありません。

捕食者にはクロアシイタチの他、コヨーテやボブキャット、カナダオオヤマネコ、アナグマなどの哺乳類やイヌワシなどの猛禽類、ブルスネークなどのヘビ類が知られています。

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行動

昼行性で冬眠はせず年中活発です。

ただ、寒すぎる日には一時的にトーパーと呼ばれる休眠状態になることもあります。

巣穴の出入り口は1mまでの土の盛り上がりが見られますが、巣穴の周辺部のものには盛り上がりが見られないこともあります。

交尾もほとんど地中で行われ、オスでは交尾後音声が知られています。

社会

タウンの最小単位であるコテリーは一夫多妻ですが、血縁関係のある大人オスが複数いる場合もあります。

メスは成長しても生まれたコテリーに留まりますが、オスは分散していきます。

大人になっても同じコテリーに2年以上いることは稀です。

オグロプレーリードッグ
Photo credit: Ken Lund

繁殖

繁殖は3月から4月にかけて見られます。

メスは年に1日だけ発情します。

メスの妊娠期間は33〜38日で、1〜8匹、通常3〜4匹の赤ちゃんが生まれます。

赤ちゃんは7㎝、150g程度で、目は見えず、無毛の未熟な状態で生まれます。

生後3週で毛は生え、生後5週で目が開きます。

生後6週ごろから巣を出始め、生後7週までに離乳します。

1〜2歳で独立し、1〜3歳で性成熟に達し繁殖を始めます。

寿命は野生で長いとオスが5年未満、メスが8年までですが、半分以上が1歳を迎える前に死にます。

オグロプレーリードッグ
Photo credit: Bettina Arrigoni

人間とオグロプレーリードッグ

絶滅リスク・保全

オグロプレーリードッグは、その巣穴が家畜やトラクターなどの移動を妨げるとして、大々的に駆除され、分布域はかつての1%になるまで減少しました。

ただ、現在その個体数は安定ないし微減とされており、絶滅はあまり心配されていません。

個体数は2000年代初頭の推計で1,800万匹程度とされています。

ただ、依然として生息地の破壊・改変や感染症、娯楽的狩猟などの脅威が存在しています。

IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

 Cynomys ludovicianus | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

オグロプレーリードッグは、日本の動物園で見られる唯一のプレーリードッグです。

彼らは日本各地の動物園で見ることができます。

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