トウブシマリスの基本情報
英名:Eastern Chipmunk
学名:Tamias striatus
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 シマリス属
生息地:カナダ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
頬袋
体の縞模様が特徴的な、いわゆる地上性リスであるシマリスと呼ばれるリスには、約25種が知られています。
このうち、日本にも亜種のエゾシマリスが生息するシベリアシマリスは、ユーラシアに生息する唯一のシマリスで、他のシマリスはすべて北アメリカ大陸に生息します。
分類学的にもシベリアシマリスは他のシマリスとは違いますが、北米にも一種、他のシマリスとは異なる系統の種がいます。
それがカナダ南東部からアメリカ東部にかけて分布するトウブシマリスです。
シベリアシマリスがタイリクシマリス属(Eutamias)、北米の他のシマリスがアメリカシマリス属(Neotamias)に分類されるのに対し、トウブシマリスは唯一シマリス属(Tamias)に分類されます。

そんなトウブシマリスですが、よく伸びる頬を持っています。
これは頬袋と呼ばれ、齧歯類の他には霊長類、特にオナガザルでも見られます。
頬袋は一時的にエサを貯めることができ、主にエサの運搬に役立ちます。
彼らは餌を一体どこに運ぶのか。
属名の”Tamias”が古代ギリシャ語で「貯蔵係」や「管理人」を意味することからも分かるように、トウブシマリスは餌を巣の周辺や巣の中に貯めます。
これは樹上性リスによく見られる行動で、貯食と呼ばれます。
ではなぜ彼らは貯食をするのか?
それはエサの少ない冬を乗り切るためです。


地上で暮らす地上性リスでは、冬眠がよく見られます。
その内実はさまざまですが、冬眠時に消費するエネルギーを脂肪から得るタイプか、エサから得るタイプかに大きく分けられます。
マーモットなどはそのでっぷりした体型からもわかる通り前者のタイプですが、体が小さいトウブシマリスなどは後者のタイプです。
つまり、あらかじめエサを貯めておき、冬眠時にそれを食べることで、最低限必要なエネルギーを賄っているのです。
エサを食べなければならないので、彼らの冬眠は何度も覚醒を挟み、地上に出てくることすらあります。
このような純粋な冬眠ではない、一時的な冬眠はトーパーと呼ばれます。
ちなみに、貯食行動をよく見せる樹上性リスは冬眠をしません。
彼らは冬までに貯めておいたエサだけで冬を乗り切ります。
なので、例えば北海道には樹上性リスのエゾリス(キタリスの亜種)と地上性リスのエゾシマリス(シベリアシマリスの亜種)が生息しますが、冬に見られるのはエゾリスのみです。



トウブシマリスの生態
生息地
落葉樹林などの森林や藪などに生息します。
森林の縁などの開けた環境に好んで暮らします。
形態
全長は25.5~26.6㎝で、そのうち8~11㎝を尾が占めます。
体重は66~115gです。
他のリス同様、前肢には4本、後肢には5本のかぎ爪が生えた指を持ち、犬歯は無く、門歯は一生伸び続けます。

食性
種子や果実、ナッツ類を主食とし、このほか菌類や昆虫類を食べます。
捕食者にはイタチ類の他、アカギツネやヤマネコ、コヨーテ、アライグマ、猛禽類などが知られています。







行動・社会
昼行性で薄明薄暮時に最も活発になります。
単独性で地上性ですが、木にも登ります。
岩や倒木の下に巣を作り、その周辺は防衛するなわばり性を見せます。
巣は深さ1m未満、全長は10mあり、休息の部屋やエサを貯める部屋があります。
巣の出入り口から半径20m程度のエリアを行動圏としますが、初夏と初秋にはより広範囲を行動します。
地上では周囲を見渡す様子がよく見られ、危険を感じた時などよく鳴きます。
繁殖
メスは年に最大2回出産します。
繁殖期は3月中旬から4月中旬と、7月中旬から8月中旬に見られます。
妊娠期間は31~35日で、一度に3gほどの赤ちゃんが2~5匹、最大15匹生まれます。
赤ちゃんは生後4~6週で巣から出るようになり、生後6週ごろまでには離乳します。
生後2ヵ月で独立し、1歳までには性成熟に達します。
寿命は野生で2~3年、飼育下では長いと8年です。

人間とトウブシマリス
絶滅リスク・保全
分布域が広く個体数も安定していると見られ、絶滅の心配は現在のところされていません。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
Tamias striatus | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でトウブシマリスを見ることはできません。


