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プロングホーン

プロングホーン
©2017 Yellowstone National Park : clipped from the original
目次

プロングホーンの基本情報

英名:Pronghorn
学名:Antilocapra americana
分類:鯨偶蹄目 プロングホーン科 プロングホーン属
生息地:カナダ、メキシコ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈経度懸念〉

プロングホーン
Photo credit: USFWS Mountain-Prairie

参考文献

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プロングホーン

哺乳類には角が生えた動物がいますが、彼らの角は大きく5種類に分けられます。

一つ目はサイの角。

形は最もシンプルで、枝分かれせず円錐状。

ホーンと呼ばれます。

サイの角は骨ではなく、角質化した表皮でできています。

これには髪や爪などに含まれるケラチンが多く含まれています。

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二つ目はヒツジやヤギなどを含むウシ科特有の角。

洞角(どうかく)と呼ばれる角です。

これは頭蓋骨の突起を皮膚の角質層が変形した鞘が包んだもので、通常オスもメスも角を持ちます。

この角は枝分かれせず、抜け落ちることはありません。

こちらもホーンと呼ばれますが、ねじれたり大きかったりと様々です。

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三つ目はシカの角。

枝角と呼ばれ、英語ではアントラーと言います。

トナカイを除くと枝角を持つのはオスだけで、毎年生え変わります

枝角は頭蓋骨が突起状に伸び、皮膚を突き破りむき出しになったものですが、生え変わり段階の成長中の角は血が通った皮膚に覆われており、袋角と呼ばれています。


四つ目はキリンオカピの角。

オシコーンと呼ばれ、オカピにはオスにのみ生えます。

オシコーンは皮膚の中に作られる皮骨と呼ばれる骨からなり、成長するにつれて頭骨と癒合していきます。

オシコーンはキリンでは頭に2本、額に1本生えます。

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そして最後、五つ目がプロングホーンの角です。

この角はプロングホーンと呼ばれ、プロングホーンはその角の名前で呼ばれる珍しい動物です。

彼らの角は洞角とほとんど同じ構造ですが、鞘が毎年はがれ作り替えられる点で異なります

また、プロングという英語がフォークなどの「又」という意味を持つことからわかるように、角に枝分かれがある点でも違います


プロングホーンはメスも7割ほどが角を持ちますが、枝分かれせず、その大きさは数㎝で耳より大きくなることはありません。

一方のオスの角は25㎝にもなります。

角は生後半年ごろから生え始め、その1年後に初めて鞘が剥がれます。

鞘は11月~12月に剥がれ落ち、その後新しい鞘が角を覆います。

プロングホーンの角は、メスをめぐる戦いの際に使われ、対捕食者用ではありません。

捕食者対策として、彼らは角ではなく足を使います。

プロングホーンはチーターに次いで足が速い動物で、時速90㎞以上で走ることができます。

また、チーターよりも持久力があるため、総合的な走力では動物界一かもしれません。

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一つ疑問なのは、なぜ彼らはオオカミなどの捕食者を優に超える速さで走れる必要があるのかということです。

一説によると、その理由はかつての捕食者の足が速かったからと言われています。

現在のウェストバージニア州の洞窟から、300万年前のチーターのような動物の化石が見つかっています。

その動物がどれだけの速さを誇っていたかはわかりませんが、プロングホーンが彼らとの競争の末、そのスピードを獲得したという説明は、アフリカのチーターとガゼルの例を見てみると説得力がありそうです。

プロングホーンの角のように話がそれてしまいました。

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プロングホーン
Photo credit: Larry Lamsa

プロングホーンの生態

分類

アメリカプロングホーン(A. a. americana)、アリゾナ州南西部、メキシコ・ソノラ北東部に生息するソノラプロングホーン(A. a. sonoriensis)、バハカリフォルニアプロングホーン(A. a. peninsularis)の主に3亜種が知られています。

生息地

プロングホーンは北米の標高3,350mまでの草原に生息します。

視覚がさえぎられる閉じた環境は避けて暮らします。

ハワイに導入された過去がありますが、現在は絶滅しています。

生息個体数の半分はワイオミング州に生息するとされています。

プロングホーン
Photo credit: USFWS Mountain-Prairie

形態

体長は1.1~1.4m、肩高は80~90㎝、体重は35~70㎏、尾長は10㎝でオスの方が大きくなります。

耳は大きく14㎝ほど。

切歯と犬歯は下顎にしかありません。

あごや蹄の間、お尻などに臭腺が存在します。

プロングホーン
Photo credit: Ropes in The Water

食性

植物食のプロングホーンは、葉、草、茎などを食べます。

一部個体群はサボテンも食べるようです。

北部個体群では、夏には広葉草本、冬にはヤマヨモギが重要なエサとなります。

エサの質に依りますが、ほとんど水を飲まなくても生活できます。

プロングホーンは反芻獣で、胃は4つに分かれています。

捕食者にはボブキャットコヨーテオオカミピューマクマ、イヌワシなどが知られています。

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行動・社会

夏にメスは10頭程度のメスと子供だけの群れを作ります。

一方、若いオスはオス同士の群れを作り、成熟したオスは単独で暮らします。

夏の暮れ、繁殖期に入るとオスはなわばりを築いてハーレムを持ち、複数のメスと交尾します。

その後、冬になるとオスメス入り混じった大きな群れを作りますが、春になるとそれぞれ分散していきます。


プロングホーンは北米ではトナカイに次いで長距離を移動する有蹄類で、冬には150㎞以上移動する個体群もあります

視覚が優れており、危険を感じた際にはお尻の白い毛を逆立て、仲間にシグナルを送ります。

プロングホーン
Photo credit: USFWS Mountain-Prairie

繁殖

繁殖は北部では9~10月にかけて行われますが、南部ではより早い時期に始まります。

メスは約8ヵ月の妊娠期間ののち、3~4㎏の赤ちゃんを1~2頭産みます。

赤ちゃんは生後30分ほどで歩き始め、数日で人よりも速く走れるようになります。

ただ、生後数週間までは茂みに隠れて過ごします。

生後3週ごろ、母親についていくようになり、固形物を食べ始めます。

1~1.5歳で独立し、3歳ごろまでに性成熟に達します。

寿命は野生では10年ほどです。

プロングホーン
Photo credit: USFWS Mountain-Prairie

人間とプロングホーン

絶滅リスク・保全

1800年代、プロングホーンは3,500万頭以上いたとされていますが、肉やスポーツを目的とした狩猟や人間活動による生息地の破壊により、1900年代初頭には2万頭と推測されるまで激減します。

しかし、法の整備や保全活動により、干ばつや厳冬の影響で振れ幅はあるものの、今では100万頭ほどが存在するとされ、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。


現在、大きな脅威はないですが、家畜の影響やインフラの整備、特にメキシコでは密猟などが一部地域で脅威となっている可能性があります。

亜種によっては絶滅の危機に瀕しておりソノラプロングホーンは1,000頭未満、バハカリフォルニアプロングホーンは200頭が残るのみとされています。

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動物園

日本ではプロングホーンに会えません。

プロングホーン
Photo credit: Henry
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