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ニュージーランドオットセイ

ニュージーランドオットセイ
©2014 Anup Shah : clipped from the original
目次

ニュージーランドオットセイの基本情報

英名:New Zealand Fur Seal
学名:Arctocephalus forsteri
分類:食肉目 アシカ科 ミナミオットセイ属
生息地:オーストラリア、ニュージーランド
保全状況:LC〈軽度懸念〉

ニュージーランドオットセイ
Photo credit: Willem van Valkenburg

参考文献

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水陸両棲

その名の通りニュージーランドやオーストラリアに生息するニュージーランドオットセイ。

彼らを含め、鰭脚類は水陸両棲の哺乳類です。

鰭脚類はアシカ科とアザラシ科、そしてセイウチのみ属するセイウチ科に分けられますが、アシカのなかまはアザラシのなかまに比べてより陸上生活に適応しています

アシカとセイウチの後肢は陸上では前方に曲げることができ、一方の前肢は体を支えます。

こうして四肢を使って陸を器用に歩くことができます。

これは腹や前肢を使ってイモムシのように移動するアザラシとは大きく異なる特徴です。

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ニュージーランドオットセイは、沿岸の特に岩場を好んで利用します。

彼らにとって陸地は休息(ホールアウト)だけでなく、繁殖のために重要です。

オスは10月ごろ繁殖場(ルッカリー)に上陸し、なわばりを築くために音声や上体を起こし、首を見せ合うディスプレイ、最終的には物理的攻撃を駆使しながら、他のオスと闘争します。

見事なわばりを築けたオスは、なわばり内の3~8頭のメスと交尾することができます。

同じころ、メスは出産を陸上で行います。

育児中、メスは授乳と海での採餌を繰り返しますが、この間、子供たちは子供たちで集まり、陸で遊ぶなどして成長していきます。


このように陸は彼らにとって重要な生活の場ですが、海も同じくらい重要です。

なぜなら彼らのエサは海に存在するからです。

ニュージーランドオットセイはオットセイの中でも深く潜ることができ、大人のオスは最大で400m近く、15分間の潜水をすることができます。

また、彼らはポーパシングをすることで知られています。

ポーパシングとは水面近くを低いジャンプを繰り返しながら泳ぐことで、ポーパスが英語で中型の鯨類を意味する通り、鯨類によく見られます。

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ところで、ニュージーランドオットセイは海中でジャグハンドリングと呼ばれる姿勢をすることが知られています。

直訳すると「急須の取っ手」となるこの言葉通り、片方の前肢の鰭を後肢の鰭で挟んで水上に取っ手のようにして出し、もう片方の鰭で海の水をかくのです。

これには、毛のない鰭を温めたり、逆に汗腺が多い鰭から水を蒸発させたりする効果があるとされています。

また、この際に彼らは鯨類のように半球睡眠をすることが知られています。

これはその名の通り脳を半分ずつ睡眠状態にすることで、アザラシ類では報告がありません。

もしジャグハンドリング状態の時に右の前肢が出ていれば、それは左脳が眠っている証拠です。

陸でも海でも生活する彼らには、他の哺乳類には見られない特徴がたくさんあります。

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ニュージーランドオットセイ
Photo credit: potrtengaround
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ニュージーランドオットセイの生態

生息地

オーストラリア南部やニュージーランド、およびその周辺の島々の沿岸域に生息します。

放浪個体はニューカレドニアに姿を見せることがあります。

また、14世紀の考古学的証拠からクック諸島に生息していた可能性があります。

生息域南部ではナンキョクオットセイアナンキョクオットセイと交雑し、それらとの子が存在するという報告があります。

ニュージーランドアシカと生息地を重複させますが、アシカが砂場を好む一方、オットセイは岩場を好みます。

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形態

体長はオスが1.5~2.5m、メスが1.2~1.5m、体重はオスが120~200㎏、最大で250㎏、メスが30~50㎏、最大で90㎏と性的二型が顕著です。

尖った吻部が特徴的です。

毛は保護毛と下毛の二層からなり、オスにはタテガミがあります。

ニュージーランドオットセイ
Photo credit: Walter Rumsby

食性

オーストラリアスルメイカなどの頭足類、ハダカイワシ、オニカマス、マアジ、ホキ、ロウソクチビキなどの魚類、コガタペンギン、ハシボソミズナギドリなどの鳥類を捕食します。

オスの方がより大型のエサを食べます。

捕食者にはシャチの他、ニュージーランドアシカが知られています。

また、亜南極の島周辺ではヒョウアザラシに捕食されている可能性があります。

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行動・社会

海面付近に魚が上がってくる夜に主に採餌します。

大人の個体は大陸棚上で採餌することが多く、オスは100~200m、メスは60~80m潜水して採餌します。

一方、若い個体は外洋で採餌します。

また、授乳期初期のメスは繁殖場から70~90㎞の範囲で採食しますが、後期になると1,000㎞近く移動する場合もあります。

オスは10月ごろ上陸し、その後上陸してくるメスをめぐってなわばりを争います。

メスは11月から上陸し始め、上陸後3~5日で出産します。

そして出産から1週間ほどで発情を再開し、なわばりをもつオスと交尾します。

繁殖

メスは2~4ヵ月の着床遅延を含む約11ヵ月の妊娠期間の後、40~55㎝、3~4㎏の赤ちゃんを一頭産みます。

出産後は絶食して8~10日育児したのち、3~5日の採餌トリップに出かけます。

その後、戻ってきて1~2日授乳したのち、再び採餌に出かけます。

授乳期後期では採餌の期間は8~11日、中には20日近くにまで伸びます。

子供は生後3~4ヵ月で換毛、生後9~10ヵ月で離乳します。

性成熟にはオスが8~10年(社会的成熟)、メスが4~6年で達します。

寿命は、オスは20年を超えることはありませんが、メスは最大で25年近くになります。

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ニュージーランドオットセイ
Photo credit: Sid Mosdell

人間とニュージーランドオットセイ

絶滅リスク・保全

ニュージーランドオットセイは、かつてマオリなどのポリネシア人による入植および狩猟によりニュージーランドの北島で数を減らしたことがわかっています。

また、18世紀から19世紀にかけて、商業的な狩猟が行われ、何十万という数が狩猟されました。

その結果、彼らは絶滅寸前まで減少してしまいましたが、法の整備や保全活動により、個体数は回復し、現在も増加中とされています。

IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。


一方、混獲や漁具、海洋ゴミの絡まりは脅威で、年間1,000頭以上が死んでいると言われています。

また、観光の増加による騒音および船との衝突、原油の流出、イヌなどの陸上生物からのブルセラ症、レプトスピラ症、麻疹、結核といった病気の伝染は脅威となっている可能性があります。

彼らはワシントン条約(CITES)では附属書Ⅱに記載されています。

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動物園

日本ではニュージーランドオットセイに会うことはできません。

ニュージーランドオットセイ
Photo credit: Jocelyn Kinghorn
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