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キンカジュー

キンカジュー(Kinkajou | Pure! Travel Group | Flickr) PD 可能な限り引きで カテゴリ:アライグマ科、キンカジュー属 タグ:アライグマ科、キンカジュー属、軽度懸念、中南米、ベリーズ、ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、エルサルバドル、フランス領ギニア、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、ペルー、スリナム、ベネズエラ、八木山動物公園、上野動物園、伊豆シャボテン動物公園、王子動物園、のいち動物公園、安佐動物公園、平川動物公園、ネオパークオキナワ #キンカジューの基本情報 英名:Kinkajou 学名:Potos flavus 分類:アライグマ科キンカジュー属 生息地:ベリーズ、ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、エルサルバドル、フランス領ギニア、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、ペルー、スリナム、ベネズエラ 保全状況:LC〈軽度懸念〉 (Kinkajou at Arenal Observatory Lodge | This agile little fel… | Flickr) Photo credit: ryanacandee #サルのなかま? 長いしっぽに、器用な手先。夜行性で、樹上で生活し、妊娠期間は長く果実を主食としている。何も知らずにキンカジューを観察していると、サルの仲間、特にスローロリスやポトなどの原猿のように思えてしまいます。実際、かつてキンカジューはキツネザルのなかまとされていたこともあるほどです。また、生息地の南米では、ライオンモンキーや、ベアーモンキーと呼ばれることもあり、キンカジューがいかにサルに似ているかが分かります。 ポトの記事 しかし、キンカジューは霊長類ではなく、食肉目、つまり肉食動物のなかまです。さらに細かく見れば、彼らは雑食性が多いアライグマ科の動物の一種です。肉食動物であるのにもかかわらず、霊長類と似たようなニッチを占めているのは興味深いです。ポトやスローロリスのような、夜行性で樹上性が強く、果実食である霊長類は、アフリカ、アジアには生息していますが、南米には生息していません。キンカジューは、彼らに代わって南米で同じようなニッチを占めるに至ったのでしょう。 スンダスローロリスの記事 ところで、アライグマ科にはキンカジューによく似た動物がいます。オリンゴです。その見た目は瓜二つで、非常によく似ています。しかし、オリンゴに最も近縁なのはハナグマで、キンカジューではありません。両者は、似たようなニッチを占めることで、似たような淘汰圧を受け、似たような形になっていったのでしょう。これを収斂(しゅうれん)と言います。 しかし、キンカジューとオリンゴには、形の上で相違点もあります。例えば、オリンゴはキンカジューのような把握力のあるしっぽや、長い舌を持っていません。また、キンカジューはオリンゴにある肛門の臭腺を持っていません。いくら似ているとはいえ、両者にはしっかりと個性があるのです。 フサオオリンゴの記事 アカハナグマの記事 ((https://youtu.be/WAONSVdSY14) #キンカジューの生態 生息地 キンカジューは、中南米の森林に生息します。標高2,500mまでで見られ、熱帯乾燥林や沿岸林、熱帯雨林など様々な森林で生活しています。 食性 キンカジューは果実食者で、食物の9割を果実が占めています。特にイチジクが重要なエサとなっているようです。イチジクは年中ある食物で、霊長類にとっても重要なエサとなっています。果実の他には、花や花蜜、アリなどの昆虫を食べます。このような食性のため、キンカジューは種子散布者、花粉の媒介者として、霊長類のように生態系において重要な役割を果たしています。飼育下では蜂蜜を食べ、このためにハニーベアー(ハチミツグマ)と呼ばれることもあります。ちなみに、野生下で蜂蜜を食べる様子は報告されていません。 形態 体長は40~60㎝、体重は2~4.6㎏、尾長は40~60㎝で、オスの方がわずかにメスよりも大きいです。しっぽは木に巻き付けることができ、しっぽと後肢だけで枝にぶら下がることもできます。このような把握力のあるしっぽを持つ肉食動物は珍しく、彼らの他にはビントロングだけです。長い舌は約15㎝で、花蜜や虫をなめとる際に使われます。また、足首は非常に柔軟で180度回転します。これにより樹上での滑らかな移動が可能になります。 ビントロングの記事 (Potos flavus | A Kinkajou showing off tree-top acrobatics in… | Flickr) Photo credit: Dick Culbert 行動 キンカジューはほとんど完全な夜行性で、昼間は木の洞などで休息します。彼らはかつて単独性であるとされていましたが、5頭までのグループで観察されることもあり、考えられていたよりも社会性があることが分かってきています。コミュニケーションにはグルーミングや音声、顎、喉、腹にある臭腺からでる分泌物が用いられます。行動圏は0.2㎢で、生息密度は10~30頭/㎢です。 繁殖 キンカジューは年中繁殖しますが、果実の量により弱い季節性が見られることもあります。メスは約2日間だけオスを受け入れ、複数と交尾することもあるようです。妊娠期間は98~120日とこのサイズの肉食動物にしては長く、通常1頭の赤ちゃんが産まれます。このような特徴も霊長類とよく似ています。赤ちゃんは主に母親によって世話されますが、父親は子供に寛容で、遊んであげることもあります。赤ちゃんは生後8週で離乳をはじめ、生後4カ月で独立します。その後、1~2歳で性成熟を迎えます。メスの出産間隔は約1年で、寿命は飼育下で約20年と非常に長いです。 (kinkajou 4 | Silk Knoll | Flickr) Photo credit: Silk Knoll #キンカジューに会える動物園 キンカジューは、毛皮、肉、ペット目的の狩猟や、森林破壊などの影響のため、個体数を減らし続けています。ただ、その分布域の広さなどから、絶滅は今のところ危惧されておらず、レッドリストでは軽度懸念と評価されています。 そんなキンカジューですが、日本の動物園でも見ることができます。静岡県にある伊豆シャボテン動物公園グループの伊豆高原グランイルミ、兵庫県の王子動物園、高知県ののいち動物公園、広島県の安佐動物公園、鹿児島県の平川動物公園などが、キンカジューを飼育・展示しています。中でも伊豆グランイルミのイルミde Zooでは、キンカジューがボルダリングする様子を見ることができるようなので、彼らがどれだけ達者なクライマーかをぜひ確かめに行ってみてください。 伊豆シャボテン動物公園 (1062f8826d0fb4a07d802431446b7818.pdf (shaboten.co.jp)) 王子動物園 (キンカジュー|動物図鑑|神戸市立王子動物園 (kobe-ojizoo.jp) のいち動物公園 (園内探索・動物紹介:キンカジュー|高知県立のいち動物公園 (noichizoo.or.jp)) 安佐動物公園 (キンカジュー / Kinkajou|動物紹介|安佐動物公園 asazoo) 平川動物公園 (動物図鑑 — キンカジュー (hirakawazoo.jp)) ネオパークオキナワ (キンカジュー | 名護市 ネオパークオキナワ (neopark.co.jp))
キンカジュー
目次

キンカジューの基本情報

英名:Kinkajou
学名:Potos flavus
分類:アライグマ科 キンカジュー属
生息地:ベリーズ、ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、エルサルバドル、フランス領ギニア、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、ペルー、スリナム、ベネズエラ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

キンカジュー@Photo credit: ryanacandee
Photo credit: ryanacandee

サルのなかま?

長いしっぽに、器用な手先。

夜行性で、樹上で生活し、妊娠期間は長く果実を主食としている。

何も知らずにキンカジューを観察していると、サルの仲間、特にスローロリスポトなどの原猿のように思えてしまいます。

実際、かつてキンカジューはキツネザルのなかまとされていたこともあるほどです。

また、生息地の南米では、ライオンモンキーや、ベアーモンキーと呼ばれることもあり、キンカジューがいかにサルに似ているかが分かります。

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しかし、キンカジューは霊長類ではなく、食肉目、つまり肉食動物のなかまです。

さらに細かく見れば、彼らは雑食性が多いアライグマ科の動物の一種です。

肉食動物であるのにもかかわらず、霊長類と似たようなニッチを占めているのは興味深いです。

ポトやスローロリスのような、夜行性で樹上性が強く、果実食である霊長類は、アフリカ、アジアには生息していますが、南米には生息していません。

キンカジューは、彼らに代わって南米で同じようなニッチを占めるに至ったのでしょう。

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ところで、アライグマ科にはキンカジューによく似た動物がいます。

オリンゴです。

その見た目は瓜二つで、非常によく似ています。

しかし、オリンゴに最も近縁なのはハナグマで、キンカジューではありません。

両者は、似たようなニッチを占めることで、似たような淘汰圧を受け、似たような形になっていったのでしょう。

これを収斂(しゅうれん)と言います。

しかし、キンカジューとオリンゴには、形の上で相違点もあります。

例えば、オリンゴはキンカジューのような把握力のあるしっぽや、長い舌を持っていません

また、キンカジューはオリンゴにある肛門の臭腺を持っていません。

いくら似ているとはいえ、両者にはしっかりと個性があるのです。

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キンカジューの生態

生息地

キンカジューは、中南米の森林に生息します。

標高2,500mまでで見られ、熱帯乾燥林沿岸林熱帯雨林など様々な森林で生活しています。

食性

キンカジューは果実食者で、食物の9割を果実が占めています。

特にイチジクが重要なエサとなっているようです。

イチジクは年中ある食物で、霊長類にとっても重要なエサとなっています。

果実の他には、花蜜、アリなどの昆虫を食べます。

このような食性のため、キンカジューは種子散布者、花粉の媒介者として、霊長類のように生態系において重要な役割を果たしています。

飼育下では蜂蜜を食べ、このためにハニーベアー(ハチミツグマ)と呼ばれることもあります。

ちなみに、野生下で蜂蜜を食べる様子は報告されていません。

形態

体長は40~60㎝、体重は2~4.6㎏、尾長は40~60㎝で、オスの方がわずかにメスよりも大きいです。

しっぽは木に巻き付けることができ、しっぽと後肢だけで枝にぶら下がることもできます。

このような把握力のあるしっぽを持つ肉食動物は珍しく、彼らの他にはビントロングだけです。

長い舌は約15㎝で、花蜜や虫をなめとる際に使われます。

また、足首は非常に柔軟で180度回転します。

これにより樹上での滑らかな移動が可能になります。

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キンカジュー@Photo credit: Dick Culbert
Photo credit: Dick Culbert

行動

キンカジューはほとんど完全な夜行性で、昼間は木の洞などで休息します。

彼らはかつて単独性であるとされていましたが、5頭までのグループで観察されることもあり、考えられていたよりも社会性があることが分かってきています

コミュニケーションにはグルーミングや音声、顎、喉、腹にある臭腺からでる分泌物が用いられます。

行動圏は0.2㎢で、生息密度は10~30頭/㎢です。

繁殖

キンカジューは年中繁殖しますが、果実の量により弱い季節性が見られることもあります。

メスは約2日間だけオスを受け入れ、複数と交尾することもあるようです。

妊娠期間は98~120日とこのサイズの肉食動物にしては長く、通常1頭の赤ちゃんが産まれます。

このような特徴も霊長類とよく似ています。

赤ちゃんは主に母親によって世話されますが、父親は子供に寛容で、遊んであげることもあります。

赤ちゃんは生後8週で離乳をはじめ、生後4カ月で独立します。

その後、1~2歳で性成熟を迎えます。

メスの出産間隔は約1年で、寿命は飼育下で約20年と非常に長いです。

キンカジュー@Photo credit: Silk Knoll
Photo credit: Silk Knoll

人間とキンカジュー

絶滅リスク・保全

キンカジューは、毛皮、肉、ペット目的の狩猟や、森林破壊などの影響のため、個体数を減らし続けています。

ただ、その分布域の広さなどから、絶滅は今のところ危惧されておらず、レッドリストでは軽度懸念と評価されています。

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動物園

そんなキンカジューですが、日本の動物園でも見ることができます

静岡県にある伊豆シャボテン動物公園グループの伊豆高原グランイルミ、兵庫県の王子動物園、高知県ののいち動物公園、広島県の安佐動物公園、鹿児島県の平川動物公園などが、キンカジューを飼育・展示しています。

中でも伊豆グランイルミのイルミde Zooでは、キンカジューがボルダリングする様子を見ることができるようなので、彼らがどれだけ達者なクライマーかをぜひ確かめに行ってみてください。

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