クリップスプリンガーの基本情報
英名:Klipspringer
学名:Oreotragus oreotragus
分類:鯨偶蹄目 ウシ科 クリップスプリンガー属
生息地:アンゴラ、ボツワナ、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、ジブチ、エリトリア、エスワティニ、エチオピア、ケニア、マラウィ、モザンビーク、ナミビア、ナイジェリア、ルワンダ、ソマリア、南アフリカ、南スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

崖の上のクリップスプリンガー
アフリカに生息する小型のウシ科動物、クリップスプリンガー。
何ともかっこいい名前ですが、クリップスプリンガーという名前はアフリカーンス語に由来しています。
クリップは崖、スプリンガーはジャンパーを意味します。
クリップスプリンガーはその名の通り岩場や崖で生活する動物です。
薄明薄暮時に最も活発になる彼らは、日中は暑いと岩陰で休息します。
また、捕食者を察知すると茂みに身を隠したり、捕食者が動けない崖や岩場に逃げ込んだりします。
さらに足元が不安定な岩場は捕食者から身を守ってくれるだけでなく、人間による狩猟の的になる機会や家畜との競合を減らしてくれます。
子育てが行われるのも岩場です。
岩陰などに産み落とされた子供は、2~3ヵ月の間そこで隠れて成長します。
母親は日に何度かそこを訪れ、子に授乳しますが、岩場は捕食者から子供を守るシェルターとして機能します。
ちなみに、クリップスプリンガーのように子供を隠して育てる動物は有蹄類に多く、このようなタイプを置き去り型(ハイダータイプ)と呼びます。
一方、ウマなどのように子が生まれてすぐ母親について歩くタイプを追従型(フォロワータイプ)と言います。


このように岩場での生活に適応したクリップスプリンガーの体には、不安定な足場をすいすい移動することを可能にするいくつかの特徴があります。
例えば、後肢は非常にたくましく、お尻はかなりがっしりしています。
急峻な足場を登るには、この強靭さが欠かせません。
また、彼らはまるで足の先で歩いているように見えますが、これも実は重要です。
有蹄類はつま先にある蹄と呼ばれる特殊な組織で歩いていますが、クリップスプリンガーの蹄は縦に長く、円柱型の特徴的な形をしています。
蹄の接地面は狭く、これが起伏の多い岩を捕捉するグリップ力を高めています。
その小さい体には、生きのびるための様々な秘密が隠されているのです。

クリップスプリンガーの生態
生息地
標高4,380mまでの、岩場や崖の多い開けた環境に生息します。
ナイジェリアや中央アフリカ共和国には他と孤立した分布地域があります。
ブルンジではおそらく絶滅しています。
形態
体長は75~115㎝、肩高は40~60㎝、体重は8~18㎏、オスが平均10.6㎏、メスが平均13.2㎏とメスの方が大きくなります。
角は10~16㎝で基本的にオスにしか生えませんが、東アフリカの亜種にはメスにも角が生える場合があります。
角は生後4ヵ月頃から生え始めます。
環境によく溶け込む色をした毛の内部は空洞になっています。
特にオスでは眼下腺が発達しており、分泌物はコミュニケーションに使われます。

食性
ブラウザーであるクリップスプリンガーは、果実や花、葉などを食べ、果実と花が全体の3分の2を占めます。
捕食者にはヒョウやカラカル、サーバル、ブチハイエナ、ジャッカル、リカオンなどがいます。
特に子供はコシジロイヌワシなどの猛禽類やヘビ類、マントヒヒなどに捕食されやすいです。







行動・社会
単独やペア、家族群で見られます。
なわばり性を持ち、眼下腺からの分泌物や糞でマーキングします。
また、なわばりは雨の多い時には小さくなり、少ない時には大きくなる傾向にあります。
雌雄とも成長すると分散しますが、オスの方が早くに分散します。

繁殖
繁殖は8月から9月によく見られますが、地域に依ります。
メスは約半年の妊娠期間の後、約1㎏の赤ちゃんを1頭産みます。
子供は生後4~5ヵ月で離乳し、その後独立していきます。
性成熟は1歳ごろ達し、寿命は飼育下で15年程度です。
人間とクリップスプリンガー
絶滅リスク・保全
クリップスプリンガーは肉や娯楽目的で狩猟されることがありますが、現在のところ彼らに大きな脅威はありません。
個体数は少なくとも4万頭はいるとされており、うち4分の1が保護区内に生息します。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です
Klipspringer | The IUCN Red List of Threatened Species.
動物園
日本でクリップスプリンガーを見ることはできません。


