アメリカアカリスの基本情報
英名:Red Squirrel
学名:Tamiasciurus hudsonicus
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 アメリカアカリス属
生息地:カナダ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
なわばりを持つリス
北米の主に針葉樹林や混交林に生息する、小型の樹上性リス、アメリアカリス。
その学名のうち種小名の“hudsonicus”は、彼らが初めて種として記載される際に基準とされるタイプ標本がハドソン川付近で見つかったことに由来します。
また、属名“Tamiasciurus”のうち“sciurus”は「リス」を意味し、「陰」を意味する“skia”、「しっぽ」を意味する“oura”というギリシャ語に由来しています。
そして“Tamia”という語は、「エサを隠す動物」という意味の、こちらもギリシャ語で“tamias”という単語からきています。
その属名の通り、アメリカアカリスはエサを隠すリスです。
リスではよく見られますが、彼らもまた、貯食と呼ばれる行動を見せます。
彼らはヤマネなどのように冬眠をしません。
そこで、冬を乗り切るためにエサがあるうちにエサを隠して蓄えておくのです。
ただ、貯食の仕方は他のリスとは違います。
例えばニホンリスが行動圏内にあちこち分散して貯食するのに対し、アメリカアカリスは行動圏内にある何箇所かのミドン(midden)と呼ばれる貯食場所にまとめて貯食します。
彼らはマツボックリがまだ緑色のうちにもぎ取り、ミドンに隠し、エサが少なくなるとその種子を食べるのです。

ところで、一般的にリスの行動圏は特にオス同士や異性同士で重複し、なわばり性はあまり見せません。
しかし、アメリカアカリスはリスの中でもなわばり性が強いとされています。
なぜなら彼らには守るべきものがあるからです。
そう、エサが蓄えられたミドンです。
アメリカアカリスはオスもメスも、1haに満たないなわばりを、同種他個体やトウブハイイロリスなど他の動物から、主に音声を使って守ります。
ミドンを守るためのなわばりですが、1年のうちにこのなわばりが解除される時期があります。
繁殖期です。
繁殖期になるとオスは自らのなわばりを解除し、1日しか発情しないメスのもとに集まり繁殖活動に勤しみます。
生物にとっては自分の子孫を残すことが至上命題。
オスにとっては、エサよりもメスの方が重要なのです。
また、彼らは落葉樹林にも生息しますが、そこではなわばり性は弱まるようです。
針葉樹林では森林全体にエサがありますが、落葉樹林ではパッチ状にしかエサが存在しません。
そうなると必然的にリスの密度が高くなるので、なわばり防衛のメリットがコストにあまり見合わないというわけです。
ちなみに、落葉樹が多い北米東部では、ミドンにたくさん貯食するのではなく、分散して貯食することも知られています。
アメリカアカリス、小さくてもその適応力は侮れません。

アメリカアカリスの生態
生息地
針葉樹林や混交林を好みますが、落葉樹林や木が密生した公園などにも生息します。
形態
全長は27~39㎝、そのうち9~16㎝がしっぽです。
体重は200~300gで外見に性差はありません。
年に2度換毛し、冬毛の方が夏毛よりも明るくなります。
冬には耳に短い房毛が生えます。

食性
種子やナッツを主食とし、そのほかには果実や蕾、花、昆虫、キノコ類、メープルなどの樹皮や樹液を食べます。
捕食者にはイタチ類やヘビ類、猛禽類がいます。
特にフィッシャーとアメリカテンの重要な獲物で、他にはコヨーテやオコジョ、アメリカミンク、アカギツネ、カナダオオヤマネコ、アライグマなどもアメリカアカリスを捕食します。








行動・社会
昼行性で、春と夏には薄明薄暮時に最も活発になります。
貯食にせいがでる秋は1日中活動し、冬は一番暖かい昼に活動のピークがあります。
秋にはなわばり争いが最も激化します。
木の洞や枝の上に巣を作り、地上の穴も巣として利用します。
音声によるコミュニケーションを多用しますが、嗅覚も鋭く、記憶も頼りにしながら4mもの雪が覆っていても、隠しておいたエサを見つけ出すことができます。
繁殖
繁殖期は春にありますが、地域によっては晩夏にももう一度あり、メスは最大2回繁殖することができます。
妊娠期間は31~35日で、通常3~5匹の赤ちゃんが巣に産み落とされます。
赤ちゃんの目は開いておらず、毛もありません。
生後26~35日で目を開き、70日までには離乳します。
生後12~14週ごろ独立し、場合によっては母親の行動圏を受け継ぐこともあります。
性成熟には1歳までに達します。
1年以上生きられる個体は全体の4分の1ほどで、寿命は野生で約5年、飼育下では長いと10年程度です。

人間とアメリカアカリス
絶滅リスク・保全
アメリカアカリスに大きな脅威はありません。
個体数は安定していると見られており、分布域も広いため、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
Red Squirrel | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園
アメリカアカリスには、埼玉県のおおさき公園、茨城県のかみね動物園、栃木県の宇都宮動物園で見ることができます。



