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ケープハイラックス

2026 5/16
ハイラックス科
2026年5月16日
赤茶毛と大きな目のケープハイラックスの横顔
©2023 Caroline Jones : clipped from the original
目次

ケープハイラックスの基本情報

英名:Rock Hyrax
学名:Procavia capensis
分類:イワダヌキ目 ハイラックス科 ハイラックス属
生息地:アルジェリア、アンゴラ、ベナン、ボツワナ、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ民主共和国、コートジボワール、ジブチ、エジプト、エリトリア、エスワティニ、エチオピア、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、イスラエル、ヨルダン、ケニア、レバノン、レソト、リビア、マラウィ、モーリタニア、モザンビーク、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、オマーン、ルワンダ、サウジアラビア、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、南アフリカ、南スーダン、スーダン、タンザニア、トーゴ、ウガンダ、イエメン、ザンビア、ジンバブエ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

ケープハイラックス 生息地マップ 在来個体群
岩上で重なり寝るケープハイラックスの群れ
Photo credit: Regina Hart

岩狸

ハイラックスといえば、トヨタの自動車の方を思い浮かべてしまうほど、なじみのないこの生き物。

実は旧約聖書にも登場するほどの動物です。

すべていとうべきものは食べてはならない。食べてよい動物は次のとおりである。牛、羊、山羊、雄鹿、かもしか、子鹿、野山羊、羚羊、大かもしか、ガゼル。その他ひづめが分かれ、完全に二つに割れており、しかも反すうする動物は食べることができる。ただし、反すうするだけか、あるいは、ひづめが分かれただけの動物は食べてはならない。らくだ、野兎、岩狸。これらは反すうするが、ひづめが分かれていないから汚れたものである。いのしし。これはひづめが分かれているが、反すうしないから汚れたものである。これらの動物の肉を食べてはならない。死骸に触れてはならない。(申命記14:3-8)

ここでいう岩狸こそがハイラックスのことです。

4種が知られているハイラックスは主にアフリカに生息しますが、聖書の舞台となるアラビア半島にも生息する種がいるため、当時すでに知られていたと考えられます。

ハイラックスには前足に3本ずつ、後足4本ずつの指がありますが、彼らは前足をすべて地面につけて、後足はかかとを半ば浮かして歩くという、蹠行と趾行をミックスした歩行をします。

そして、その足の先は聖書にあるように、そして時に有蹄類ともいわれるように蹄のような爪で覆われています。

ハイラックスは蹠行性、趾行性、蹄行性という、哺乳類の歩行形式をすべて併せ持つ、面白い生き物なのです。

さらに彼らの足の裏はパッド状になっており、そこから分泌物を出すことでグリップを高め、岩場で滑らないようにしています。

彼らの足は靴のような性質すら持っており、非常に特殊化していると言えるでしょう。

ちなみに、聖書の舞台であるアラビア半島に生息するハイラックスが、このケープハイラックスです。


ところで岩狸とはよくいったもので、その名の通り、岩場に生息するタヌキのようなふっくらとしたハイラックスですが、系統的には食肉目に分類されるタヌキとは遠い関係にあります。

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それでは彼らに近縁なのはどんな動物なのでしょうか。

近年の遺伝子研究の結果、ハイラックスに近縁なのは、なんと長鼻目と海牛目に分類される哺乳類、つまりゾウやジュゴン、マナティーであることがわかりました。

体重5㎏にも満たないハイラックスが、その1,000倍以上にもなるゾウや、海に生息するジュゴンやマナティーと近縁なのはとても興味深いですね。

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岩で2頭が顔を出すケープハイラックスの正面
Photo credit: Joxean Koret

ケープハイラックスの生態

生息地

アラビア半島やアフリカ全土の砂漠やサバンナ、熱帯雨林に生息しています。

ケニア山の4,300m地点まで見られます。

ハイラックスの中では最も乾燥した気候に適応しており、岩場や崖で生活します。

キボシイワハイラックスとは一部地域で同所的に生息しています。

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形態

体長は30~55㎝、体重はオスが4㎏、メスが3.6㎏、尾長は11~24㎜です。

オスは喉頭嚢が発達しており、大きな鳴き声を出すことができます。

また、特にオスは切歯が発達しており牙のようになっています。

岩に座り口を開け鋭歯を見せるケープハイラックス
Photo credit: Miltos Gikas

食性

ハイラックスは植物食です。

特に若葉や新芽、果実を好みますが、低木や草などの低質のものも食べます。

採食時間は短く1日に1時間程度です。

捕食者にはヒョウやサーバル、カラカル、リカオン、ジャッカル、コシジロイヌワシといった猛禽類などが知られています。

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翼を広げ滑空する黒色の大型の猛禽の側面
コシジロイヌワシ | Photo credit: Derek Keats

行動

ケープハイラックスは、岩の隙間で暮らしますが、ツチブタやミーアキャットが捨てた穴にも生息します。

ただ、自分で穴を掘ることはありません。


体温調節が苦手な彼らは1日を日光浴から始め、1日のほとんどを休息に充てます。

暑い時は岩陰で過ごし、寒い雨の日は巣からほとんど出ません。

また、寒いときは複数が体を寄せあうこともあります。


音声が多彩で、20種以上が知られています。

このほか、尿や背中にある臭腺からの分泌物でコミュニケーションします。

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社会

1頭のオスと複数のメス、そしてその子供からなる群れが複数集まり、80頭程度のコロニーを作ります。

メスは定住傾向にあり、ほとんど分散しません。

一方、オスは生後17~30ヵ月で分散し、自分のテリトリーを築くまで放浪したり、他のオスのテリトリー付近で暮らしたりして、自分のテリトリーを築く時を伺います。

妊娠時、メスは他の妊娠メスと一時的に群れを形成することもあります。

巨岩に佇むケープハイラックスの後ろ姿の遠景
Photo credit: .kit

繁殖

メスは雨季に出産します。オスは繁殖期にはよく鳴き、攻撃的になります。

メスの妊娠期間はサイズにしては長く、6~8ヵ月。

1度の出産で1~6頭、通常2~3頭の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんの重さは170~240g、毛でしっかり覆われ、目も開いた成熟した状態で生まれます。

生後2週で固形物を食べ始め、生後3ヵ月には完全に離乳します。

その後16ヵ月齢ほどで性成熟に達しますが、大人のサイズになるのは3歳ごろです。

寿命は野生で最長12年、飼育下では長くて14年ほど生きます。

岩盤に並ぶケープハイラックス2頭の側面
Photo credit: Rob Oo

人間とケープハイラックス

絶滅リスク・保全

ケープハイラックスは一部地域で肉目的の狩猟の対象となっていますが、広範囲に生息しており、絶滅は懸念されていません。

IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

イスラエルで彼らは法的に保護されていますが、農地などに住み着いて農作物に被害を与えていることが問題視されているようです。

 Rock Hyrax | The IUCN Red List of Threatened Species

岩盤に立つケープハイラックスの正面の顔
Photo credit: Rob Oo

動物園

ケープハイラックスには意外にも日本全国各地の動物園で見ることができます。

寒い日にはお団子状態が見られるかもしれません。

巨岩で寄り集まり寝るケープハイラックスの群れ
Photo credit: Max Clendenning
ハイラックス科
イワダヌキ目 ハイラックス科 ハイラックス属 南アフリカ 軽度懸念 アジア アフリカ アルジェリア アンゴラ イエメン イスラエル ウガンダ エジプト エチオピア エスワティニ エリトリア オマーン ガーナ カメルーン ガンビア ギニア ギニアビサウ ケニア コートジボワール コンゴ民主共和国 サウジアラビア ザンビア シエラレオネ ジブチ ジンバブエ スーダン セネガル ソマリア タンザニア チャド 中央アフリカ共和国 トーゴ ナイジェリア ナミビア ニジェール ブルキナファソ ベナン ボツワナ マラウィ 南スーダン モザンビーク モーリタニア ヨルダン リビア ルワンダ レソト レバノン 上野動物園 京都市動物園 群馬サファリパーク 高岡古城公園動物園 天王寺動物園 長崎バイオパーク よこはま動物園ズーラシア 楽寿園
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