オジロプレーリードッグの基本情報
英名:White-tailed Prairie Dog
学名:Cynomys leucurus
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 プレーリードッグ属
生息地:アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
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地下の巣穴
プレーリードッグには5種が知られていますが、先が白い尻尾が特徴的なオジロプレーリードッグは、比較的標高が高いところに生息します。
プレーリードッグの中でもオグロプレーリードッグは、地中に広大な巣を作り、そこに何百匹と暮らすことで知られていますが、オジロプレーリードッグはより分散して暮らします。

もちろん彼らも地中に巣穴を作ります。
コロニーと呼ばれる群れは20haほどの土地に巣穴を作り、6家族ほどがそこで暮らします。
1haに10個ほどある巣穴の出入り口は小高く盛り上がっており、そこに立つことで周囲の危険を察知しやすくなっています。
巣穴はまさに家です。
オジロプレーリードッグはここで出産や育児を含め、普段の生活を営みます。
また、彼らは冬眠することで知られていますが、冬眠もこの巣穴で行われます。
彼らの巣穴は彼らだけのものではありません。
捨てられた巣穴は、穴で暮らすアナホリフクロウやヘビ、ウサギ、そしてプレーリードッグを専門に食べるクロアシイタチなどの他の動物の住処になります。
プレーリードッグのように環境を物理的に改変し、生態系において重要な役割を果たす種のことを生態系エンジニアと言います。
ちなみに生態系エンジニアには他に、ビーバーやアナウサギなどが知られています。
プレーリードッグの巣穴は他の動物に住処を提供するだけではありません。
例えば、巣を作る過程で土が掘り返されることで土壌が肥沃となり、植物がよく育ちます。
それらはバイソンなど他の動物の重要な餌になります。




オジロプレーリードッグはこのように、他の種にいい影響を与えていると考えられますが、長らく人間にとっては邪魔者でした。
彼らの巣穴にはまって家畜が骨折したりトラクターが脱輪したりと、巣穴が人間の活動に支障をきたしていると考えられたのです。
また、草を主食とするプレーリードッグが同じく草を食べる家畜の競合相手と考えられたり、穀物を食べるなどして農場に直接食害をもたらしたりしたのも、彼らが害獣のレッテルを貼られる理由となりました。
こうして彼らの駆除は政府も推し進めるところまで発展します。
殺鼠剤や毒餌によってオジロプレーリードッグはどんどん駆除され、例えば彼らの分布域の半分以上を占めるワイオミング州では、1920年代までにほとんど100%が駆除されてしまいました。
彼らがいなくなると彼らに依存する動物たちも困ります。
巣穴は彼らがいなくなっても残りますが、特にプレーリードッグを食べていたクロアシイタチは一時野生絶滅を宣言されるに至るまで激減しました。
今となっては保護活動が進み、かつてのような惨状からはだいぶん回復しましたが、プレーリードッグの駆除の例は生態系を顧みない行いであったことを、人間は強く反省しなければなりません。


オジロプレーリードッグの生態
生息地
アメリカ合衆国のモンタナ州、ワイオミング州、コロラド州、ユタ州に分布します。
標高1,300~3,000mまでの低木や草が入り混じる乾燥地帯に生息します。
他のプレーリードッグよりも多様な植物が生える環境で暮らし、特にセージが重要な種となります。
形態
体長はオスが34.2~39.9㎝、メスが31.2~37.5㎝、体重はオスが750~1,700g、メスが675~1,200g、尾長は7.6~10.2㎝でオスの方が大きくなります。
尻尾の先の白い部分が特徴的で、それが名前の由来となっています。

食性
イネ科の草や広葉草本を主食とします。
水はエサから摂取するため、飲む必要はありません。
捕食者にはクロアシイタチの他、アナグマやキツネ、コヨーテ、アライグマ、ミンク、スカンクなどの哺乳類やイヌワシなどの猛禽類、ヘビ類が知られています。





行動・社会
昼行性で薄明薄暮時に最も活発になります。
1つのコロニーは11~67匹で構成され、それらはさらにクランと呼ばれる亜集団に分けることができます。
子供は他のクランの子供と遊ぶことが知られています。
8月末からあまり動かなくなり、11月までには冬眠に入ります。
冬眠中覚醒し地上に出てくる場合もあります。
冬眠が明けると巣の修復を行い、繁殖に入ります。
オスは2月の暮れから3月の始めに冬眠から目覚め、メスはその2~3週間後に目覚めます。
オジロプレーリードッグでは5種の音声が知られています。
繁殖
繁殖は3月中旬から4月にかけて行われます。
交尾は数秒から2分間行われ、交尾後のメスの膣は交尾栓と呼ばれる白い塊が見られます。
メスの妊娠期間は約30日で、通常5匹程度の100~150gの赤ちゃんが生まれます。
育児はメスの役割で、授乳は1ヵ月ほど続きます。
生まれた年の9月から10月には独立し、他のコロニーに移るなどします。

人間とオジロプレーリードッグ
絶滅リスク・保全
脅威としては生息地の破壊や農地などへの転換、ダニを媒介とした感染症などがあります。
特に彼らの死因の多くは感染症とされており、注意が必要です。
分布域や個体数はかつてと比べるとかなり減少しましたが、分布域や個体数は絶滅が心配されるほどではなく、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
Cynomys leucurus | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
オジロプレーリードッグを日本で見ることはできませんが、近縁のオグロプレーリードッグは全国各地の動物園などで見ることができます。


