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オジロジカ

オジロジカ
©2016 Sebastian Di Domenico : clipped from the original
目次

オジロジカの基本情報

英名:White-tailed Deer
学名:Odocoileus virginianus
分類:鯨偶蹄目 シカ科 オジロジカ属
生息地:ベリーズ、ブラジル、カナダ、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、エルサルバドル、フランス領ギアナ、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、ペルー、スリナム、アメリカ合衆国、ベネズエラ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

オジロジカ
Photo credit: U.S. Fish & Wildlife Service Southwest Region

大陸をまたぐシカ

しっぽの裏側が白いことからその名がつけられたオジロジカ。

生息地が一部重複し、最も近縁なミュールジカとは、このしっぽの配色や、走る際にしっぽをたてるかどうか(オジロジカは立てる)で区別できます。

北はカナダから南はブラジルやアンデス山脈まで、北米と南米をまたいで生息するオジロジカは、北米では最も広い生息範囲を持つ大型動物の一種です。

また、彼らはアメリカ合衆国だけでも1,000万頭以上いると推測されており、北米、南米を通じて最も多い個体数を誇る哺乳類の一種でもあります。

これだけ広範囲に生息するため、見た目の上での違いが大きくなります。

体色は生息地によって異なり、一般的に湿潤なエリアや森林では濃く、乾燥した地や開けた場所では明るくなります。

また、特に北の個体は年に2回換毛しますが、温かい地域の個体は換毛しません。

こうした違いは生息環境によるものですが、彼らの生息環境は極めて多様です。

温帯から亜熱帯まで、森林や草原、山地から平原、そしてサボテンなどの棘をもつ植物が主な砂漠などなど、彼らの分布域のほとんどすべての環境に、彼らは生息することができます。

また、農地や人の居住地の近くまで生活範囲とすることができるため、彼らは西欧人のアメリカ大陸への入植以降、特に北部で分布域を拡大させてきました。

それぞれが暮らす環境に育つ植物や捕食者などの動物は、彼らの分布域の中でも様々です。

そうした違いが、彼らの体そして遺伝子にも変化を及ぼすのです。

こうした変化は進化の大きな原動力であり、30以上の亜種が存在することは、彼らの生息環境の多様さと適応力、そして今後オジロジカという種がさらに分岐して他の種となっていく可能性を示しています。


ところで、南北アメリカ大陸に渡って生息するオジロジカですが、分布域の北半分と南半分では、個体数の側面から見た時に状況が異なります。

まずは北半分のカナダとアメリカ合衆国から見てみましょう。

この範囲に1,000万頭を優にこえる数がいるとされる彼らの個体数は、安定ないし増加しています。

娯楽目的の狩猟対象種としても人気のある彼らは、個体数が多すぎるあまり、害獣とされることもあります。

事故の原因となったり、作物に影響を及ぼしたり、人間に病気を移したりするのです。

特に、人獣共通感染症の一つ、ライム病の原因菌を媒介するマダニを、増えすぎたオジロジカが拡散していることは問題視されています。

ちなみにオジロジカはライム病の原因菌への耐性があることが知られており、発症することはありません。

一方、分布域の南半分での状況はどうでしょう。

メキシコから南において、オジロジカは減少傾向にあるとされています。

過剰な狩猟や生息地の破壊、ノイヌなどによる捕食がその理由とされています。

グアテマラのオジロジカのみ、ワシントン条約(CITES)附属書Ⅲに記載されていることからも、その窮状がうかがえます。様々な場所に生息するオジロジカ。

置かれる状況も生息地によって様々です。

オジロジカ
コロンビアのオジロジカ | Photo credit: USFWS Pacific Region

オジロジカの生態

生息地

標高4,500mまでの、温帯から亜熱帯まで、草原、森林、砂漠など様々な環境に生息します。

オジロジカは、チェコ、スロバキア、フィンランド、ニュージーランドに導入されています。

オジロジカ
Photo credit: Jim, the Photographer

形態

体長は1.5~2m、肩高は0.8~1m、体重は57~137㎏、尾長は10~30㎝でオスの方が大きくなります。

蹄に臭腺を持ち、ここから出るにおいはコミュニケーション手段となっています。

枝角(アントラー) はオスにのみ生えます。

1~2月に抜け落ち、4~5月に再び生えた角の周りは皮膚で覆われており、この状態の角は袋角と呼ばれます。

皮膚は8~9月にはがれ完全な角となります。

オジロジカ
Photo credit: USFWS Mountain-Prairie

食性

主にブラウザーでポプラやアスペン、カバノキなど木の葉や枝、蕾等々、100種以上の植物を食べますが、草や菌類、地衣類などもわずかに食べます。

捕食者にはオオカミピューマコヨーテクマジャガーボブキャットなどがいます。

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行動・社会

薄明薄暮時に採食を行います。

主に単独性ですが、餌場では集団で見られることがあります。

ただ、個々の関係は希薄です。

泳ぐことができ、垂直に3m、水平に6m以上跳べるジャンプ力を持ちます。

また、最高時速は60㎞/hに到達します。

年間59~520haの決まった範囲を行動圏としますが、なわばり性はありません。

ミュールジカのような季節移動も基本見られませんが、深い積雪を嫌って移動することはあります。

繁殖

繁殖は10~12月に行われます。

メスは6.5ヵ月の妊娠期間の後、1.5~2.5㎏の赤ちゃんを1~2頭、ごくまれに3頭産みます。

赤ちゃんには斑点がありますが、これは生後3~4ヵ月で消失します。

赤ちゃんは、生後数週間は茂みなどで隠れて育ち、生後4週ごろから母親について歩くようになります(ハイダー型)。

生後2ヵ月頃には完全に反芻できるようになり、オスは1歳まで、メスは2歳までに母親のもとを離れます。

性成熟には1~2歳で達しますが、メスは1年目に子供を孕むことがあります。

寿命は野生で10年以内、飼育下では15~20年です。

オジロジカ
Photo credit: USFWS Mountain-Prairie

人間とオジロジカ

絶滅リスク・保全

中南米では個体数が減少しているところもありますが、全体として、オジロジカの個体数は安定しています。

絶滅は心配されておらず、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

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動物園

日本ではオジロジカを見ることはできません。

オジロジカ
Photo credit: James St. John
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