キバラマーモットの基本情報
英名:Yellow-bellied Marmot
学名:Marmota flaviventris
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 マーモット属
生息地:カナダ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
巣穴での暮らし
アメリカ西部を中心にロッキー山脈などの高地に生息するキバラマーモットは、和名や英名だけでなく、その種小名もまた、黄色い(flavus)腹(ventes)を意味します。
マーモットはリス科に属しますが、その中でもジリスとも呼ばれる地上性リスの仲間で、彼らはリスの中では最大級です。
特に春には脂肪をまとってでっぷりとした体つきになります。
そんなキバラマーモットは地中や岩の隙間などに巣を作ります。
巣は通常深さ60㎝、全長3.8~4.4mに及び、部屋は藁などが敷き詰められます。
1日のうち地上に出てくるのは朝と夕方だけ。
主に餌を食べるために地上で過ごします。
地上には捕食者が沢山います。
コヨーテやクマなど地上の動物だけでなく、イヌワシなどの猛禽類も彼らを狙います。
こうした危険から逃れるため、巣穴は要塞としての機能を持ちます。



キバラマーモットはコロニーと呼ばれる群れで暮らすことが多く、グルーミングや音声によるコミュニケーションが発達しています。
彼らが危険を感じた際に出す警戒音声は、群れの仲間に危険を伝えるために重要です。
この音声には同所的に生息するキンイロジリスやアメリカナキウサギなど、他の動物も反応することが知られています。


ところでキバラマーモットは一生のうち実に8割以上の時間を巣穴で過ごします。
この数字に大きく貢献しているのが、冬眠です。
彼らは夏の終わりから春にかけて、1年のほとんどを冬眠状態で過ごします。
春に彼らがでっぷりしているのは冬眠が理由です。
彼らの冬眠はクマなどに見られる冬ごもりとは違い、真の冬眠と言えます。
体温は5度程度まで下がり、呼吸は1分間に1~2回しか行われません。
また、1分間に通常180~200回の心拍数も、冬眠中には30回にまで下がります。
こうして寒さを乗り切り春に目覚める彼らの体重は、冬眠前の半分にまでなります。
ちなみに、先ほど出てきた同じ環境に住むアメリカナキウサギは冬眠をしません。
その代わり、夏にためておいたエサで冬を乗り切ります。
キバラマーモットではエサの貯蔵は見られませんが、寒さを乗り切るのにも様々な方法があり、生きものとは本当に面白いですね。

キバラマーモットの生態
生息地
アメリカ(カリフォルニア州、ユタ州、モンタナ州、アイダホ州、オレゴン州、ワイオミング州、ネバダ州、ニューメキシコ州、ワシントン州、コロラド州、サウスダコタ州)とカナダ(ブリティッシュコロンビア州、アルバータ州)に分布します。
標高2,000mより高い、草地や崖など、岩場が多く木や低木があまりない開けた環境に生息します。
形態
体長は47~70㎝で尾長が13~22㎝、体重はオスが平均3.9㎏(2.95~5.22㎏)、メスが平均2.8㎏(1.59~3.57㎏)でオスの方が大きくなります。
また、標高が高く湿度が高い地域の個体の方が、標高が低く乾燥した地域の個体よりも大きくなる傾向にあります。
メラニズム個体が見られます。
夏に1度換毛します。
頬と肛門に臭腺があり、特に頬のものは優劣を示すにおい付けに使われます。
メスには10個の乳頭があります。

食性
イネ科の草や広葉草本、種子、花をよく食べ、このほか昆虫、鳥の卵なども食べます。
貯食は見られません。
捕食者にはコヨーテやボブキャット、ピューマ、キツネ、アナグマ、クマ、アメリカテン、猛禽類などが知られています。





行動・社会
単独、ペアでも見られますが、多くは群れで暮らします。
群れは1匹のオスと1~5匹のメス、そしてその子供から構成されることが一般的です。
群れでは遊びも見られ、若齢個体の間だけでなく、若齢個体と大人同士の遊びも見られます。
長く一緒にいる群れのメンバーには友好的ですが、関係が浅い個体や他所からきた個体には攻撃的になります。
すべてのオスと半数近くのメスは成長すると育った群れから離れます。
オスの方がより遠くに分散する傾向にあり、生まれた土地からオスでは最大15㎞、メスでは最大6㎞離れたところで新生活を始めます。
繁殖
冬眠から明けて2週間後に繁殖が見られます。
メスの妊娠期間は約30日で、3~8匹の赤ちゃんが巣に産み落とされます。
赤ちゃんは体長約11㎝、体重約30gですが、生後1ヵ月には離乳し、巣から出てきます。
1歳までには独立し、2~3歳で性成熟に達します。
寿命は野生で長いと13~15年です。

人間とキバラマーモット
絶滅リスク・保全
分布域が広く、個体数も安定していると見られており、現在のところ絶滅の心配はされていません。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
Marmota flaviventris | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園
日本の動物園でキバラマーモットを見ることはできません。
ただ、同じマーモット属のボバクマーモットは、静岡県の伊豆シャボテン動物公園で見ることができます。




