アカシマリスの基本情報
英名:Hopi Chipmunk
学名:Neotamias rufus
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 アメリカシマリス属
生息地:アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
岩場のシマリス
齧歯目に分類されるリスは300種近くが知られていますが、それらはニホンリスやキタリスなどの樹上性リス、マーモットやプレーリードッグなどの地上性リス、ムササビやモモンガなどの滑空性リスに大きく分けることができます。
この中で、体の縞模様からそう呼ばれるシマリスは地上性リスに属します。
地上性リスの半分以上は北米に生息しています。
アカシマリスもアメリカ合衆国のコロラド州西部、ユタ州東部、アリゾナ州北東部に生息しています。





ここで名前の解説をしましょう。
アカシマリスの「アカ」とは、彼らの体色を示しています。
アカシマリスは乾燥した岩場に生息しますが、その色に紛れるような体色をしています。
これは学名の”rufus”にも見ることができます。
Rufusとはラテン語で「赤い」と言う意味で、アメリカアカオオカミやアカカンガルーなどの学名にも用いられています。
学名のうち”tamias”とは「(財産などを)管理する者」を意味します。
これはシマリスがエサを蓄える習性を持つことに由来します。
アカシマリスも種子などの餌を岩の隙間などに隠して後に食べるという習性を持ちます。
最後に英名について。
アカシマリスは英語で”Hopi chipmunk”。
“chipmunk”は「シマリス」を意味する言葉である一方、”Hopi”とはアメリカの先住民ホピ族を指します。
ホピ族はアリゾナ州で暮らす民族ですが、これがアカシマリスの生息地の一部でもあることからそのように名づけられました。
先住民族の言葉に由来する名前は、例えばトナカイがアイヌ族の言葉に由来したり、トナカイの北米での呼び名”caribou(カリブー)”がミクマク族の言葉に由来したり、ヘラジカの北米での呼び名”moose(ムース)”がアルゴンキン族の言葉に由来したりと例が少なくありませんが、民族の名前がそのまま名前に反映された哺乳類はほとんどいません。




さて、そんなアカシマリスですが、他の多くのシマリスと違って冬眠をしません。
彼らは11月ごろから不活発になり、寒すぎると一時的な冬眠であるトーパー状態になることもありますが、そうでないときは巣から出ることもあります。
アカシマリスは他のシマリスよりも脂肪がつきやすく、最大で体重の10~20%の脂肪を蓄えることができます。
これにより冬眠をしなくても冬を乗り切ることができるのです。
シマリスと一口に言っても、冬の過ごし方は種によって様々なのです。
Tamias rufus (Hoffmeister & Ellis, 1979) | GBIF

アカシマリスの生態
生息地
標高1,290~2,700mの、ピニヨンやジュニパーが生えた岩場の多い環境に生息します。
他のリスと分布域を重複させていますが、例えばキマツシマリスとは低地にキマツシマリス、高地にアカシマリスと言ったようなすみ分けが見られます。

形態
全長は19.7~23.5㎝、そのうち約9㎝をしっぽが占めます。
体重は47.9~59.3gで、メスの方が大きい傾向にあります。
春と秋に換毛します。
頬袋を持っており、エサの運搬に役立っています。

食性
種子やベリーを主食とし、このほか花や昆虫、わずかですが植物の緑の部分も食べます。
また、人間がキャンプなどで残したものも食べます。
捕食者にはコヨーテやオナガオコジョ、ブルスネークなどのヘビ類、猛禽類が知られています。

行動・社会
単独性のアカシマリスは昼行性で、特に朝方と夕方に活発になります。
特に夏の昼間は、暑さを避けるために岩場や低木の根元などに作った巣で過ごします。
暑いと体の腹側全体を地面につけ、熱を逃がす行動が見られます。
行動圏は約1haです。
11月頃から4月ごろにかけて不活発になり、巣の外ではあまり見られなくなります。
繁殖
繁殖は2月から4月にかけて行われます。
メスの妊娠期間は30~33日で、一度に5匹前後の赤ちゃんが生まれます。
赤ちゃんは3g程度しかなく、目は閉じ、無毛の無力な状態で生まれます。
母親によって育てられる赤ちゃんは生後5週ごろには巣の外に出始め、生後6~7週には離乳し独立していきます。
性成熟には生後10~11ヵ月で達します。
寿命は知られていませんが野生で2~3年と思われます。

人間とアカシマリス
絶滅リスク・保全
分布域が比較的広く個体数も安定しているアカシマリスの絶滅は、今のところ心配されていません。
彼らの生存を脅かす大きな脅威もなく、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
Hopi Chipmunk | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でアカシマリスを見ることはできません。


