カリフォルニアジリスの基本情報
英名:California Ground Squirrel
学名:Otospermophilus beecheyi
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 イワジリス属
生息地:メキシコ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
暑さと熱さ
地上性リスの一種であり、斑点が特徴的なカリフォルニアジリスは、地中に巣穴を作ります。
巣穴の直径は10㎝ほどで、深さ1mくらいのところに全長1.5~9mのいくつかの部屋を持つ構造をしています。
彼らは冬になるとこの巣穴の一部屋で冬眠(hibernation)をします。
寒さがそこまで深刻ではない沿岸域に住む個体や、1歳未満の個体は冬眠をしない場合がありますが、特に内陸部の冬が厳しいところの個体は、冬眠をする傾向にあります。
冬眠はジュウサンセンジリスなどのような一部のジリスのような深いものではありませんが、彼らの冬の生存率を高めるため、重要な習性となっています。
冬の寒さを苦手とする彼らですが、一方、夏の暑さも得意ではありません。
特に晩夏の暑くエサも豊富ではない季節になると、彼らは一時的に夏眠(estivation)と呼ばれる状態になります。
高温になると彼らは巣穴に閉じこもり、数日から時には1週間以上、じっと動かずに過ごします。
このような夏眠は哺乳類では珍しく、一部の齧歯類などにしか見られません。

暑さに弱いカリフォルニアジリスですが、一方で熱さについてはそれを武器にすらしています。
カリフォルニアジリスにはさまざまな捕食者がいます。
コヨーテやアナグマなどの哺乳類は地上から、オオタカやイヌワシなどの猛禽類は空から彼らを狙います。
そんな中、巣穴にすら入ってきかねない危険な捕食者がヘビです。
このヘビ、特に発達した赤外線感知能力を持つガラガラヘビに対して、カリフォルニアジリスは独特な行動を見せます。
ガラガラヘビと対峙したとき、カリフォルニアジリスはしっぽを大きく掲げ、それを振り、熱を集中させます。
そしてまた、熱くなったしっぽを振って大きく見せることで、ヘビを撃退するのです。
ヘビの一部は、ピット器官という熱を感知できる器官をもつ者がおり、ガラガラヘビはそのピット器官をもつ代表的なヘビです。
そんな熱を感じるヘビにとって、熱い尻尾を振るという行動は、自分を大きく見せる効果的な威嚇になるのです。


ちなみに、こうした対捕食者に限らず、しっぽは振ったり相手に触れたりしてコミュニケーションに大いに使われます。
リス科を意味する”Sciuridae”は、ラテン語でリスを意味する”Sciurus”から来ていますが、この言葉は古代ギリシャ語で「影」を意味する”skia”と、「尾」を意味する”oura”を組み合わせたもので、リスのしっぽを指しています。
California Ground Squirrels / Citrus / Agriculture: Pest Management Guidelines | UC Statewide IPM Program

カリフォルニアジリスの生態
生息地
標高2,200mまでの、低木林や草原など、比較的開けた環境に生息します。
農地や道路脇にも生息します。
形態
全長は33~50.8㎝、そのうち12.7~22.9㎝をしっぽが占めます。
体重は280~738gで、オスの方が大きい傾向にあります。
頬袋を持っており一時的にエサを貯めることができます。
他のリス同様犬歯はなく、門歯は一生生え続けます。

食性
種子やドングリ、果実などをよく食べ、このほか昆虫や菌類、根、茎、そして小型哺乳類を襲って食べることもあります。
エサはその場で食べられるだけでなく、巣に貯蔵されます。
捕食者にはコヨーテやイタチ類、キツネ、ボブキャット、ピューマ、猛禽類、ヘビ類などが知られています。



行動・社会
昼行性で、薄明薄暮時に最も活発になります。
2~20匹程度のコロニーと呼ばれる群れで生活しますが、個々のつながりはそれほど強くありません。
巣穴は共有されることもありますが、各々が自分の巣穴の出入り口を持っています。
オスもメスも複数の異性と交尾します。
カリフォルニアジリスでは、交尾後のメスの膣に交尾栓と呼ばれる白い塊が見られます。
1歳になるまでは、夏眠も冬眠もしないことが多いです。
繁殖
繁殖は早春の2~3週間です。
メスの妊娠期間は約30日で、年に一度だけ出産します。
一度に通常5~8匹、最大15匹の赤ちゃんが生まれます。
赤ちゃんは母親によって育てられ、生後5週ごろに目を開き、巣の外に出るようになります。
生後8週までには離乳し、その後独立していきます。
性成熟には1歳ごろ達します。
寿命は野生で最大6年、飼育下では最大10年です。

人間とカリフォルニアジリス
絶滅リスク・保全
分布域が十分広く、個体数も安定しているカリフォルニアジリスの絶滅はあまり心配されておらず、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
一方、作物やインフラなどへの被害から人間と軋轢を生む場合があります。
また、腺ペストの原因菌などを保有しており、人間に感染させる可能性があるため、接触には注意が必要です。
Otospermophilus beecheyi | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でカリフォルニアジリスを見ることはできません。


