キマツシマリスの基本情報
英名:Yellow-pine Chipmunk
学名:Neotamias amoenus
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 アメリカシマリス属
生息地:カナダ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
冬眠と貯食
温帯には必ず冬がやってきます。
動物にとってこの冬は一年で最も厳しい季節です。
恒温動物である哺乳類にとって寒さに耐えるのにはエネルギーが夏よりも必要ですし、そのエネルギーの源であるエサは冬には不足します。
このような冬を、動物たちは実に様々な方法で乗り越えます。
例えば地上性リスの一種であるジュウサンセンジリスのような一部の齧歯類は、一年の半分近くを冬眠状態で過ごします。
冬眠時、彼らは体温を周囲の気温近くまで下げ、心拍数や呼吸も通常時の10分の1以下になります。
冬眠前までに溜めた脂肪と冬眠という低代謝生理機構によって、彼らは冬を過ごすのです。
また、一部のクマは冬眠と区別して冬ごもりと呼ばれる方法で冬を乗り切ります。
冬ごもり前までに脂肪を蓄えること、代謝が低下することは冬眠する動物一緒ですが、冬ごもりのクマでは体温は数度低下するのみです。
驚くことに、クマはこの冬ごもり中に出産、育児も行います。


一方、冬を眠らずに活動してやり過ごす種もいます。
例えばトナカイは通常様々な植物を食べますが、それらがなくなる冬には主食を地衣類にスイッチします。
この地衣類を探し当てるため、彼らは冬には紫外線を見ることができるようになります。
また、ニホンリスなどの樹上性リスは、冬が来るまでに地中などに貯めておいたエサを利用してエサの少ない冬を乗り切ります。
この行動は貯食と呼ばれます。
このように冬の乗り越え方は動物によって多様なのです。


さて、それではカナダ南西部からアメリカ北西部にかけて、ロッキー山脈周辺に生息する小さなシマリス、キマツシマリスの場合はどうでしょうか。
彼らもまた、特有の方法で冬に耐えます。
彼らは冬眠をします。
しかしそれはジュウサンセンジリスのような真の冬眠ではなく、トーパーと呼ばれるより一時的なもので、彼らはこの一時的な冬眠を冬季の間に何度も繰り返します。
これに関係して、彼らは冬眠前にあまり脂肪を蓄えません。
その代わり、トーパー間の覚醒時に餌を食べます。
この餌は冬が来る前に蓄えられたものです。
そう、彼らもまた樹上性リスのような貯食をするのです。
キマツシマリスは、冬が来るまでに巣穴やその近くのあちこちに餌を貯め、冬眠前になるとそれらを巣穴の貯食場所に集めます。
この冬眠と貯食のハイブリッドともいえる方法で、キマツシマリスは冬を乗り切ります。
冬という季節は、動物たちの特性がよく出る季節かもしれません。

キマツシマリスの生態
生息地
標高975m~2,900mの低木林や針葉樹林に生息します。
岩場や草原にもいますが、生きるには近くに森林が必要です。
形態
シマリスの中でも小さい彼らの全長は18.1~24.5㎝、そのうち8~10㎝をしっぽが占めます。
体重は30~70gで、メスの方が大きい傾向にあります。
頬袋を持ち、ここに一時的に餌を蓄えることができます。

食性
種子や果実、葉、根、花、蕾、菌類、昆虫類など60種近い生物をエサとします。
捕食者にはコヨーテやボブキャット、アナグマ、イタチ類、猛禽類、ヘビ類がいます。



行動・社会
単独性で薄明薄暮性のキマツシマリスは、樹上でも地上でも活動します。
巣は樹高18mまでの樹洞などに作られますが、地上のものの方が重要です。
地中の巣は自分で掘ることができ、深さは50㎝まで達します。
なわばり性は弱いですが、巣穴近くでは周囲を警戒します。
10の音声が知られており、警戒や威嚇などに使われます。
繁殖
繁殖は冬眠から明けた4月~5月に行われます。
メスは年に一度だけ発情し、音声によってオスにアピールします。
その後2~6匹のオスに追いかけられ、その中のオスたちと交尾します。
妊娠期間は約30日で、一度に5、6匹の赤ちゃんが生まれます。
赤ちゃんは生後6週ごろ離乳し、巣から出てきます。
そして生後8~12週で独立していきます。
性成熟には1~2歳で達します。
寿命は野生で長いと5年です。

人間とキマツシマリス
絶滅リスク・保全
分布域が広く、個体数も安定しているキマツシマリスに絶滅の心配はあまりなく、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
彼らの生存を脅かす大きな脅威も特にありません。
Neotamias amoenus | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でキマツシマリスを見ることはできません。


